ディプロマポリシー及びカリキュラムポリシー

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奈良大学ディプロマポリシー
奈良は、世界に誇ることのできる歴史と文化を持ち、豊かな自然環境にも恵まれた「国のまほろば」
である。奈良大学は、努力は天才であるとする建学の精神と、この立地環境を活かした教育を実践す
ることを謳った教学の理念を掲げている。この建学の精神と教学の理念に沿った以下の資質や能力を
身につけ、所定の単位を修得した学生に対して、学位を授与する。
・ 努力は、全ての人々に生まれつき備わった才能であるとの信念を以て、たゆまずに真理の探究
につとめることができる。
・ 日本と世界の歴史、文化、自然環境に関する幅広い知識と素養を持ち、それを現代社会の成り
立ちの理解と様々な問題の発見または解決に活かすことができる。
・ 多様な個性を尊重しつつ、みずからの意見を持って自発的に行動し、会話能力を高めて他者と
協調または議論できる。
・ 奈良の地域社会に学び、その文化や自然への興味と関心を深めつつ、国際的な視野に立って、
地域および世界の平和と発展について行動することができる。
文
学
部
ディプロマポリシー
文学部は、国文学科・史学科・地理学科・文化財学科の 4 学科より構成され、それぞれの学科で、
奈良にある大学という立地特性を活かした体験型学習教育を実践している。文学部は、地域や歴史の
中で培われてきた生活・信仰・風習・制度・思想・芸術などの伝統を掘り下げ学ぶ中で、教学の理念
に沿った豊かな人間性を持つ人材の育成を目標としている。
国文学科
ディプロマポリシー
国文学科では、古代から近現代にいたる日本の文学・言語を柱に、歴史・芸能・出版・メディア
表現といった隣接文化領域を含めた知識を学ぶことで、日本文化全般を考究する能力を養うことを
目指している。またそれらの学習活動を通じて、社会や歴史、文化と自己のかかわりを考え、それ
を自らの言葉で発信できる人材の育成も目標としている。よって修了の認定には、上記の教育理念
を実現するために設定されたカリキュラムの所定の単位を修める必要があり、そのためには以下の
ことが求められる。
1.読む・書くといった日本語のリテラシーの向上と、聞く・話すといったコミュニケーション能
力の錬成に努める。
2.国語・国文学に関する基礎的知識の習得はもちろん、文学作品・文献資料の精読・分析を通じ
て、主体的に研究する技術を身につける。
3.多様な文学作品に接することで人間への深い洞察を行うとともに、日本語に対する豊かな感性
と正しい運用能力を身につける。
4.言語や文学作品の考察を通じて社会や歴史、人間に対する理解を深め、高い文化的素養を身に
つける。
カリキュラムポリシー
国文学科は「言語文学」
「古典文学」
「伝承文化」「近代文学」
「現代文化」「本と出版」の 6 分野
を設け、伝統的な国文学研究のみにとらわれず、社会の変化に即応できる幅広い知識と教養を身に
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つけさせることを目標としている。また学生の発達段階と個々の学問的関心にきめ細かく対応する
ために、段階的なカリキュラム編成と、少人数教育をポリシーとしている。
1 年次必修の「言語文学」は主にディプロマポリシー1、2の達成を目標に、国語国文学の入門
的な知識の習得と、日本語リテラシーの向上に重点を置いて指導している。そのため少人数クラス
によって学習到達度の細かな確認を行うとともに、クラスメイトや教員と親睦を図りやすい環境を
提供することで、大学生活になじめるように配慮している。続く 2 年次必修の「国文学講読」では、
1 年次で得た知識を具体的に運用する能力を身につけるとともに、ディプロマポリシー3を達成す
べく、多様な文学作品や文献の精読・分析を通して、日本語表現に対する豊かな感性を養うことを
目指す。さらに専門性を高める 3 年次の「演習Ⅰ」では、内容を異にする 10 クラスのゼミを用意
し、少人数教育の徹底と学生の多様な専門的関心に対応できるように配慮している。またディプロ
マポリシー4の達成のために同時にゼミを 2 つ選択することを義務付け、多様な研究的視点と、人
間とそれを取巻く社会や文化に対する幅広い知見を得られるようにもしている。
そして 4 年次の「演
習Ⅱ」ではゼミとともに個別指導にも比重を置き、学生個々の研究のさらなる進展をはかる。それ
とともに 4 年間の研究成果の集成である「卒業論文」の指導を通して、ディプロマポリシー全体の
完成を目指してゆく。
なお国文学科には上記必修専門科目の他に多様な専門科目が開講されているが、「実地見学・踏
査」などの奈良の歴史的風土を生かした科目や、「本と出版・実習」をはじめとする実践型の科目
が多数含まれており、国語・国文学を体感的・立体的に学ぶとともに、文化全般に関する高い素養
を身につけることができるカリキュラムが編成されている。
史学科
ディプロマポリシー
本学の教育目標には「各学科開設の目的に即した、専門的知識・技術を基盤とした主体的な問題
探求能力の育成」と掲げられている。これをふまえた史学科教員の考える最も大きな目標は、学生
諸君が「物事を歴史的に考察できる人間になってほしい」ということである。この世の中に存在す
るすべての問題は、何らかの歴史的背景を有しており、それ故に『いま』と『これから』の自分(と
自分をとりまく社会)があるということを十分に理解してもらいたい。そして、これからの社会で
生きていくためには、どのような生き方を選択するにせよ、歴史を深く理解することが大切であり、
そのための基礎知識と分析の能力をもつことが不可欠だと考えるからである。それは、より具体的
には、大和にある豊富な歴史素材を世界史的観点から探求する営みとなるであろう。
そこで、次のような能力の養成が必要となり、それらを身につけた学生を卒業させることが目的
となる。
1.
基礎知識として、今までの常識・通説・先行研究を消化しつつ、それとは違う見方ができる
ようになる力
2. 問題の解決に必要な史料・データを探し出し、それを読みこなす力
3. 1,2の結果を、他者に対して、文章あるいは口頭で、わかりやすく、論理的かつ具体的に、
適切な根拠を明示しつつ伝えることのできる力
4.
3のような形で他者が述べた成果について、冷静に理解・判断し、その上で必要かつ有益な
批判をおこなう力
カリキュラムポリシー
ディプロマポリシーで目標として掲げている能力を実践的に養うために、次のような専門科目を
設けており、そこでつちかわれた力の総合的集積として、卒業論文の作成が位置づけられ、重視さ
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れる。
1について 史学研究法、概論、特殊講義、歴史学通論、演習
2について 史料講読、演習、史料実習
3について 演習(口頭)
、卒業論文(文章)
4について 演習、特殊講義(レポートあるいは筆記試験において)
地理学科
ディプロマポリシー
地理学科では、所定の期間在籍し、全学の学位授与方針の他に、以下に示す資質や能力を身につ
け、所定の単位を修得し、卒業論文(学士論文)審査に合格した者に対し学位を授与する。
1. 景観、気候、歴史、文化、産業、暮らしなどを調べ理解することにより、地域の特性を多面的
かつ総合的に把握し、地域社会や世界の未来について自分なりの判断を導き出すことができる。
2. 現代の高度な情報通信社会の重要な基盤となっている地理空間情報の仕組みを理解し活用す
ることにより、より幸福な地域社会や世界の構築に貢献することができる。
3. 多様な人びとや生き物が共存する地域や地球の営みを理解し、人間や生物の平和と発展を考え
ることができる。
カリキュラムポリシー
地理学科では、上記の資質や能力を養うために、下記のような方針でカリキュラムを編成する。
1. 学生の多様なニーズに対応するため、地形、気候、水文、動物生態、都市、農村、歴史、観光、
地理情報システムなど幅広い分野にわたる科目を開講する。上記の科目は、「環境」、「都市・農
村」
、
「歴史・観光」
、
「地理情報」の4つに分類を設定し、学生の履修上の便宜を図る。都市計画、
防災、環境問題など応用的、実践的分野な内容の授業も開講し、必要に応じて現場の業界関係者
等とも連携する。
2. 地理情報システム(GIS)
、ネットワーク、マルチメディア、画像処理、統計分析など、新しい
地理空間情報の技術の仕組みや活用法について、知識や技能を指導する。また、それらを取り扱
う上で遵守すべき決まりやマナーなどの情報倫理やセキュリティーについても指導する。
3. フィールドワークを重視して国内での日帰り巡検、宿泊巡検さらには海外巡検などを実施し、
様々な地域の人々や自然にじかに触れさせることにより、人々や自然の営みを理解させる。
文化財学科
ディプロマポリシー
文化財学科では、さまざまな観点から文化財について深く学び、総合的に理解することを目指す。
遺跡や実物資料を第一に考える「現地・現物を重視する教育」を実践し、かつ国際的な視野を持ち、
積極的に文化財の保護・活用に取り組める人材の育成を目指す。そのためには、次のようなことが
求められる。
1. 確かな学びの姿勢と国際的視野を持つこと
歴史遺産に恵まれた古都奈良を拠点として、現地現物主義を実践し、確かな姿勢で歴史や文化
財を学ぶとともに、日本のみならず世界へと向けた国際的な視野を持つこと。
2. 文化財学を習得し、保護・活用に積極的に取り組むこと
考古学・美術史・史料学・保存科学・文化財博物館学・世界遺産学を総合した「文化財学」を
修得するとともに、さまざまなかたちで文化財の保護・活用に積極的に取り組むこと。
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カリキュラムポリシー
1.文化財の調査・保存・修復・活用等に関する専門知識および技術を修得するため、実習科目を
核とした実践的な教育をおこなう。
2.遺跡や実物資料を適切に活用した実践的教育をおこなう。
3.考古学・美術史・史料学・保存科学・文化財博物館学・世界遺産学を総合した「文化財学」の
修得をめざし、多様な分野の学術的研究を幅広く学べるようにする。
社会学部
ディプロマポリシー
社会学部では、以下の諸力を涵養し、人間性に富む豊かな教養と深い専門性を身につけた創造的な
人材を育成する。所定の年限以上在籍して、本学部がその教育目標に沿って設定した授業科目を履修
し、所定の単位を修得し、かつ卒業論文の審査に合格した者に学士(社会学)の学位を授与する。
1.専攻する学問分野における基本的な知識の体系的理解力、さらに専門的知識を応用できる
高度な知的理解力。
2.専門的知識や実践的研究法に立脚し、広く社会の諸課題を探求し、その問題解決と社会の
発展のために貢献できる実践的能力。
3.これまでに修得した知識・技能・研究法等を総合的に活用し、自らの課題を発見・探求・
解決する能力。
心理学科
ディプロマポリシー
個人と社会との関わりを重視し,地域社会に貢献できる人材の育成を教育目標に掲げている。こ
の教育目標を実現するためのカリキュラムの所定の単位を修めた学生に修了が認定される。
そのためには,授業を通じて以下の能力を習得することが求められる。
1.人間行動に対する臨床心理学的,あるいは社会心理学的な理解力と洞察力。
2.臨床心理学,あるいは社会心理学に関する専門的知識や実証的研究法に立脚し,現代社会の課
題に対して,実践的に取り組むことができる能力。
カリキュラムポリシー
「リサーチ・オリエンティッド」と「アクション・リサーチ」という二つの言葉で表現される実
証的で実践的な心理学教育を重視し,そのコンセプトのもとに,臨床心理学コースと社会心理学コ
ースの二つを設けている。
「臨床心理学コース」では,科学的心理学の基礎を学んだ上で,現代社会の「心の問題」に対処す
る知識や技術の習得を目指す。
「社会心理学コース」では,われわれの心の仕組みが社会との関係に立脚していることを理解した
上で,
「個と社会の関わり」を実証的に検討する知識と技術の習得を目指す。
総合社会学科
ディプロマポリシー
所定の修業年限を終え、学科の設定した科目を単位修得し、以下の専門的知識、能力、実践力を
身につけ、卒業論文の口頭試問に合格した者に、学士(社会学)の学位を授与する。
1.現代社会についての総合的な知識、及び、社会学、文化人類学、経済学、経営学、情報学の
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いずれかの分野についての専門的な知識。
2.社会で行われている様々な社会調査の結果を、専門的知識に基づいて読み解くことのできる能
力。
3.上記の1と2の専門的な知識と能力を用いて、現代社会をよりよく生きるために行動できる実
践力。
カリキュラムポリシー
学科の教育研究上の目的を達成するために、以下の方針でカリキュラムを編成する。
1.社会学、社会調査法、文化人類学、経済学、情報学の基礎を学ぶための基礎科目を、1 年次生
を対象にして設置し、演習を通じて卒業論文を完成するための基礎科目を、3 年次生及び 4 年
次生を対象にして設置する。
2.社会科学の基本的方法について学ぶ基礎方法論科目を 1 年次生を対象にして設置し、実習を通
じて社会科学の実践を学ぶための方法論実習科目を 2 年次生を対象にして設置する。
3.現代社会の様々な問題に対する社会科学的研究を学ぶための専門選択科目を、2 年次生、3 年
次生及び 4 年次生を対象にして設置する。
教養教育
ディプロマポリシー
本学の教養教育の目標は、広い視野と課題探求能力を備えた「教養ある人間」の育成である。「教
養ある人間」になるためには、以下の5つの資質を身につけることが必要である。
1. 明瞭かつ論理的に考え、効果的に表現できる。
教養ある人間になるには、普遍的な教養として、明瞭に読み、書き、考える能力を獲得した
うえで、論理的に思考し効果的に表現できることが必要である。
2. 自然や社会、我々自身について、批判的に学ぶことができる。
教養ある人間となるには、自然や社会、我々自身の成り立ちなど、様々な知識体系について
理解するとともに、それらを応用する方法や発想法の多様性について、批判的に評価することが
必要である。
3. 広く他国の言語や文化、過去の時代と歴史を理解し、尊重することができる。
教養ある人間となるには、自国と共に、他国の文化や過去の時代を正しく理解する必要があ
る。自らの所属する地域や社会に閉じこもったり、他国・他地域の言語や文化、過去の時代に無
知であってはならない。
4. 道徳的・倫理的諸問題について理解し、判断できる。
教養ある人間となるには、道徳的・倫理的な問題について体系的に理解して考え、価値観の
多様性と相対性について判断できる力を持つことが必要である。
5. 何らかの知的分野を深く学ぶことができる。
教養ある人間となるには、なんらかの知的分野の体系的な知識を獲得し、それらを応用する
方法や発想法を身につける必要がある。
以上のうち、5の要請は、各学部・学科の教育の根幹であるが、この5はあくまでも教養ある人間
として求められる資質の1つであって、1〜4と相まってこそ、課題探求能力を備えた教養ある人間
の基盤になるものだと考えられる。
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カリキュラムポリシー
教養部では教養部ディプロマポリシーの達成のために、基礎科目、主題科目、外国語科目、健康・
スポーツ科目の 4 つの科目を設定している。
1. 基礎科目
基礎科目は、教養ある人間としての資質1の獲得に資するために設定されるもので、基礎的な
「学びの技法(スタディ・スキルズ)
」や「発表・討論の技法」を身に着けることを目的としてい
る。また、モバイルデバイスを含めた情報機器を用いた技術のみならず、高度情報化社会におけ
る諸問題に対応するための科目も含まれている。
2. 主題科目
主題科目は、主として教養ある人間としての資質2、3、4の獲得に資するために設定される
もので、これからの時代を主体的に生きていくのに必要な、基本的な諸問題を取り扱う。数多く
の主題科目の中から、まとまりを持って自分なりの『主題』を見つけて学んでもらうために、
「人
間」「国際関係」「環境」という3つの分野を設定し、対応するコア科目群を配置している。各コ
ア科目群は、互いに関連しつつも異なる視点や発想法による科目群で構成されている。
3. 外国語科目
外国語科目は、主として教養ある人間としての資質3の獲得に資するために設定されるもので、
外国語の習得は、国際化時代に適応し、学問を深めるための基礎となる。外国語科目は、A 群(英
語)と B 群(ドイツ語・フランス語・中国語・韓国語)に分かれている。A 群と B 群のそれぞれを
習得しなければならないが、それぞれ複数の分野と種類に応じて多数のクラスを設けているので、
その中から自由に選択することができる。
4. 健康・スポーツ科目
健康・スポーツ科目は、1から5のすべての資質の獲得に資するために設定されている。健康・
スポーツ科目は、実技科目の「スポーツ実技」、講義科目の「健康論」で構成されている。「スポ
ーツ実技」は身体運動の理解を深め、スポーツを段階的に学び、継続化する力を養うことを目指
している。
「健康論」は、健康について生理学的に理解し、生涯を通じて自らの健康を把握、改善
する力を身につけることを目的としている。