Small, dense LDLおよび Remnant lipoproteinの 動脈硬化促進作用と

ランチョンセミナー2
LS-02
第22回日本未病システム学会学術総会
Small, dense LDLおよび
Remnant lipoproteinの
動脈硬化促進作用と栄養療法
演 者
田中 明 先生
女子栄養大学 栄養学部 実践栄養学科
臨床栄養医学研究室 教授
栄養クリニック所長
けい
座 長
しゅくへい
惠 淑萍 先生
北海道大学保健科学研究院 教授
会 場
日 時
北海道大学
学術交流会館 1階 小講堂
2015 年10 月11日
11:55 - 12:55
本セミナーの参加には整理券が必要です
● 配布時間は8:35∼ 配布終了までです。
● 整理券配布場所は北海道大学 学術交流会館 1 階ロビー
ランチョンセミナーチケット配布カウンターです。
● 整理券はなくなり次第配布終了とさせて頂きますので、
予めご了承ください。
共催
第22回日本未病システム学 会 学 術 総会
デンカ生研株 式会 社
Small, dense LDL および Remnant lipoprotein の
動脈硬化促進作用と栄養療法
田中 明 [女子栄養大学 栄養学部 実践栄養学科 臨床栄養医学研究室 教授 / 栄養クリニック所長]
Small, dense LDL cholesterol(sdLDL-C)およびRemnant lipoprotein cholesterol(RLP-C)は動脈硬化
危険因子である。両者ともにコレステロール値を測定しているが、血清トリグリセリド(TG)値と高い正相関
を認め、高コレステロール血症よりもむしろ高TG血症との関連が強く、食事・運動療法が有用である。本講
演では、sdLDL-CおよびRLP-Cの動脈硬化促進作用および食事・運動療法介入の成績を紹介する。
sdLDL-CはLDL分画(比重1.019∼1.063)のうち高比重(1.044∼1.063)、小粒子(粒子サイズ25.5nm以
下)分画中のコレステロール値である。sdLDLはLDL受容体への結合能が低下しており、通常のLDL受容体
を介する代謝が低下している。小粒子であり、動脈壁内皮細胞間を容易に通過し、動脈壁に侵入しやす
い。また、酸化変性を受けやすい。従って、血中停滞時間が長くなり、動脈壁に容易に侵入し、動脈壁内で
酸化変性を受け、マクロファージに取り込まれ、マクロファージの泡沫化を促進、動脈硬化を進展させる。
sdLDLはTGリッチなVLDL1の代謝産物であり、TG値と関連が強い。実際に、1,000例における血清sdLDL-C
値と血清TG値はr=0.62(P<0.001)の高い正相関を認めた。
臨床データでは、冠動脈疾患リスクと高sdLDL-C血症との関係が示されている。冠動脈造影による狭窄
冠動脈数および冠動脈狭窄スコアーは総LDL-Cおよび大粒子LDL-CよりもsdLDL-Cとの方がより高い関連
性を認めている。
RLPはTGリッチリポ蛋白であるカイロミクロンおよびVLDLの中間代謝産物である。RLPは動脈壁に取り
込まれ、酸化変性なしでマクロファージに容易に取り込まれ、マクロファージの泡沫化を促進、動脈硬化を
進展させる。高RLP-C血症では、単球の血管内皮細胞への接着亢進、動脈壁平滑筋細胞の増殖促進、血管
内皮機能障害促進、血小板凝集能亢進、PAI-1活性亢進作用が報告されている。臨床データでは、約3年間
の経過観察で、高RLP-C血症例は低値例よりも冠動脈イベント発症率の有意増加を認めている。
RLP-C値は食後高脂血症の有用なマーカーでもある。冠動脈造影により有意狭窄を認める例は認めな
い例に比較して、脂肪負荷後のRLP-C値上昇が有意に大きいことが示されている。
女子栄養大学栄養クリニックでは、1968年以来、メタボリックシンドローム例を対象に食事・運動療法を
集中して行うヘルシーダイエットコースを続けている。1コース15例に6ヶ月間、管理栄養士が1対1で食事
指導を行い、実際に運動指導士による運動療法も行っている。このコース参加者を対象とした検討で、
sdLDL-CおよびRLP-Cの有意低下を認めている。