社長スピーチ - アイシン精機

第44 回東京モーターショー2015
アイシングループ プレスブリーフィング
アイシン精機株式会社
取締役社長
伊原
保守
皆様、こんにちは。アイシン精機 取締役社長の伊原でございます。
本日はお忙しい中、アイシングループブースにご来場いただき、誠にありがとうござ
います。
我々、アイシングループが誕生してから、今年で 50 年を迎えました。これまでの皆
様のご支援に心から感謝申し上げます。
1965 年に「愛知工業」と「新川工業」の合併によりアイシン精機は誕生しました。
アイシン精機が歩んできた 50 年は、アイシングループが成長してきた 50 年でもあり
ます。アイシングループは「専門性をもった会社がそれぞれ小さなマネジメントを行
う」自主自立の経営思想のもと、多くの専門メーカーを有する総合自動車部品メーカ
ーにまで成長してきました。
アイシングループの 50 年の歴史は挑戦の歴史でもあります。
「失敗を恐れず、常に
先取的な視点で果敢に挑戦する」アイシンのチャレンジ精神が、数々のエポックメイ
キングな製品を生みだしてきました。
例えば「オートマチックトランスミッション」は、1961 年の愛知工業時代にトヨグ
ライドの受託生産で始まりました。
「オートマチックトランスミッション」を搭載した
車がスタンダードとなる時代をいち早く予想し、欧米から技術を導入するために
合
弁会社として設立されたのが、当時のアイシン・ワーナー、現在のアイシン・エィ・
ダブリュです。
その後、自社開発の 3 速AT「03-55」から、4 速、5 速、6 速と多段化を経て、
2012 年には世界で初のFF8速ATを開発しました。現在では多くのカーメーカーと
お取り引きを行う、世界最大のオートマチックトランスミッションメーカーにまで成
長してきました。
また、2003 年から市場投入している「インテリジェントパーキングアシスト」は、
ステアリング操作を自動化して、縦列・後退駐車を半自動化した「世界初の自動駐車
システム」であり、自動運転の先駆けともいえるものです。
さらに、今ではミニバンの象徴とも言える「パワースライドドア」は、駆動ユニット
のドア内蔵タイプを 2001 年に製品化し、その快適・利便な機能とともに、広い車室空
間を作り出すのに貢献しています。アイシンの「パワースライドドア」は、日本国内
の軽自動車においてはシェア 100%であり、グローバルナンバー1メーカーとして、今
後もお客様の期待にこたえていきます。
アイシンがこれからも持続的に成長し続けるためには、現有製品の「競争力強化」
は非常に重要です。大手サプライヤー同士の統合による巨大化や、システム開発競争
が激化する中、グループとして世界で戦える競争力を早期に強化することが急務であ
るとの認識から、マニュアルトランスミッション、ブレーキ、シート、車体部品を含
めた事業再編を 2014 年末から進めています。
同時に、グローバルな事業基盤の構築を推進しています。この3年間は主に中国や、
アセアン、インド、ブラジルなどの新興国市場での事業展開を加速してきました。特
に中国、アセアンにおいては、市場の成長をいち早く取り込むため、生産体制、開発
体制の強化を進めています。
アイシンは、これまでも、環境・安全分野での技術イノベーションを通じて、自動
車の発展に努めてまいりましたが、これからは、さらにその方向を推し進めなければ
ならないと考えております。
今後、世界規模での自動車保有の増加に伴い、環境問題、安全問題などが極めて重
要な要素になってまいります。アイシンはそれらの問題解決に向けたソリューション
として、技術のイノベーションを起こし、提供していくことが、世界各国の健全な社
会の発展、ひいてはモータリゼーションの更なる発展に繋がるものと思っております。
これから、アイシンが「技術のイノベーション」を起すために挑戦する、技術開発
の取り組みについて、「環境・燃費」「安心・安全」の2つの技術開発テーマをご紹介い
たします。
まずは、「環境・燃費」についてご紹介します。
アイシンは、燃費向上に向けた取り組みとして、2025 年には車両トータルとして、
30%の燃費向上に貢献する技術・製品の開発に挑戦していきます。この目標に向けて、
アイシンは5つの分野で技術開発を推進しています。
「熱マネジメント」、
「パワートレ
インの電動化」、「伝達効率の向上」、「空気抵抗値の低減」「軽量化」。
これら5つの技術開発分野を究めることで、クルマが走り始め、走行し、停止する
までの一連の流れの中で必要となるエネルギーを管理し、燃費向上を図る「クルマの
エネルギーマネジメント」の技術開発を行っています。
ここで、5つの技術開発分野の内から、
「熱マネジメント」の取り組みについてご紹
介します。
ハイブリッドトランスミッション、回生協調ブレーキ、各種の電動ポンプなど、ア
イシングループのハイブリッド車向けの技術・製品は、幅広く多くのカーメーカーの
クルマに採用され、環境負荷の低減や燃費の向上に貢献しています。
今後、更なる燃費向上を追及していく中で、ハイブリッド車のみならず、従来のガ
ソリン車にも有効な技術として、「熱マネジメント」が重要になってきます。
現在の「熱マネジメント」は、エンジンで発生した大量の熱をトランスミッション
まで含めた「パワートレイン」全体と「グリルシャッター」のような車体部品まで広
げた領域で、
「水」
「油」
「空気」を制御して、エンジンルーム内の製品を中心とした「熱
の最適配分」を行っています。しかしながら、今後は電気自動車のような「熱を大量
に発生するエンジン」を持たないクルマも増えてきます。今まではエンジンで発生し
た熱を回収して利用していましたが、今後は、
「熱を創りだし」クルマ全体で「熱の最
適配分」を行うことが必要になってきます。
アイシンは、これらの「熱マネジメント」に関わる製品をグループで開発し、最適
なシステムとして提供していきます。
次に「安心・安全」については、「見える安心・ぶつからない安全」のキーワードの
もと、交通死亡事故ゼロのクルマ社会を目指し、技術開発に挑戦しています。アイシ
ンは得意とする画像認識や空間認識、車両制御などの要素技術を活かし、ドライバー
に「見える安心」と「ぶつからない安全」をお届けする技術を開発・製品化してきま
した。
先日、フランスのボルドーで行われたITS世界会議では、ドライバーモニターシ
ステムやナビゲーションシステム、パーキングアシストシステムなどを活用した、ア
イシングループが自動運転へ貢献するために開発している技術のデモンストレーショ
ンを行いました。
本日は、その内の2つの技術についてご紹介します。
まず始めに、
「インテリジェントパーキングアシスト」をさらにレベルアップさせた
「完全自動駐車の実現」をめざした、駐車支援技術の紹介です。アイシンは、スマー
トフォンを使って無人で自動駐車を行う「リモコン駐車」を開発しています。運転の
苦手なドライバーはもちろん、人が乗り降りできない狭い場所への駐車が可能になり
ます。
次に、当社の「ドライバーモニターシステム」を応用し、ドライバーが運転中に不
測の事態で意識を失ってしまった場合など、緊急時にクルマを安全に退避させる技術
を紹介します。
「ドライバーモニターシステム」は、ステアリングの後ろに配置したカ
メラでドライバーの顔の向きや瞼の開閉を検知し、ドライバーの状態を観察していま
す。この機能を応用し、ドライバーが意識不明になり運転不能状態と判断したときに
は、自動運転モードに切り替えて、クルマを路肩に退避させます。
なお、この際には、意識を失ったドライバーによりステアリングが固定されてしま
う可能性もあるため、4WSにより、後輪を自動的に操舵してクルマをコントロール
します。事故を防ぐ手段として、このような自動運転の技術は有効になっていくと考
えています。
アイシンは高度運転支援に関する技術開発を加速させ、「自動運転に貢献する技術」
に挑戦しています。
この度、アイシングループは創立 50 周年を機にグループのさらなる発展への想いを
こめ、
「グループロゴ」を策定しました。グループスローガン「For a Better Tomorrow(も
っとワクワクする明日へ)」は、「"毎日をより良くしたい"という気持ちで行動を積み
重ねることにより、社会に役立つ存在をめざしたい」との想いを込めています。
アイシングループは、次の 50 年も「挑戦」を続け、グループ一体となって新しい価
値を提供していきます。
これからもアイシンをどうぞ、よろしくお願い申し上げます。
以上