教室訪問VOL.11 政策学と法律学の学際領域を追求し政策に生かす! -「政策法務論」(担当・礒崎初仁先生)- 公共政策研究科 10 期の修士1年の別府貴行です。今回の教室訪問では、 「政策法務論」 を取り上げたいと思います。授業の担当教員は、本研究科の専任教員であり、中央大学法 学部でも教鞭を取られている礒崎初仁先生です。 政策法務とは何か。本授業では、 「法を政策実現の手段と捉え、政策実現のためにどのよ うな立法、法執行、争訟評価が求められるかを検討する理論及び実務における取り組み」 と定義し、政策学と法律学の両方をバランスよく使って考えていく力を付けていくことが できます。 本研究科の名称でもある「公共政策」とは、一面においては、非常に学際的な学問領域 であり、法律・政治・経済・統計などの様々な学問を整理・統合しながら、政策立案に生 かしていくことが求められると言えるでしょう。私個人の考え方ですが、公共政策とは「取 り外しのできる様々なメガネ」を作り上げることだと思っています。法律学のメガネ、政 治学のメガネ、経済学のメガネ・・・など、いろんな学問領域のメガネを自分の中に身に 付け、そのメガネを付けたり外したりしながら、物事を多面的に見ていく力を養うこと、 それが公共政策だと思います。そうした意味でも、政策法務という考え方は、政策学と法 律学の学際領域を追求し、政策に生かしていくという点で、公共政策研究科にふさわしい 科目であると言えるでしょう。 授業では、グループに分かれて、実際に条例を作りながら、自治体の政策形成過程を学 ぶことができます。この時に使うのが、 「条例づくり調書」です。これは、条例を作る際の 検討事項を①立法事実、②関係法令、③対応策の列挙と比較検討、④条例骨子の策定、⑤ 条例案の評価、に分けて考えて整理するものです。 私たちのグループでは、自転車の安全利用と利用促進に関する条例の作成をテーマとし て取り組みました。自転車の安全利用に関する条例は全国各地に存在します。まず、それ らを概観しながら、条例に規定されている対応策の「相場観」を掴むことにしました。具 体的には、条例の規定事項について表にして整理した論文を参考に、各自治体の条例につ いて調査し、対応策の比較検討を行いました。関係法令として道路交通法があり、それを 踏まえながら、 「自治体でできることは何か?」を考えながら、条例作りを行いました。 この授業で、政策についての基本的なリサーチの仕方や、条例の骨組み、政策実現のた めの手法や妥当性などを学ぶことができ、公務の道を目指す学生に必要な基本的な分析の フレームワークを身につけることができます。是非とも、公共政策研究科の門戸を叩いて いただき、自治体の政策法務の真髄を一緒に学びましょう。 (文責・別府貴行/修士1年) ●担当教員のひとこと これまで法律学と政策学は切り離されてきました。それらを融合させて、よりよい政策 のために法律や条例をどう使いこなすか。これが政策法務の発想です。でも学生たちが自 ら考え、議論しなければ意味はありません。この授業では、テキスト(礒崎『自治体政策 法務講義』第一法規)を読んで議論したうえで、3グループに分かれて条例案をつくり、 教室を「議場」に見立てて提案・質疑・議決を行いました。名答弁と迷答弁が入り混じり、 議長役の私も大いに楽しみました。 (礒崎初仁/公共政策研究科教授)
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