医療法人社団 三喜会 秋 号 2015年11月発 行 今までご紹介してきたデイサービスセンター中原 の自立支援介護は、“本人の状態が良くなった”と、 ご家族から喜びの声をたくさんいただいています。 今回はその中の一人、ご利用者F様のご主人に 中原を利用するまでの病状や利用してからの目覚 おけば、ご主人の負担も軽減出来ます。 中原では起きている時間を少しずつ長くし、胃瘻 のF様を口から食べる生活に戻すため、お好きなそ うめんやうどんを、またおかずはペースト状にした物 を多くしています。 ましい変化、そして奥様への熱い想いについて語っ ていただきました。 自宅でまた、一緒に生活できるなんて! F様は昨年の年末に脳出血で倒れ、手術後リハビ リのため転院しました。しかし、リハビリへの抵抗が 子供が大好きなF様。 思わず顔がほころび ます。 ご主人もこの写真をと ても気に入り、家に飾 って下さっています。 強く、食事も召し上がらないため、回復が思うように 進みませんでした。その頃は ご主人も体調を崩されていた 妻への愛情が試されている こともあり、家で一緒に暮らし 中原を利用して3ヵ月、着実に改善の兆しが出て たかったけれども、施設へ入 います。手すりを持って一人で立てるようになり、ト 所するしかないと思っていた イレも介助があれば出来ます。以前は一人で過ご そうです。 すことが多かったのですが、今は皆さんと一緒にい 今ではご自分でコップを持っ て飲まれるなど、お一人で出 来ることが増えています。 たいと意思表示されます。お隣のご利用者からカス テラや最中を手渡されると、うれしそうに召し上がる 様子も見られるようになりました。 たまたまF様と中原の尾﨑管理者がご近所で、家 ご主人も「この前、“病院に行くから留守番してく 族ぐるみの付き合いがあったことから、石川看護師と れるか?”と聞いたら“うんうん”と言ってくれました。 一緒にF様をお見舞いに行きました。寝たきりと聞い 短期間でこんなに出来るようになるなんて」と、ご自 ていましたが、お会いしてみると左足は動きますし、 宅での様子をうれしそうに話して下さいました。 声を発することも出来ました。 「不安な気持ちで一杯だっただけに、“中原で対応 出来ますからご自宅でも大丈夫ですよ”と言っていた だいた時は本当にうれしかった。ケアマネージャーさ んも必要な福祉用具をすぐに手配して下さり、有難か った」とご主人は当時を振り返ります。 そして7月から週5日、夜8時まで中原を利用してい ます。デイでパジャマに着替えて寝る準備を済ませて 「お金を出せばサービスは受けられるけれど、結局 は“心”が通っているかどうか。妻と妻を支えてくれ る方々とふれ合うと、心が洗われます。良くなってい くにはもうあとひと山。妻への愛情の深 さが試され ていると思って日々接 しています」と、今の心境を 語ったご主人様。F様の自立のために、一緒にしっ かりと山を乗り越えていきましょう。 グループホーム中原のご入居者の平均介護度は 日中は周りにかなり気を遣っているのかもしれま 3.56と高く、生活するのに介助を必要とする方が せん。職員には少し気を許してくれたのかなとうれ 多くなっています。その中で、ゆったりとした雰囲気 しく思う一時でした。 の中原にぴったりマッチする、優しい笑みをたたえ ているのがご入居者のY様です。 いつも周囲をほっこりさせて下さるY様の、ホーム でのご様子について紹介します。 そんなY様も最近は認知機能が徐々に低下し、ご 主人は自宅にいらっしゃるのに、「お父さんはどこへ 行ったの?」と口にすることもあります。また、水分 がなかなかとれないので、甘みやとろみをつけて飲 Y様は昨年の8月に入居されました。ご自宅で生 みやすくする工夫をしたり、職員がこまめに声を掛 活していた頃は夜間のトイレが頻繁で、その都度ご けるなどして1日1,500cc摂取するようにしていま 家族が介護をされていましたが、入居当初もトイレ す。 が間に合わないことがたびたびありました。ソワソワ いつまでもY様のほっこり笑顔が見られ、中原の して廊下を歩いたり、お尻を触る行為などが現れた 良 い雰囲気 が保てるように、健康面 、生活面 と合 時がそうで、不快な気持ちからそのような行動をと わせて支援していきたいと思っています。 ると分かりました。そこで、その行為が現れる時間 を日々チェックし、その前にトイレに誘導するように しました。また、間に合わなかった時でも、リハビリ グループホーム中原 では、9月 24日に「身体拘 パンツのパッドをY様に合わせた物に調整すること 束」についての勉強会を実施し、ご入居者の尊厳を で不快感をかなり解消できました。そのこともあって 傷つけない方法で、かつ安全に生活していただくた か、Y様の表情は日ごとに柔らかくなってきました。 めにはどうしたら良いかを皆で話し合いました。 ご入居者にこれはダメと制限すると、逆にその行 動に拍車がかかってしまうことがあるので、ご入居 者の声にきちんと耳を傾けることが大切だという意 見が上がりました。夜間は職員が手薄になり、話を 片手間に聞いてしまいがちなので、気を付けていき Y様は、ホームの人形 をまるで我が子のよう に、大切に可愛がって 下さいます。 Y様は、日中はにこやかに「そうねえ」と言うくらい で、あまり自ら話すことはありませんが、夜皆さんが 床につき、デイルームに職員と2人きりになると、驚 たいと思います。 また、職員の心掛けとして、自らの行動が拘束に あたるのか振り返り、疑問に思ったら他のスタッフ に伝 え、話 し合 うことが大切 だという意見 も出 まし た。 くほどよくお話されます。ご自分のことからテレビの みんなで意見を出し合うことは、身体拘束や虐待 話題まで話は尽きず、ひととおり話し終えると満足 などの予防になるばかりでなく、ホームを運営する されるのか、部屋に戻られます。 ルール作りにもつながります。 医療法人社団 三喜会 グループホーム中原 / デイサービスセンター中原 〒211-0041 川崎市中原区下小田中3-2-25 〈グループホーム〉 TEL 044-741-1800 〈デイサービスセンター〉 TEL 044-741-1700
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