アジア・太平洋会計士連盟(略称CAPA)ソウル大会 (10 月 27 日~10 月 29 日)に参加して 磯 秀雄 CAPA・ソウル大会の印象 何より、国内で感じている日本公認会計士協会とソウルで感じたそのイメージは大きく 違っているということだった。アジアの経済国の中国、韓国、そして日本の協会会長が壇 上に並んでディスカッションをしたが、中国はお国の政策にのっているだけ、まったく国 際的な感覚はなく、会計士として特段の収穫はなかった。国の勢いがいいから、お金も出 せるだけで、国際会議で発言できるようなレベルでないと感じた。韓国は、それなりにま とまっていたが、財閥中心の経済構造のためか、ディスクロージャーといった視点では参 考になるという点はほとんどなかった。それに比べて、国際会計士連盟の会長であるオリ ビア女史の堂々たる発言態度に好感が持てた。そして、日本の森公高会長も堂々として存 在感があった。そのことが大きな収穫といえた。 この大会の参加者は 1,320 名と聞いた。700 名は韓国から参加、日本から 330 名が参加 した。その次が中国で 182 名とのことで、やはり、アジア太平洋地域ではこの 3 か国が経 済規模においても抜き出ているので参加者も多かった(アメリカは除く) 。 倫理の話をテーマとしたディスカッションもあり、これも国内で退屈しながら聞くもの と違っていた。 「公共の利益」というものを正面に据えた議論は、大変に参考になった。い わゆるパブリックセクターの分野は相当真剣に考える分野であり、それが倫理とも結びつ いていると感じた。ここでも、中国は国家しか頭にないので、公共そのものの認識に相当 のずれがあり、参考になるものはなかった。ただ、その後進性だけを強く感じた。聞く側 のこちらも、おそらく国外に出て、日本人以外が入ってする倫理の議論に日常とは違うも のを感じたのだろう。特に、欧米系の人々の発言には市民社会への意識が高いせいだろう か、表面的ではないことを感じた。 初めてこの種の国外での大会に参加したが、多くの収穫をいただくことができた。今後 も機会(とお金)があれば参加したい。 韓国・ソウルの印象 調べてみるとソウルを訪れるのは 1990 年 6 月以来 25 年ぶりだった。かすかに残ってい た記録をみると「○○社、商談のつめ(結局不成立)」とあった。わたしも若かった。なん となく当時のことを思い出した。当時の韓国大統領は、盧泰愚さんだった。今回の訪問を 終えてから調べたことで、本当のところそんなに経っていたとは思わなかった。 ソウルの街は明らかにきれいになっていた。ビルも林立し、東京と変わりがないと感じ るほどだった。25 年前にも地下鉄はあったが、路線が増えたことは間違いない。何より今 回会場となる漢江を渡った地区(江南地区)の発展がめざましいと感じた。以前感じた、 大雑把な感じ、道路が凸凹であったり、壁のタイルが不揃いであるなど、そういう印象を 全く受けなかった。 今回のCAPA参加を何人かの会員にすすめたところ、「どうも韓国は」という回答があ り、参加していただけなかった。わたしも、対日感情が良くないと心配していたが、行っ てみれば、それはこちら側の勝手な思いこみと感じられた。市民社会の中ではそんなもの は忘れ去られていると感じた。ソウルの街に、竹島があるわけもなく、日常の中では日韓 は密接な関係を築いているのである。地下鉄に乗ったが、駅の表示にカタカナがみられる など(道路の標識にもカタカナがみられるところがあった) 、こちらの思い過ごしが大きい と思えた。日本人観光客も、ソウルから消えたような報道があるが、そんなことはない。 明洞には、日本人女性が数人ずれで歩いているのを何度も見た。もちろん、中国人がソウ ルにも大挙していると感じられた。いまや、どこへ行っても上客として大手をふって歩い ている。 わたし自身が、どこかでソウルを遠ざけていたが、航空機の搭乗時間は沖縄より短いの ではと感じ、航空料金もそれほど高くないので、また訪問したいと思った。 次回は、ゆっくりソウルの街を歩きまわってみることにする。
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