研究テーマ 聞く・話す活動を充実させ、外国語に慣れ親しむ態度を育む指導の工夫 提案者 肥 田 幸 則 Ⅰ 1 研究テーマについて テーマ設定の理由 小学校学習指導要領解説外国語活動編では、コミュニケーション能力の素地を養うためには、 「言 語や文化について体験的に理解を深めること」「積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度 の育成を図ること」「音声や基本的な表現に慣れ親しませること」などを踏まえた活動を、統合的 に体験することが必要であると示されている。 本研究では、コミュニケーション手段の中でも特に、聞く・話す活動を充実させ、伝え合う楽し さを味わわせることが、コミュニケーション能力の素地を養うことにつながるのではないかと考え た。このような考えに至った過程として、本学級の児童の実態がきっかけとなっている。 本学級の多くの児童は、外国語活動の授業を楽しみにしている。そのため、授業中も、英語を使 いながらチャンツや歌、ゲームなどの活動に意欲的に取り組む姿勢がよく見られる。しかし、その 一方で、二つの課題となる児童の姿も見られた。一つ目は、教師や友達との関わりの中で英語で話 すことに自信がもてない、恥ずかしいといったコミュニケーションに対する苦手意識をもった児童 の姿である。これは、児童が普段の授業の中で、英語の発音をよく聞き取ることができないために、 何をしたらよいのか、どのように答えたらよいのかが分からないといったことが原因ではないかと 考えられる。二つ目は、チャンツやゲームなどの英語を使った活動自体を楽しんではいるが、友達 と英語で伝え合う楽しさを十分に感じることができていないという児童の姿である。これは、一つ 一つの活動が教師から与えられたものになってしまい、目的意識をもって友達と話をして交流をし ていないことが関係しているのではないかと考えられる。このような実態を踏まえると、外国語を 聞く・話す活動を充実させ、伝え合う楽しさを味わわせる必要があると考えた。 そこで本研究では、一つ目の課題を解決するために、まず聞く活動を充実させていく。英語での 表現の仕方を学ぶ際に、教師対教師、教師対児童、児童対児童というようにスモールステップでの 活動を取り入れることで、教師や他の児童の会話を繰り返し聞くことができるようにする。他者の 会話を繰り返し聞くことで、児童は表現に慣れ親しむことができ、これが自信をもって話すことに つながっていくと考える。 二つ目の課題を解決するために、話す活動を充実させていく。話す活動を充実させるためには、 児童が進んで英語でコミュニケーションをとりたいと思うようなコミュニケーション場面を設定す ることが大切であると考える。本研究では、自分の希望に合った旅行会社を決め、海外旅行に行く という場面を設定し、日常生活でのコミュニケーション場面を意識した体験的な活動を取り入れる ことで、児童が目的意識をもって英語で話すことができるように する。このような指導を行うことで、聞く・話す楽しさを味わわ せることができるのではないかと考えている。 以上のような考えから、本研究テーマを設定し、実践に臨むこ ととした。 2 テーマにせまるための方策 研究テーマにせまるために、次のような研究の視点と手立てを 講じ、実践を通して検証を試みる こととした。 視 点 外国語を伝え合う楽しさを味わうことで、聞く・話す活動を充実させるようにする。 〈手立て〉 (1) スモールステップによる活動を取り入れることで、外国語を伝え合う楽しさを味わうことがで きるようにする。 (2) 日常生活でのコミュニケーション場面を意識した活動を取り入れることで、外国語を伝え合う 楽しさを味わうことができるようにする。 -1-
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