ケーヒン技報 Vol.4 の発刊に際して 巻頭言

巻頭言
ケーヒン技報 Vol.4 の発刊に際して
今 野 元一朗
Genichirou KONNO
生産本部長
ケーヒン技報 Vol.4 の発刊に際して,一言ご挨拶を申し上げます.
前回の技報 Vol.3 から1年を経ましたが,その間にも市場環境には大きな変化が出てき
ています.四輪車市場では,全世界の販売台数が約 8900 万台と増加しているものの,そ
の伸びはやや鈍化傾向にあり,これまで成長を牽引してきた中国・アジア地区でも増加傾
向の鈍化や減産などの状況がみられます.二輪車市場では,生産台数について中国・イン
ドが依然上位にあるものの,やはり急激な増産はなくなりつつある状況です.したがっ
て,O E M のシェア拡大にむけた争いは一層激化していきます.われわれもメガサプライ
ヤとの競争に対抗していかなければなりません.このような状況にあって,中国では欧州
の排ガス規制「ユーロ5」に相当する新規制「国5」の実施やインドでもバーラト・ステージ
(BS5)を適用する時期の前倒しが検討されており,環境対応にむけた商品開発と,ものつ
くり技術の両立が重要になっています.
当社でも前期から今期にかけてその仕込みを進めています.拡大する直噴インジェクタ
搭載車市場については,メキシコと北米での生産準備が整い,量産を開始しました.国内
でも宮城第二製作所において,ハイブリッド車用 PCU の要となるパワーモジュールの量
産にむけて最後の熟成期に入りました.また,空調機器では新しいお客様への HVAC 納入
に対応するため,中国武漢に新工場を設立し量産を開始する予定です.燃料電池自動車へ
の搭載部品も栃木地区・宮城地区において量産の準備に入っています.
こうした新しい製品を開発していくには,日本を核とした“つくり”の進化を確実に進め
ていくことが必要になってきます.二輪車市場の環境基準に対応した燃料供給部品の投入
や,四輪車市場への直噴技術に関連した部品等の展開においては,QCD を満足させるため
に開発段階から多岐にわたる CAE の進化や,新材料の適用評価手法の確立,試作段階から
量産へむけた要素技術の手の内化が必要になってくるでしょう.さらに,出来たモノを検
証し計測する技術の効率化や高速・高精度そして廉価な量産製法などの同時開発が重要に
なってきます.例えば,断面形状が性能に大きく影響し,組み立てられた状態での非破壊
検査が難しい樹脂インテークマニホールドなどは,非接触 3D 計測器・CT/X-REY 計測器・
CAE との連携が重要になりますし,流速や騒音などが重要な要件である HVAC にも同様
の検査手法が必要になってきます.直噴インジェクタの噴口などにおいても高精度な穴加
工技術や精密加工法案の確立が重要であり,実際の噴霧状態を管理する工程にも常に新し
い技術開発が必要となっています.
ケーヒン技報は,このような製品が生まれ量産に至るまでの技術を,各分野へ広く浸透
させ次の新たな技術開発につながるように牽引していくものと思っています.
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