経鼻内視鏡における前処置方法の検討~スプレー法とネラトン法の比較~ 【目的】 健診や精査目的で胃内視鏡検査を受ける患者は多く、当院では平成 22 年経口内視鏡検査を受けた 患者が 1850 名であった。その中で患者から経鼻内視鏡を希望する声もあり、平成 23 年 4 月より経 鼻内視鏡を導入した。前処置は安全で簡便なスプレー法を採用していたが、鼻腔の拡張が不十分で 経口に変更する症例があり、効果的な前処置方法なのか疑問を持った。今回ネラトン法を採用する にあたりその有用性を比較検討したので報告する。 【対象】 平成 23 年 10 月 13 日から平成 24 年 12 月 27 日迄に経鼻内視鏡を受けた 232 例。 【方法】 前処置方法を以下の 2 群に分けた。①平成 23 年 10 月 13 日から平成 24 年 9 月 15 日迄ジャクソン スプレーを用いて硝酸ナファゾリン(プリビナ®)と 4%塩酸リドカイン(4%キシロカイン®)を散 布するスプレー法(S 群)②平成 24 年 9 月 18 日から平成 24 年 12 月 27 日迄プリビナ®と 4%キシ ロカイン®散布後、2%塩酸リドカイン (キシロカインビスカス®)を注入しネラトンカテーテル 18Fr を留置するネラトン 1 本法(N 群)。経鼻内視鏡検査後に検査の苦痛度と麻酔の苦痛度をアンケー ト調査しχ₂検定で分析した。 【結果】 症例の内訳は、S 群 101 名、N 群 131 名。うち経鼻から経口に変更した患者は S 群 14 名(15.2%)、 N 群 2 名(1.7%) 。検査の苦痛度を比較すると S 群 20 名(19.8%) 、N 群 38 名(29.0%)と有意 差はなく、麻酔の苦痛度の比較では S 群 16 名(15.8%) 、N 群 28 名(21.3%)と N 群に明らかな 有意差を認めた。(P=0.0021) 【考察】 今回、ネラトン法の前処置をすることで鼻腔拡張効果が得られ、経鼻から経口へ変更した症例は減 少した。しかし、麻酔の苦痛度が高いのはネラトンカテーテル挿入時の物理的刺激により個人差が ある為と推察される。 【結語】 経鼻内視鏡前処置方法としてネラトン法はスプレー法と比較し鼻腔拡張効果はあったが、苦痛度の 高い前処置方法だと思われる。今後は満足のいく内視鏡検査の提供ができるよう前処置法を再度検 討すると共に、患者にとって苦痛が少なく安全で簡便な前処置方法を確立していく必要がある。
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