2015 年度 立命館慶祥高等学校 入試講評 国語

2015 年度 立命館慶祥高等学校
入試講評
国語
2015 年 2 月 20 日実施
大
ねらい・出典
問
講評・学習の指針
出典:池内恵『「拝外」と「排外」の間』
記述問題は、文章構成を順に追いながら、相反する
説明的文章の読解。
2 つの要素をまとめる必要があった。1 つ目の要素の
国際社会の多様な価値形成において、日本の特
みで止まっている解答が非常に目立ち、文章全体の
殊性を説明した内容である。
構成を捉えられていないことが窺える。同じ観点で、
一 例年通り、漢字・語彙の問題、各段落の構成を 脱文補充問題の正答率の低さも説明できる。接続詞
考えて接続詞を入れたり文章補充したりする問
等の基本的な部分に注意を払いながら、文章の繋が
題、内容正誤型選択肢問題、本文のテーマに関
りを意識して読み進めていく必要がある。
わる部分を 60 字で記述する問題を配し、説明的
また、漢字書き取り問題の正答率が全般的に悪かっ
文章を読み取る力を総合的に問うた。
た。より一層の語彙力増強を願う。
出典:朝井リョウ『スペードの3』
語句の意味やストーリーを確認する問題はよくでき
文学的文章の読解。
ていた。心情に関わる抜き出し問題の正答率は、低
現代小説の、中学生を主人公とした部分を引用
かった。記述問題に関しては、的確な解答を示すこ
しており、ストーリーの把握は難しくない。語
とができた答案と、解答の方向性がずれてしまった
二 句の意味・ストーリー・表現に関する選択問題、 答案に二分された。主人公の心情は地の文に組み込
主人公の心情変化に関する抜き出し問題、記述
まれているが、途中までは断続的に示されており、
問題を出題した。繰り返されている描写などに
最終部分で詳しく書き込まれている。これらを注意
気づき、本文を根拠として的確な読解ができて
深く読む必要があった。
いるかどうかを問うた。
三
出典:佐藤綾子『非言語表現の威力』
日常におけるコミュニケーションの問題を取り上げ
言語事項と作文の問題。
た文章で、例証もあり、読みやすかったのではない
言語事項としては、ことわざ、文法、対義語、
か。
を出題した。また、空欄補充問題も出題した。
言語事項については比較的よく出来ていた。
作文は例年通り、解答者が二つの立場のうちど
作文は、問題の条件に、引っ張られすぎた記述が少
ちらかを選んで自分の考えを書くものである。
なくなかった。例については、具体でも、抽象でも、
記述内容そのものよりも正しく文が書けている
可とした。記述を正確にできたかどうかで差がつい
かという点を重視した。
た。
論理的文章・文学的文章・言語事項と作文を出
大問三の作文問題は勿論のこと、各設問形式はここ
題し、国語の語彙力、読解力、記述力を問うた。 数年変わっていない。そしてこの設問に答える力が
全
大問毎に 50∼60 字程度の記述問題を出題し、総 高校国語を学習する上での基礎国語力の指標であ
体
合的な読解力と的確な記述力を見るものとなっ
る。ホームページで公開されている過去問には取り
ている。
組んで欲しい。
2015 年度 立命館慶祥高等学校
入試講評
英語
2015 年 2 月 20 日実施
大問
リス
ニン
グ
ねらい・出典
講評・学習の指針
[I]短い対話の最後の発話に続く返答を選ぶ、内
[I]は最後の発話に対する応答が求められる問題、[II]
容理解を問う標準問題。
は放送された英文の中から解答に必要な事項だけを聴き
[II]比較的長い文章を聞き、その内容に関する
取る問題であったが、後者は紛らわしい前後の情報のため
質問に答える応用問題。
誤答に誘導されるケースが見られた。落ち着いて正確に聞
き取ることが求められる。
Ⅰ
文法・構文知識を対話の中で活用できるかを問う
文法の習得だけでなく、語順整序を要求されている部分の
語句整序問題。[1]現在完了[2]単純過去+成
前後の単語とのつながりにも注意を配れるようになりた
句 [3]2文型構文+前置詞句[4]無生物主語
い。the day before yesterday のような成句も知識として
[5]助動詞+成句
押さえておきたいところである。
英文の手紙文中にある動詞の活用、および時制を
全体的によく出来ており、状況に応じて動詞の形を使い分
問う基本的な文法問題。[1]現在進行形[2]be
ける基本的な英語運用能力は身に付いているようだ。しか
動詞の数[3]現在分詞後置修飾[4]不定詞[5] しながら、高校入学後の教材で頻出するであろう後置修飾
Ⅱ
過去分詞後置修飾[6]enjoy + 動名詞[7]be 動
の概念が理解できていない。また every は単数扱いである
詞の時制[8]単純過去[9]現在完了形[10]主
ことを知識として覚えておきたい。ただ形を変えるだけで
語になる動名詞または不定詞
なく、文脈と内容から正しい形を類推する力が不足してい
る。
Ⅲ
対話文による読解問題。対話の流れに沿って状況
内容把握・内容一致については概ね正答率が高かったが、
を理解し、設問に答えることができるかどうかを
内容理解を問う英問英答問題については、不完全な解答で
問う内容理解問題。問題形式は空所補充・内容把
得点できないケースが見られた。何を答えるべきかわかっ
握・内容説明・内容一致。
ていても、誤った文法や単語のスペルミス等により正しく
表現できていなかった。
Ⅳ
全体
2種類のグラフを参考にしながら、日本国内で英
前年に続き英文のレベルは決して易しかったわけではな
語を指導しているネイティブ教師による 550 語程
いが、解答に必要な情報だけを文中より正確に読み取るこ
度のエッセイの内容を理解する問題。問題形式は
とがよく出来ており、正答率はとても高かった。全体的に
内容把握・内容一致。
受験生の英文読解力は高かったと言える。
リスニング・テストでは内容把握力を、筆記テス
前年までの日本語で説明する問題を廃止したため、得点率
トでは基礎文法力と長文読解力を試すものとし
が高くなった。例年通り基本スキルを判定する問題であっ
た。日常生活に即したコミュニケーション能力
たが、受験生の読解力は全体的に高かった。他方では語句
(情報を的確に理解し適切に伝える能力)を測る
の整序や英問英答に必要な文法・構文力に不安が残った。
問題を意識して出題した。英問英答問題について
今後はよく使われる英文の文法構造(構文)をもっと正確
は正しい文法語法の使用を評価した。
に学習し、ケアレスミスをなくしていく必要がある。
2015 年度 立命館慶祥高等学校
入試講評
数学
2015 年 2 月 20 日実施
大
ねらい・出典
問
Ⅰ
Ⅱ
小問集合
計算の基本問題。全体的に良く出来ていました。[1]は因
[1]因数分解の公式を利用した計算。
数分解の公式を使わずに、そのまま計算したと思われる
[2]連立方程式。両辺を 10 倍するときに注意する。
誤答が目立ちました。計算の工夫ができるかどうかを考
[3]因数分解。共通因数に注意する。
える習慣をつけましょう。[3]は方程式と勘違いしている
[4]確率の問題。樹形図を利用する。
答案が多かったです。どの問題も基本問題ですので、計
[5]文章題。
算ミスをしないように練習しておきましょう。
点の移動の問題
[1]、[2]は良く出来ていました。[3]は設定がやや複雑だ
[1]経過時間の条件から、面積を求める。
ったために、正答率は低かったです。与えられた経過時
[2]面積の条件から、経過時間を求める。
間のときに、点 P がどの位置にあるのかを正確に把握す
[3]面積を経過時間を用いて表す。
ることがポイントになります。
2 次関数
[1]、[2]は良く出来ていました。[3]で苦戦している答案
[1]
Ⅲ
講評・学習の指針
y 座標を求める問題。
が目立ちました。等積変形の知識や対称性を上手に使う
[2]直線の方程式を求める問題。
と解くことができます。[4]はπのつけ忘れ、約分のし忘
[3]面積の条件から、 x 座標を求める問題。
れが多かったです。
[4]回転体の体積を求める問題。
Ⅳ
平面図形
円周角の関係や直角三角形の性質を利用して、点 O が円
[1]角度を求める問題。
①の中心であることに気づけるかどうかがポイントに
[2]辺の比を求める問題。
なります。[1]は良く出来ていましたが、[2]以降で苦戦
[3]面積比を求める問題。
している答案が目立ちました。
[4]面積比を求める問題。
Ⅴ
全
体
立体図形
空間図形を苦手にしている生徒が多く、全体的に正答率
[1]角度を求める問題。
が低かったです。[1]から間違いが目立ちました。底面の
[2]面積を求める問題。
図だけを書き直してみると、把握しやすくなります。[4]
[3]線分の長さを求める問題。
はかなり計算が複雑だったため、正答率は非常に低かっ
[4]垂線の長さを求める問題
たです。
基礎から思考力を問う問題まで、幅広く出題しまし
どの分野においても基本的な問題での正答率は高かっ
た。計算力を養ったうえで、確率・図形・関数の演習
たです。立体の問題は設定がやや複雑だったため、正答
を十分に積んでほしいです。これらの分野は高校の数
率は低かったです。普段の受験勉強で、少し難しめの問
学につながります。
題にも積極的に挑戦してみましょう。
2015 年度 立命館慶祥高等学校
入試講評
理科
2015 年 2 月 20 日実施
大
ねらい・出典
問
Ⅰ
講評・学習の指針
全分野の基本的知識を問う問題です。
よくできていましたが、質量と重さの違いなど、
〔3〕〔4〕〔5〕では教科書をしっかり読み
授業の説明をしっかり記録する姿勢を身につけ
込んでいるかどうかを試しました。
ると、高校ではさらに成績が伸びていきます。
直列回路と並列回路での抵抗・電圧・電流の
〔1〕はよくできていましたが、抵抗に加わる
関係を単純な数値計算ではなく、グラフから
電圧を理解できていない人が多かったです。公
Ⅱ 読み取れるかどうかを試しました。
式を日本語の文章として理解できるように、
色々な演習をこなしましょう。
化学反応の量的な関係と、どの様な変化が起
計算問題は正解者が多く、よく学習しています。
こっているのかを理解しているかどうかを試
酸化と還元は、何が酸化された、何を酸化した、
Ⅲ しました。
という物質同士の関係が不明確な人が多かった
ので、なんとなくではなく、現象をよく整理し
て学習する習慣をつけましょう。
Ⅳ
自然界における物質循環を、炭素の流れから
〔2〕は、問題文を良く読んでおらず、植物=
考える問題です。また、生態系の乱れを身近
光合成と早とちりし、誤答する生徒が目立ちま
な動物で捉えることができるか試しました。
した。問題文を最後まで丁寧に読む習慣をつけ
難易度は標準的でした。
る必要があります。
〔3〕は正答率が低く、物質
の流れを具体的な事例と合わせて考えられる力
が必要とされます。
地震における基礎な知識や理解、地震波の伝
難易度が平易だったこともあり、非常に平均点
わる速度を、実際の観測データから答える問
は高かったです。誤答した部分については、基
Ⅴ 題です。難易度は平易でした。
礎的な学習内容の定着がなされていない可能性
が高いので、正確な知識・理解を身につけるよ
うにしてください。
例年、出題される時事問題です。今年度は青
〔1〕はノーベル賞3名の組合せであり、正確
色 LED の実用化に伴うノーベル賞と、国内に
な知識がないとやや迷う問題でした。
〔2〕は色
Ⅵ おける外来種問題の知識・理解を試しました。 の三原色と、光の三原色の違いを認識している
か問うた問題でした。全体的に正答率が高く、
よくできていました。
全
体
満遍なくいろいろな知識・応用力を見る問題
記述問題の表現の仕方を弱点とする受験生が多
を使い中学での基本的学習が定着しているか
くいました。そこを的確に表現できるようにな
を確かめました。
ってもらいたいと思います。高校では、もう一
段複雑な現象を記述することが多いからです。
また、比の概念を身につけた受験生が多く出来
は大変よかったです。
2015 年度 立命館慶祥高等学校
入試講評
社会
2015 年 2 月 20 日実施
Ⅰ【地理】
日本の地理を中心に,世界の主な国についても,基本的な事項を問うやや易しい問題とした。都道府
県と産業に関わる問題は,組み合わせの問題であったが,正答率は高かった。このような基本的な知識
をしっかりとおさえている一方で,
「棚田」を解答するような,幅広い知識への対応には個人差が見られ,
正答率が高い割には,満点を得点できた生徒は多くはなかった。
Ⅱ【歴史】
特定の時代に限定するのではなく、近日、北海道に延伸される新幹線沿線の歴史的な建造物・都市に
関連させて、幅広い時代にわたって設問を設定した。設問の内容としては、基礎・基本を確認しつつ、
歴史的事象に関する評価についての設問を織り交ぜ、歴史的な思考力を問う設問も設定した。〔1〕の
「漢委奴国王」については、正確に理解・記憶している受験生が少なかった。また、〔4〕(2)は、
設問の文章には「港」という語句を入れ、貿易港(港町)を念頭に問うたが、掲示した図版が出島のア
ップであったため(出島自体は港ではないので、想定していた解答でも良いが)、やや誤解を招く部分
もあるため、当初、解答とした「清(中国)」に加え、「オランダ」も正解とした。なお、歴史認識に
関わり、歴史学の研究成果を踏まえて解答する〔5〕(3)に関しては、選択問題としたこともあるが、
しっかり読んで理解した生徒が多かった。
Ⅲ【公民】法と人権思想<普通>
本校の教学理念に基づき、現代の社会へ関心を持つことを促す問題。もし国民がルール作りに無関心
であると、政治家が自分たちの都合で国民に不利な国家になる旨の物語の抜粋を読みむと、
〔1〕は「対
立があっても公正な観点で合意を形成する」与えられた語句を適切に使えず文章の意味が不明となり誤
答となる例があった。やや難しかったようである。
〔2〕の人物と人権思想の組み合わせ問題は標準的問
題であり、正答率は高かった。
Ⅳ【公民】企業の種類と株式会社<難>
経済活動の3主体の一つである企業に関する問題。
〔1〕は企業の種類であるが、公企業のうち国家か
ら独立し、なお国家のための業務を行う組織についての知識問題。難問であった。〔2〕「有限責任」を
期間としたり、配当はもらえないなどあいまいな理解のため誤答があった。
〔3〕標準的な正答率であっ
た。
Ⅴ【公民】女性の労働問題<やや難>
〔1〕時事問題となっている労働力不足に関する問題。問題演習が不足していると名前であることが
わからなかったのかもしれない。
〔2〕については女性の労働可能性が低くなる選択肢を選ぶ問題。正答
率は高かった。