校長室から7

校長室から7
2015.1.16
70年
戦後70年である。この間、日本は直接的な対外戦争を行うことなく平和を高めてきた。それは、戦
後間もない時代に生きた人々による平和への希求や平和主義を宣言する憲法の作成、その後の枚挙にい
とまない努力によるものであったと思う。一方で、1970年代にまでかけて構築された近隣の国々との
友好関係は、現在も基本的には維持されているものの、ときに安定を欠く場面が幾度かあった。互いの
国々が、主張するところは主張するとしても、上限などのない敬愛と尊重をさらに高めることができれ
ば良いと思う。世界に視点を転じると、この70年間もどこかで戦争、紛争が起きている。戦後の基本
対立構造は冷戦という語に象徴される東西関係にあったが、現在は民族、宗教、経済格差という様々な
要因が火種になっている。平和国家であるならば、武力という手段を用いずに世界の平和に貢献するこ
とが私たちの国に課せられていると思う。さらにこの間は、日本に限らず、産業の高まり、生活の豊か
さが追求され続けた時代でもあり、それは明らかに地球規模の環境悪化をもたらした。いままさに、次
代を見据えた心やさしき社会のリーダーが必要な時代である。高い目標を持ち、心やさしき社会のリー
ダーをめざす、そのような光陵生をこれからも育んでいきたいと、この年頭にあたり心底思う。
You can do it.
もう40年も前のことであるが、大学入試のこと、1年間の浪人生活のことをよく覚えている。勿論断
片化された記憶なのだが、教員という仕事に就いたこともあり、この時期になると想起することが多い
のだと思う。懐かしくもあるが、それは、二度と経験しなくて済む懐かしみだ。
いくら大学の門戸が広くなったといえども、受験勉強、大学入試が厳しいものであることに変わり
はない。大学進学率が50%を超えるにいたり、おそらく、確たる目的を持つことなく、将来の展望も特
にないという学生も多いことだと思う。高校生の半数以上が進学するとなると、自分自身に進学意欲は
ないのだが、周りの意見に従って進学した学生も増えているのではないかと危惧もする。そのような場
合、自らの限界を試すというような試練を自らに課すことはあまり考えられないが、それにしても、目
的意識のない受験勉強は苦行であろう。一方、高い目標を持って進学準備に勤しむというのは、さらに
高いハードル、試練が待ち受けもする。しかし、自分の意志で進学すると決め、そのための準備である
ならば、それは本来的に幸福なことだ。たじろぐことなく、果敢に挑んでほしいと思う。
明日、明後日のセンター試験、皆さんへのエールに Good luck も良いのだが、私の勝手な思い込み
で、この語には何だか運を天にまかせっきりにしているような響きを感じる。『GENIUS英和辞典』
には「成功を祈ります」「万事うまく行きますように」の用例として Good luck on the entrance
exam tomorrow ! があり、私の思い込みなど跡を残さず去り行ってしまうのだが、やはりこれまでの
皆さんの努力を見据えた言葉がほしい。
1月の午後、授業を終えた31HRから37HRまでのどの部屋にも3年生がいて、熱心に勉学に励んでい
る姿が見られる。自習室、図書室も3年生の静かな闘志で満たされている。見ている私は激励の気持ち
で一杯なのだが、集中を途切れさせる訳にはいかないから声を出すのも憚られる。そんな心地よい緊張
感に包まれて一心に打ち込む生徒の姿は、頼もしくもあり、愛おしくもある。
皆さんが、持っている力を発揮できれば良いなと思っている。
でもね、出し切るとか、平常心とかって言われるのって辛いよね。
出し切れなかったらどうするの?心が動揺したらどうするの? って心配になるものだ。でも…、
大丈夫だよ。
これまでの努力に自信を持ち、目標を持ってこの場に臨んでいること、家族や先生が見守っている
こと、光陵の仲間と共に夢に向かっていることを心に刻み、決して諦めることなく問題に挑んでいこう。
受験会場を間違えることのないように、落ち着いて、マークミスなどないように!
You can do it.