大阪府前期入試問題分析「国語」(PDF)

国 語
平成27年度 大阪府公立前期入試
本年度の注目問題!
【文理学科/国際文化科/国語科/理数科/総合科学科】
記述問題は文章中の表現を使って解答するものが多く、内容の並立関係を意識して、的確にまとめる力が問わ
れました。制限文字数が昨年度最大で「65字程度」であったのに対し、今年度は最大「55字程度」となったのも
今年度の特徴のひとつです。特に古文は、文章中の現代語訳を使うと解きやすい記述問題が出題されました。
小論文の出題については、昨年までとは大きく傾向が変化しました。示された文章の内容を踏まえて、自分の
考えを600字程度で表す力を問われている点はこれまで通りですが、今回、文理学科入試では初めて「環境の問題」
について問われ、その具体例も書くように指定されました。これまでの「学問」に取り組むときの姿勢を論理的
に表現する問いかけがなくなったことを考えれば、過去出題の傾向を掴んで対策をしてきた受験生には、少々と
まどいがあったかもしれません。
一 現代文 (尾崎左永子 『現代短歌入門』)
■小問3【脱文補充】
しかし、そうした不用意なとりこみ方では、その部分だけ、ことばが「浮いて」しまう。
解法 指示語「そう」や接続語「しかし」を手がかりに、同一表現や同一内容を探します。
ステップ1.まずは解答範囲の絞込みからです。
「とりこみ方」とひらがな表記をされているので、
「採りこんで」
の6段落ではなく、同一表現である4段落に注目します。また、「ことばが『浮いて』しまう」(同
一内容を文章中に探す)=「うまく溶け込んではくれない」をヒントとしても探せます。
ステップ2.「不用意な」(同一内容を文章中に探す)
→文中4段落4行目①「……すぐに使う人がいる。」5行目②「……すぐにわが歌にはめこもう
と試みる。」とあるので、②の文の直後に入れます。①の文の後に入れる間違いが考えられます。
■小問4【空欄補充の55字程度記述】
いい言葉やいい表現に出会ったときに、
ことで、自分なりに消化する期間をもつこと。
解法 空欄の含まれる1文内の表現と同一表現や同一内容を探し、5段落2行目「頭の中に~てしまう」を解答範
囲とします。ただし、「ひきだし」や「放りこんで」は比喩表現であることに注目し、この部分の調整
を行います。次の段落である6段落を見ることで、さらに+αの内容や並立にも気づき、字数を補えます。
三 古文
■小問4【空欄補充】
正恭は、谷の水を引き込んで、錦のような模様を織りなしている
という思いを和歌
に詠んだ。【問題リード文】
美
し
く
と ど め た い
和歌「めもあやにうつるもみぢのからにしきたに水かけてにはにせかばや」
解法 和歌と空欄の含まれる一文を比較し、同一内容を除いて必要部分を訳します。
1
四 現代文 (戸川達男 『動物の生き方 人間の生き方 ―人間科学へのアプローチ― 』)
■小問2【55字程度記述】
5段落4行目「言語の多様化は……遺伝子の変化ではなく、継承される事柄における現象であり」
5段落7行目「すべての変化が遺伝子の変化によってのみ起こりえたのに対して、新人ではそれ
に匹敵するか、むしろ遺伝子の変化を超えるような大きな変化が、遺伝子によら
ない継承メカニズムによって可能になった」
解法 比較表現「対して」を手がかりに解答範囲をしぼり、比較内容の語句バランスを整えます。
ステップ1.設問「~とあるが、本文中で筆者は、言語の多様化は生物種の多様化とどのように異なる……。」
より、5段落「対して」が見つかり、この部分が解答範囲だと分かります。
ステップ2.文章中の表現をまとめ、比較される2つの内容について語句のバランスを整えます。
■小問5【35字程度記述】
解法 同一表現や同一内容により解答範囲を絞り、並立関係を見逃さないようまとめます。
ステップ1.設問「言語を持つことによって~どのようなことが可能になった~。」より、6.7段落が解答範囲。
ステップ2.7段落5行目「言語によって~主観的情報を積極的に他人に伝えることができ、また、他人から~主
観的情報にアクセスすることができます。」をまとめます。
600字小論文 課題文出典(岩槻邦男『桜がなくなる日』)
「『環境の問題』の具体的な例をあげながら、『環境の問題』と自分自身とのかかわりについて書きなさい」とい
う設問に対して、課題文の内容を踏まえながら自分の考えを表現します。段落構成をしっかり組み立て、客観的な例
を用いながら600字程度の字数で論を進め、筋道を立てて結論まで文章を展開していく必要があります。
【「文理学科/国際文化科/国語科/理数科/総合科学科/総合学科(エンパワメントスクール)」以外の学科】
前年度と同様、すべて基本的な問題です。特に現代文では「正確な読み取り」や「正確な表現」が狙われる問題と
なっています。
一 現代文 (若田光一『宇宙飛行』)
■小問5【45字程度記述】
12 段落2行目「地球は大気層の薄いベールに優しく包まれています。海があり、緑があり、生命体が
その中で守られて生きているのがよくわかります。」
解法 解答範囲を絞り、解答の主語に合わせて表現を調整します。
ステップ1.設問「地球の~『生命のゆりかご』にたとえているか。」より、12段落が解答範囲です。
ステップ2.文章中2行目に「地球は」とあるので、これ以下の表現をまとめます。
ステップ3.ただし、上記の下線部は、解答の主語が「地球」になるのに合わせて、「生命体を」「守り」「育む」
に書き直して表現の調整をします。
二 古文
■小問4【空欄補充】
さみだれが
間に、庭の松がまるで海の中にあるように感じられる様子を、~と表現している。
解法 下線部をヒントに、その理由を考えると、「はれまもあらずふりつづく」が解答範囲になります。あとはその
部分を正確に訳します。
2
三 現代文 (川畠成道 『耳を澄ませば世界は広がる』)
■小問2【空欄補充】
解法 空欄前後の表現との同一表現を文中から探します。
ステップ1.空欄前後の表現から解答範囲は2段落だと分かります。
ステップ2.空欄bは、「練習」では字数が不足になります。空欄前の「何度も」という表現から、文章中に同一内容で
ある「入念に」や「繰り返します」を探し、「シュミレーション」を解答にします。
■小問4【空欄補充の50字程度記述】
解法 空欄前後の表現との同一表現を文中から探し、段落の内容をまとめます。
ステップ1.指定語句や空欄の前の表現より、解答範囲は8段落です。(前段落より「もうひとりの自分」=「内なる声」
を読み取り、空欄の前にある表現「内なる声を意識しても」=8段落1行目「たとえ『もうひとりの自分』
がいても」を同一内容ととらえます。)
ステップ2.指定語句「限界」「他人の意見」という表現の含まれる1行目と4行目をまとめます。
400字小論文
テーマは、『A 私たちの生活と情報社会、B ものづくりの喜びについて、C これまでの私とこれからの私、D 高
齢化が進む社会において大切なこと、E「物の豊かさ」と「心の豊かさ」について、F 異なる文化や習慣をもった人
たちと共に生きていくために必要なこと』の6つが当日に発表されます。ここから各高校で1題指定され、20分で論じ
ていきます。
作文と違い、「論理性」が強く求められるのが小論文ですので、構成をきちんと組み立てた上で、筋道を立てて結論
へと文章を展開することが必要となります。
3