繰り返し配列のあるPCR産物の ダイレクトシークエンス

遺伝子解析システム
Application Information No.3
CEQ / GeXP
繰り返し配列のあるPCR産物の
ダイレクトシークエンス
トランスフォーマントからダイレクトシークエンスをする時に、テンプレート中に繰り返し配列が存在すると、
きれいにシークエンスが読めないという症状があります。そこで原因と解決策を探ってみました。
ここまでは正確な配列が読める
ここからクオリティが低下
まずはプラスミド DNA をテンプレートとした PCR 産物のダイレクトシークエンスがあったので、
プラスミド DNA を精製してこれをテンプレートとしてシークエンスを実施しました。
正確な配列が読める
読めなかった位置以降の配列も問題なく配列を
読むことができた。
シークエンステンプレートになにか原因がありそう・・・
⇒プラスミド DNA→PCR 産物になる段階でテンプレートに何らかの問題が発生しているのでは?
Materials & Methods
ルーチンワークで使用している DNA Polymerase で PCR 産物を作成し、精製後にその PCR 産物をシークエンス
し、人為的にトラブルを再現しました。
① PCR 産物の確認
#1
#8
アガロースゲル泳動で 1 本の明瞭なバンドが
確認されたので、シークエンスしてみると・・・
② この PCR 産物をシークエンスすると、初めと同じような結果が得られました。
正確な配列が読める
コールが等間隔
ここから読めない
コールが不均一
T の繰り返し配列を DNA polymerase が Replicate している時に
酵素がスリップし、T の繰り返し配列後に複数の PCR 産物ができ
ている(テンプレートのコンタミが生じている)。
Result & Discussion
繰り返す配列を増幅する際に DNA Polymerase がスリップし、その結果 PCR テンプレートがコンタミネーションして
いるようです。
そこで PCR を行う際に Proof reading 機能のついた High Fidelity DNA polymerase を使用してテンプレートを作成し、
シークエンス反応を行いました。
High Fidelity DNA polymerase とは?
間違って組み込まれた塩基を正しい塩基に修正する
3’→5’エキソヌクレアーゼ(校正)活性がある酵素
① PCR 産物の確認
#1
#8
アガロースゲル泳動で 1 本の明瞭なバンドが
確認されました。
② High Fidelity DNA polymerase を使用することで、シークエンスデータのクオリティが改善されました。
正確な配列が読める
コールが等間隔
ここからもきれいにシークエンスが読める
コールが等間隔
Conclusion
繰 り 返 し 配 列 が 予 測 さ れ る テ ン プ レ ー ト を PCR 作 成 す る 場 合 、 3’ → 5’ エ キ ソ ヌ ク レ ア ー ゼ 活 性 の あ る
DNA polymerase の使用は、正確なシークエンスをえるためにも有用な手段です。
AI-C-003_0802a