◎少数の割り算と四捨五入(小学4年) 計算には四則演算と言って4つの計算があるといわれているが 本当は、引き算と割り算と言う計算は無い・・・と言うとみんな驚く。 8-3=5 と言う計算は、本当は頭の中で、「3 にあと 5 加えたら 8 になる」ので 8ひく3と言う計算は、あと5で8になるという「足し算」の計算を無意識にしているのだ。 掛け算は、縦の計算を書いてみると解るとおり、九九を使って、それぞれのケタを計算したあと、やっているのは足 算だ。 割り算はどうかというと、①商を立てる ②ケタの掛け算をする ③引き算をする ④次のケタをおろす ① ~④を繰り返す。 これが割り算だ と言うことは、結局私たちが行っている計算は、足算がほとんどで、補助として九九があると考えると良い。 と、ここまで説明したのは、当然の行動と思っている「計算」でさえ、単純な動作の組み合わせと繰り返しだと知っ て欲しいのです。 小学4年生になると算数に分数と小数が入ってくるので、解らなくなってしまう生徒が急増します。 私が教えている生徒も、間違えた計算をしているわけでは無いのに、担任が教えた書き方をしていないからと、解 答に X がついたのです。理科的な発想が出来ない小学教師の多い日本教育の弊害の最たるものです。 今日のテーマ、少数の割り算を考える時に、子供たちにとって何が難しいか解りますか? ② ケタの掛け算をする・・・は掛け算ですから、繰り上がりを正確に書ければ、絶対に間違えません。 ・・・A ③ 引き算をする・・・これも繰り下がりの計算を間違えなければ大丈夫ですね。・・・B ④ 次のケタをおろす・・・数字が無い時は0をおろすのでした。 最後の④の時、0を下ろすと言うのが、小数の計算に大いに関係しています。 56.3÷1.7 の計算をするとき、私たちがやれることは、56.3÷17 と言う、整数同士の計算をしているのです。 この話は単位をつけて考えたら一目瞭然です。56.3km÷1.7m と言う計算を km で考えると 56.3÷0.0017 になりますが、mで考えると 56.300÷1.7 cm で考えたらどうでしょう?・・・・ 56.30000÷170 です。 で少数などどこにもありません。 mm で考えたら 56.300000÷1700 となり、0 が増えるだけで、結局 56.3÷17 を計算して、0 をいくつつけるか あるいは小数点をどこに付けるか考えると言うことです。 小数点と言うのは、単位をそろえるために便宜的に考えただけで、整数の計算さえ出来れば良いという事になり ます。0 はいくら加えても良いと言う観点は、小数点は仮の位置と言う考え方です。 寄り道したので、先ほどの質問に答えていませんね。計算の苦手な生徒に一番難しいのは「商を立てる」と言う行為 なのです。もちろん、大人になるまでにたくさん計算をこなした教師にとって、それはいとも簡単なことですが、計 算初心者の4年生には大変な労苦です。こんな計算をして X を付けられた生徒が居ます。 この生徒は、まず商に2を立ててみたのです。引き算したら22となって、17より 大きいので、もう一つ引けることが解ったので、間違えたところを線で消して 上に新しく立てた商3を書き加えて、計算をしなおしたのです。 ところが、この「線で消す」と言う行為が理解できない先生だったのです。 自分が教えた方法ではないからです。 この先生はノーベル学者糸川博士の逸話をご存じなかった。 糸川先生は、子供に消しゴムを持たせるな。間違えるたびに消しゴムで消す子供は 同じ間違いを何度もする。こうすると間違えると言う知識は、それ自体立派な新知識なので 失敗を恐れず、間違いを修正できる子供を育てよと言っている。 間違えてはいけない、先生が理解できる同じ答えだけしか答えてはいけない と言う姿勢は、自分と少しでも違う生徒をいじめる、「いじめの精神」に他ならない。 自分の間違いに気付き、修正できる生徒がいかに大切かを知るべきでしょう。 さて、この計算に、小数点をつけるときにどうしたらよいのでしょう。 およその数で考えると 56.3 は 50 か 60 ですね(どちらかと言うと 60)割る数の 1.7 はおよそ 2 か 1。念のため全 ての場合を書くと 50÷2=25、60÷2=30、50÷1=50、60÷1=60 ですから、言いたいことは、およそ 60÷2 を考えれば、答えが何十の単位になることがわかるはずです。だから 2 個目の 3 と 1 の間に小数点を打って 33.1 と考えられるようにすれば、計算間違いが断然減るのです。最初から小数点を打つ位置が決まっているような 教科書の問題を練習して来た生徒は、学力テストでびっくりするのです。 整数で 整数で計算し 計算して、およ 、およその数で考え小数点を 小数点をつける。これが一番解 一番解りやすいの すいのです。 さて、この問題で、答えを小数第一位までの概数で答えなさいと言われたら、どうするのでしょう。 小数点を入れた途中式を示しましょう。 この後先生は、少数第二位に商3を立てて計算を続け 3は四捨五入で切り捨てられるから、33.2と答えなければいけないと教える。 この先生は、四捨五入の意味も解っていなければ 生徒にとって商を立てるということがいかに難しいかも解っていない 四捨五入と言うのは計算の結果が 切り捨てられた 33.2と、切り上げられた33.3 のどちらに近いかを考える計算だ。 その境界が丁度中央の33.25なので、5より大きければ切り上げ、5より小さければ 切り下げとし、丁度中央の33.25は切り上げの仲間に入れると言うことで ≧33.25 なら切り上げて33.3 <33.25 なら切り捨てて33.2 とするもので 将来、概数の定義 33.35<33.3≦33.25 と言う考え方につながっていくのだ。 であれば、小数第二位で立てる商は5だけを考えればよい。 17×5=85 だからこれとあまりの60を比べれば60の方が小さい。だから切り上げられ無い=>切捨て 答えは 33.2 とやればいいのだ。これで1回分商を立てる時間を節約できた。 こんな些細なことが、子供たちには大事なのです。 小学4年生「少数の割り算と四捨五入」に思う
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