物理学 基礎科目/2 単位/T授業 担当教員 沖 隆義 ■使用テキスト 青木 和夫(編)『系統看護学講座 物理学』 ◆参考テキスト 山本 明利(編)『新しい高校物理の教科書』 医学書院 講談社 講義概要・一般目標 物理学は医療系をはじめとする理工系の科目の基礎になっている。生命活動は物理法則のもとで営まれ、医療 機器も物理学の原理のもとに作られ、作動している。道具として物理学に接するわれわれにとっては、物理の詳 細を学習していく正攻法をとることは得策とは言えない。実際に使用する医療器具などの原理を通して物理学に 触れていけば、学習意欲も維持しやすい。「習うより、慣れる」をモットーに学習を進めていく。 使用するテキストも厳密な説明にこだわらずに大意的に書かれたものであるが、高校の物理を履修しているこ とを前提にしている。まったく物理に触れたことがない場合には、参考テキストなどの必要な個所に目を通した うえでテキストに取り組み、途中であきらめることなく、最後まで学習を継続していく。 到達目標 1) 人体や医療機器と物理法則の関係の概要を知り,物理用語を理解し,簡単な計算ができ,単位をつけて数値 を提示できるようになる. 評価方法 添削課題を改題して出題される科目単位認定試験により評価される。 学習指導 第1章 力 この章のポイント 物理学の一番の基本は力学です。この章では力について学習します。介護や検査で人体を扱うとき、重力や重 心は大きな働きをしますし、摩擦力は人の転倒にもかかわってきます。また、力のモーメントなどを利用した機 器も重要です。体脂肪率の測定には密度や浮力の知識が必要です。 ゼミナールの問題を考えることはとても重要です。最低限、以下のキーワードの大意を習得してから、章末の ゼミナールを解いてください。その際、図を描き、単位に注意して計算を書いて考えることに心がけてください。 医療用語にも習熟すべきですが、このシラバスでは物理の重要用語に重点を置いて記載します。以下の章でも同 様に学習をしてください。 (キーワード)重力・重心・エネルギー保存の法則・滑車・仕事量・加速度・運動方程式・遠心力・力のモーメント・摩擦力・ 摩擦係数・密度・浮力 第 2 章 圧力 この章のポイント 血圧や注射、吸引器や人工心肺を理解するには圧力について知らなければなりません。また、浸透圧の理解は 人工透析の学習に必要です。 (キーワード)圧力・粘性・ポアズイユの法則・絶対圧・ゲージ圧・表面張力・毛細管現象・コロトコフ音・パスカルの原理・ 視差・オシロメットリク法・容積保障法・観血式血圧測定・サイホンの原理・陰圧・陽圧・ボイル-シャルルの 法則・遠心ポンプ・連続の式・ベルヌーイの定理・ベンチュリー管・レイノルズ数・ガス分圧・状態方程式・ド ルトンの法則・ヘンリーの法則・半透膜・拡散・浸透・浸透圧 1 第3章 熱 この章のポイント 体温や代謝は生命維持のための重要な指標の一つになります。熱現象を理解し、温度と熱の関係が説明できる ようになってください。 (キーワード)熱運動・摂氏度・華氏度・絶対温度・熱伝導・対流・熱放射・熱伝導率・比熱・熱容量・熱量保存の法則・熱伝 達・熱伝達率・熱通過・相変化・潜熱・融解熱・凝固熱・気化熱・凝結熱・昇華熱・物質代謝・エネルギー代謝・ ATP・代謝量・基礎代謝・熱量・熱エネルギー・熱の仕事当量・摩擦熱・熱力学の第 1 法則・熱力学の第 2 法則・ エントロピー・ボイル-シャルルの法則・断熱変化・断熱膨張・断熱圧縮・内部エネルギー・比熱比・熱機関・ 熱効率・冷媒・吸熱器・放熱器 第 4 章 電気 この章のポイント 脳神経の働きは電気現象を抜きにしては語れません。心筋の働きを見るには心電図が使われていますが、これ も電気現象を扱っています。電気メスや電子体温計などの医療機器の多くが電気なしでは成立しません。電流を 使って強力な磁石が作られますが、これも医療機器に応用されています。電磁気学は力学とともに物理学を支え る重要な分野ですが、人の生活にも大きくかかわっています。医療だけでなく、電気なしでは、現代文明は存続 できないのです。文明人としても、しっかりと現象を把握する必要のある分野です。 (キーワード)電荷・電流・アンペア・電圧・ボルト・抵抗・オームの法則・マクロショック・ミクロショック・アース・等電 位化・3P コンセント・3P プラグ・絶縁対策・直流・交流・周波数・周期・実効値・振幅・最小感知電流・高周 波電流・アーク放電・固有抵抗率・電力・ワット・ジュール熱・活動電位・静止電位・脱分極・過分極・再分極・ オーバーシュート・閾値電位・Na+-K+ポンプ・心電図計測器・直列・並列・合成抵抗・コンデンサー・キャパシ タンス・ファラド・クーロン・増幅・トランジスター・オペアンプ・標準 12 誘導心電図・電子体温計・導体・ 半導体・絶縁体・抵抗率・抵抗温度係数・ホイートストン-ブリッジ・キルヒホッフの第一法則・キルヒホッフ の第二法則・温度センサー・テレメーター・静電気・電荷・静電気力・電場・磁場・電気力線・磁極・ウエーバ ー・アンペールの右ねじの法則・電磁石・電磁波・信号波・搬送波・変調・復調 第 5 章 光と放射線 この章のポイント この章は前章の電磁波についてさらに学習する章になります。人の目は電磁波の仲間である可視光を感知する 器官です。目には見えませんが、赤外線や紫外線、X 線やガンマ線は医療にとっても重要な電磁波の仲間です。 可視光の道筋をコントロールする器具がレンズや光ファイバーです。レンズは視力矯正に利用され、光ファイバ ーは胃や大腸の内視鏡検査にも利用されています。放射線は非常に危険な面もありますが、診断や治療上無視す ることができません。また、単色光で位相(振動の状態)のそろったレーザーも医療には欠かせない人工光です。 (キーワード)照度・ルクス・光度・カンデラ・輝度・可視光・紫外線・赤外線・単色光・光のスペクトル・プリズム・3 原色・ 標準比視感度曲線・紫外線殺菌灯・近赤外線・赤外線サーモグラフ・屈折率・凸レンズ・凹レンズ・実像・虚像・ 光ファイバー・スネルの法則・全反射・臨界角・光導波路・開口数・比屈折率差・バンドルファイバー・イメー ジガイド・ライトガイド・解像度・酸素飽和度・パルスオキシメーター・ランバート-ベールの法則・吸光係数・ 吸光度・ボーアの振動数条件・遷移・自然放出・プランク定数・誘導放出・基底レベル・励起・3順位レーザー・ 分布反転・定在波・コヒーレント光・CO2 レーザー・Nd-YAG レーザー・アルゴンレーザー・レーザーメス・X 線・γ線・電磁波のエネルギー・制動X線・電離・特性X線・X線管・自然放射線・人工放射線・光電効果・コ ンプトン効果・電子対生成・消滅放射線・X線造影剤・放射線同位元素・シンチグラフィー・陽子・中性子・核 子・原子番号・質量数・同位体・核種・放射性同位元素・壊変・α壊変・β壊変・軌道電子捕獲・核異性体・半 減期・ベクレル・シーベルト・照射線量・吸収線量・等価線量 第 6 章 音と振動 この章のポイント 物質中を伝わる疎密波を音といいます。耳はこの振動をキャッチし電気信号に変換し脳へ情報を送る機能を担 っています。医療では聴診器や超音波検査などの検査機器のみならず、結石破砕機に応用され、治療でも音波は 活躍しています。電磁波は電場と磁場が振動して伝播するものですから、振動現象と関係します。電気の振動を 音に変えるのがスピーカーです。また、電流は磁場を作るので、他の磁石から電流は力を受けます。これを利用 したものがモーターで、医療現場でも大活躍をしています。 (キーワード)音波・疎密波・可聴域・超音波・音の3要素・デシベル・音速・波面・ホイヘンスの原理・素元波・角速度・周 期・周波数・減衰・共振・全身振動・局所振動・媒質・音響インピーダンス・圧電効果・振動子・プローブ・音 響レンズ・電子フォーカス・ドップラー効果・ドップラー法・偏位周波数・衝撃波・体外衝撃波結石破砕機・可 動コイル・レンツの法則・誘導電流・電磁誘導・磁束密度・テスラ・フレミングの右手の規則・誘導起電力・フ ァラデーの電磁誘導の法則・フレミングの左手の規則・ローレンツ力・モーター 2
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