当院における横紋筋融解症の小児例の検討

当院における横紋筋融解症の
院
横紋筋融解症
小児例の検討
○ 奥山 力、土屋喬義、山中みよ子、
鈴木直基、土屋恭子、宮地満佐子、
山口勝之、土屋與之
土屋小児病院
はじめに
☆横紋筋
横紋筋融解症は骨格筋の壊死・融解により、筋細
解
骨格筋 壊
解
、筋細
胞成分が血中に大量に流出した状態を意味してお
り、臨床的には急性腎不全を起す事が問題となる。
☆小児領域では、Crush症候群・熱傷・過激な運動等
☆小児領域では、Crush
症候群・熱傷・過激な運動等
による外傷性要因<
による外傷性要因
<39
39%
% Gabow Paらの報告>
Paらの報告>が
が
原因として多い。し
原因として多い。
しかし、感染<感染
かし、感染<感染55% ウイルス
感染33% Gabow PAらの報告>
感染
PAらの報告>や小児領域で日常
や小児領域で日常
使用する薬剤<
使用する薬剤
<CAM
CAMクラリスロマイシンは
クラリスロマイシンは2001
2001年
年3
月より横紋筋融解症を重大副作用として追加>に
月より横紋筋融解症を重大副作用として追加>
に
関する報告もある そこで 当院において過去3
関する報告もある。そこで、当院において過去3
関する報告もある。そこで、当院において過去
当院において過去3年
間に認められた横紋筋融解症を示唆する症例につ
いてRetrospective
いて
Retrospectiveに検討したので報告する。
に検討したので報告する。
対象と方法
H12.9/1~H14.8/31
H12.9/1~
H14.8/31の
の3年間で当院に入院した患者
年間で当院に入院した患者2985
2985人
人。その内入院中
CPK高値
CPK
高値(1000U/L
(1000U/L以上
以上))<8症例>・
<8症例> 歩行障害・
<8症例>・歩行障害
歩行障害・筋肉痛
筋肉痛を訴えた
を訴えた4
4症例
症例につ
につ
いて以下の項目に関して検討した。
ⅰ)身体所見
ⅰ)
ⅰ)身体所見:有熱期間・上気道炎症状・筋肉痛・歩行障害・褐色尿・乏尿
身体所見 有熱期間 上気道炎症状 筋肉痛 歩行障害 褐色尿 乏尿
身体所見:有熱期間・上気道炎症状・筋肉痛・歩行障害・褐色尿・乏尿
ⅱ)神経所見:神経学的所見・腱反射・意識障害
ⅱ)
神経所見:神経学的所見・腱反射・意識障害
ⅲ)検査所見:
ⅲ)
検査所見:
血液所見―WBC(Neu,Lym,Mon)
血液所見
―WBC(Neu,Lym,Mon)・
・Hb
Hb・
・Plt
Plt・
・CPK(MM
CPK(MM,MB,BB)
,MB,BB)・
・
GOT・
GOT
・GPT
GPT・
・LDH
LDH・
・ALP
ALP・
・BUN
BUN・
・Cre
Cre・
・CRP
尿所見 ―蛋白・
蛋白・潜血
潜血・ケトン・
・ケトン・尿沈査
尿沈査・
・尿中ミオグロビン
その他 ―ECG
ⅳ)内服薬 :高脂血症治療薬(
:高脂血症治療薬(フィブラート系薬剤・
フィブラート系薬剤・HMG
HMG--CoA
CoA還元酵素阻
還元酵素阻
害剤))・ニューキノロン系製剤・バゾプレシン等
害剤
・ニューキノロン系製剤・バゾプレシン等厚生労働省医薬
キ
ン系製剤
ゾプレシン等厚生労働省医薬
ゾプレシン等厚生労働省医薬
品・医療用具等の安全性情報の中で横紋筋融解症に関与す
品・医療用具等の安全性情報
の中で横紋筋融解症に関与す
ると報告された医薬品使用の有無
上記のⅰ)
上記の
ⅰ)~
~ⅳ)
ⅳ)を検討し、横紋筋融解症と考えられる
を検討し、横紋筋融解症と考えられる44例について考察した。
1
2
3
4
症例
3歳・女児
6歳・男児
1歳・女児
4歳・男児
主訴
歩行障害・
四肢痛
なし
なし
咳嗽・下肢
咳嗽・下肢
痛
発熱5日目
食愢不振
なし
なし
発熱3日目
咳嗽
なし
なし
家族歴
既往歴
現病歴
H12.9/29・30
H12.9/29・
に38度台の
発熱。
解熱後より歩
解熱後
より歩
行障害・四肢
痛あり受診
なし
なし
H12.9/9に
H12.9/9に
38度の発熱。
H14.4/14~
H14.4/14~
発熱持続。
17日に発疹+
日に発疹+
解熱3日後より
解熱3日後
より 17
両側下肢痛
発熱55日目に
発熱
目
歩行困難あり 食愢不振にて
受診
受診
H14.6/10~
H14.6/10
~
発熱・咳嗽続
き受診。改善
認められず
認められず、
血液検査後
入院
咳嗽・四肢の 咳嗽・両腓腹
発熱・脱水+ 発熱・咳嗽+
入院時
痛みあり、起 部痛あるも、起 歩行障害(-) 歩行障害(-)
所見 立不能
立可能
機嫌
良好
良好
筋肉痛(-)
不良
筋肉痛(-)
不良
症例
1
3歳女児
2
6歳男児
有熱期間
2日間
1日間
3
1歳女児
4
4歳男児
歳男児
11日間
5日間
―
―
筋肉痛
部位
+ 1日間 + 1日間
両側四肢 両側腓腹
歩行障害
症状
尿所見
+ 5日間 + 1日間 + 8日間
+ 1日間
起立不可 起立可能 動揺性歩行 起立可能
―
―
入院時排尿
―
(―)
―
―
―
―
神経所見
ECG
内服薬
―
―
―
―
特定不能
特定不能
―CFTM
CFTM--PI
―CFTM
CFTM--PI
CFPN
CFPN
1
2
3
4
H12.10/3
H12.
3700
13.0
10.9
H13.9/12
H13.
4000
14 6
14.6
12.0
H14.4/18
H14.
6900
12 6
12.6
23.4
H14.6/12
H14.
6300
12 6
12.6
16.2
GOT U/L
GPT U/L
LDH U/L
5043
97
3
0
124
36
1025
2253
97
3
0
100
29
2253
H14.4/19
7700
95
4
1
317
82
1697
1889
99
1
0
66
23
775
Urinalysis
OccultBlood
Mb ng/ml
―
24.2
―
10.4
2+
2351.4
―
19.0
Hematplogy
H
l
WBC /mm3
Hb g/dl
Plt /mm3
Biochemistry
CPK U/L
MM
MB
BB
%
%
%
症例3の経過
30000
41
25000
40
39
20000
38
15000
37
10000
36
5000
35
0
34
CPK
入院病日
WBC
発熱
歩行障害
インフルエンザ筋炎と横紋筋融解症(小沢ら)
筋炎
横紋筋融解症
報告例
163例
163例 男女比 2:1
31例
31例 男女比 1:1
年齢
小児(154
小児(
154例)他は高齢
例)他は高齢
全年齢
発症機序
直接浸潤
直接浸潤 toxin
直接浸潤・toxin
直接浸潤・
発症様式
回復期
極期・回復期
症状
筋肉痛
筋力低下・筋肉痛・乏尿
筋力低下・筋肉痛・
筋肉痛 乏尿・
乏尿・
呼吸障害
高熱・咳嗽等の初期症状が
改善する頃(11~5日)多い
改善する頃(
罹患筋
両腓腹筋・大腿筋
両腓腹筋含む下肢・上肢・
両腓腹筋含む下肢・上肢・
呼吸筋
検査所見
CK:正常~22万台(安藤ら)
CK:正常~
GOT・
GOT
・LDH
LDH・
・ALD
ALDの上昇
の上昇
CK:数千~
CK
:数千~10
10万台(安藤ら)
万台(安藤ら)
尿所見
正常
ミオグロビン尿
予後
良好
死亡・慢性腎不全・DIC
死亡・慢性腎不全・DIC等
等
診断指針
外傷性要因(Crush症候群・過激な運動など)
非外傷性要因(感染・薬剤・痙攣・基礎疾患など)
赤褐色尿・尿潜血・尿沈査
筋系酵素の上昇
(CPK GOT LDH ALD)
(CPK・GOT・LDH・ALD)
血中・尿中Mb上昇
横紋筋融解症治療開始
確定診断
(筋生検・シンチなど)
BUN・Cre上昇・乏尿
血小板減少・FDP上昇
急性腎不全治療
DIC治療
結語
1.当院における横紋筋融解症の小児例に いて
1.当院における横紋筋融解症の小児例について
検討したので報告する
2.感染を契機とした横紋筋融解症は、決して少ない
疾患ではなく、早期の診断
疾患ではなく、
早期の診断と
と腎不全を予測した積
極的な治療が重要である
極的な治療
が重要である
3.感冒においても、
3
3.感冒においても、早期の
感冒においても 早期のCPK
早期のCPK測定
測定は
測定は、診断のため
は 診断のため
は、診断のため
の重要な要素である
終わり