① 上に載るプレートが海洋リソスフェアの場所では,火山とその生成物は

[65]
①
上に載るプレートが海洋リソスフェアの場所では,火山とその生成物は,
アラスカのアリューシャン諸島や西部太平洋のマリアナ諸島のような海洋
性火山弧の群島を作る.
② 沈込みが大陸の下で起こる場所では,火山と火山岩は合体して陸上に山の
多い火山帯を作る.例えば,大陸性の南アメリカプレートの下への海洋性ナ
スカプレートの沈込みを示す(沈みこみの発現である)アンデス山脈がその
例である.
③
同じように,小さなファンデフカプレートの西部北アメリカプレートの下
への沈込みは,カリフォルニア州北部,オレゴン州そしてワシントン州に活
火山を伴うカスケード山地を生み出した.
[66]
① 日本列島の地勢(地形)は,沈込み帯で何 100 万年もかけて進化した,貫
入岩と噴出岩の複合体の典型例である.
② この小さな国の至る所が,さまざまな年代のあらゆる種類の噴出火成岩で
あり,それが苦鉄質及び中間組成の貫入岩,変成した火山岩,そして火成岩
の侵食で生まれた堆積岩と複合している.
③ これらの多様な岩石の浸食は,あまりにも多くの古典的及び現代的日本画
に描かれた独特の景観の一因となった.
プレート内火山活動:マントルプリューム仮説
[67]
①
減圧融解は拡大中心での火山活動を説明し,流体が誘発した融解は沈込み
帯の火山活動の原因となるが,どのようなメカニズムがプレート内火山活動,
つまり,プレート境界から離れた火山を生成するのだろう?
[68] ホットスポットとマントルプリューム
① 太平洋プレートの中央部を横切って広がるハワイ諸島を考えてみよう(図
12.19 を見よ).
② この諸島はハワイ本島の活火山に始まり,次第に古く,活動を止め,侵食
され,水中に沈んだ火山の嶺と山の列になって北西に続いている.
③ 地震という点では活動的な中央海嶺と対照的に,ハワイの(火山)列は,
頻発する巨大地震によっては特徴付けられない(その火山の中心を除く).
④ 基本的には非地震性(地震がない)であり,それゆえ非震性海嶺と呼ばれ
る.
⑤ 火山活動が活発なホットスポット(hot spot)は,次第に古くなる非震性海
嶺の起点(始まり)に位置し,太平洋の他の地域や他の巨大な海洋盆で見ら
れる.
⑥ ソシエテ諸島の南東端に位置するタヒチの活火山,無地震のナスカ海嶺の
西端に位置するガラパゴス諸島は,その例である.
[69]
①
いったんプレート運動の一般的傾向が解き明かされると,地質学者は,こ
れらの非震性海嶺が火山の行路をかなり正確に近似して(辿って)おり,あ
たかもホットスポットがマントル中にしっかりと固定されたトーチランプ
であるかのように,互いに相対的に固定された一連のホットスポットの上を
プレートがすばやく移動していることを示すことができた(図 12.21).
② 地質学者は,ホットスポットが,マントルプリューム(mantle plume)と呼
ばれるマントル深部(おそらくコア-マントル境界の深さ)からの細い円筒
状噴流内を上昇してくる高温固体物質が火山となっての現れているという
仮説を立てた.
③ マントルプリュームに連れて来られたカンラン岩が浅所で低圧に達すると,
それらは融解し始め,玄武岩質マグマを作る.
④ マグマはリソスフェアを貫き,地表に噴出する.
⑤ ホットスポットの上のプレートの現在の位置は,活火山によって特徴付け
られ,プレートがホットプレートから離れるに従い非活動的になる.
⑥ プレートの運動はそのため,活動を止め,次第に古くなる火山の列を生み
出す.
⑦ 図 12.21 に示したように,ハワイ諸島はこの傾向に良く適合し,約毎年 100
ミリというハワイホットスポットの上の太平洋プレートの移動速度を与え
る.
[70]
①
大陸内部のプレート内火山活動のいくつかの側面もまた,プリューム仮説
を用いることで説明された.
② イエローストーンが一つの例である.
③ 北西ワイオミングのイエローストーンカルデラは,たった 600000 歳であり,
間欠泉,沸騰する温泉,隆起,そして地震を伴っており,未だに火山学的に
は活動的である.
④ イエローストーンカルデラは,順次古くなり,いまや活動を停止したカル
デラの列の最も若い構成員であり,そのようなカルデラの列はおそらくイエ
ローストーンホットスポットの上を北アメリカプレートが移動したことの
現れである(図 12.21 を見よ).
⑤ この列の最古の構成員は,オレゴン州の火山地域であり,それは 1600 万年
前に噴火し,コロンビア高原の洪水玄武岩を形成した.
⑥ 単純な計算により,北アメリカプレートがイエローストーンホットスポッ
トの上を過去 1600 万年の間,毎年約 25 ミリの速さで南西へ移動したことが
示される.
⑦ 太平洋プレートと北アメリカプレートの相対運動を計算すると(適当な訳
は各自考えてほしい),この速さと向きは,ハワイから推測されるプレート
運動と整合的である.
図 12.21
プレートの運動は,次第に古くなる火山の列を生む.
(a)ハワイ島の列とその北西太平洋への広がりは,北西へ次第に古い年齢へ向
かう傾向を示している.
1.太平洋プレートはハワイホットスポットの上を北西に移動し・・
2.火山島と海山の列をもたらした.
3.山の年齢は年間約 100 ミリのプレート運動と整合的であり・・・
4.方向の急激な変化は約 43Ma という年代をもつ.
(b)イエローストーンの火山列は過去 1600 万年の間の,ホットスポット上の
北アメリカプレートの運動を表している.
1.北アメリカプレートはイエローストーンホットスポットの上を南西に移動
している.
2.イエローストーン(火山)列のカルデラの年齢は 16Ma まで遡れる.
[71]
①
ホットスポットが深部マントルから来たプリュームによってしっかり固定
されていると(仮定)すると,地質学者は,世界中のそれらの火山の航跡の
分布を使うことで,全地球のプレート系が,マントル深部に対してどのよう
に動いているかを計算することができる.
② この結果は,時々“絶対プレート運動”と呼ばれ,プレート間の相対運動
と区別している.
③ ホットスポットの航跡から導かれた絶対プレート運動は,地質学者がプレ
ートを駆動する力を理解するのを助けた.
④ プレート境界の広範な範囲で現在沈み込みつつあるプレート,例えば太平
洋プレート,ナスカプレート,ココスプレート,インド-オーストラリアプ
レートは,ホットスポットに対して速く移動しており,一方,多量の沈み込
むスラブを伴わないプレート,例えばユーラシアプレートやアフリカプレー
トはゆっくりと動いている.
⑤ この観察は,高密度の落ち込むスラブの重力による引張りが重要なプレー
ト駆動力であるという仮説を支持する(第 2 章を見よ).
[72]
①
②
③
④
⑤
ホットスポットの航跡は,磁気のアイソクロンが地質学者にプレートが他
のプレートに対してどのように移動したかを復元することを許したように,
深部マントルに対するプレート運動の歴史を復元するのに用いることがで
きる.
私達が既に見てきたように,このアイデアは最近のプレート運動ではまず
まず具合よくいっている.
しかしながら,より長い時間期間ではいくつかの問題が生じる.
例えば,固定されたホットスポット仮説によると,4300 万年前のハワイの
非震性海嶺の屈曲(そこで北向きの天皇海山列になる;図 12.21 を見よ)は,
太平洋プレートの運動の急劇な変化と時期が重なるはずである.
しかしながら,磁気アイソクロンではその変化の何の兆候も明らかではな
く,何人かの地質学者に固定されたホットスポット仮説に疑問を生じさせて
いる.
⑥ 他の地質学者は,対流するマントル中では,プリュームは必ずしも互いに
対して固定されたままでいるのではなく,対流の流れが変化することによっ
て動き回る可能性があると指摘している.
[73]
①
ほぼ全ての地質学者は,ホットスポットの火山活動が,プレート下のマン
トル中のある種の湧昇流によって引き起こされるという考えを受け入れて
いる.
② しかしながら,マントルプリューム仮説,これらの湧昇流が深部マントル
から昇ってきた物質の狭い管路であるという仮説は,賛否両論のままである.
③ さらに議論の的となっているのが,プリュームが洪水玄武岩の膨大な流出
や他の巨大火成区の原因であるというアイデアである
[74] 巨大火成岩区
① 大陸での玄武岩の割れ目噴火の起源,例えばコロンビア台地やブラジル-
パラグアイ,インド,シベリアのさらに巨大な溶岩台地などを形成した割れ
目噴火の起源は大きな謎である.
② 地質学的記録は,数 100 万立方キロメータ―に達するような莫大な量の溶
岩が 100 万年間という短い期間に放出されたことを示す.
③ これらの事件の間に,地球表面上の単一地点での溶岩の噴出率は,全中央
海嶺システムの噴出率に匹敵する!