団塊世代対応のマーケティングのお話 1.団塊世代とは ・1947年から49年生まれの第1次ベビーブーマーで、堺屋太一氏が命名しました。 ・この年代層は2015年時点で、66~68歳になり、神戸市においてもこの世代を含 む65~69歳の人口構成比が7.7%を占め、40~44歳(7.9%)に次ぐ 2番目に大きなボリューム層を形成しています。 (平成27年10月末、住民基本台帳) 神戸市年齢別人口構成 75歳以上 70~74歳 65~69歳 60~64歳 55~59歳 50~54歳 45~49歳 40~44歳 35~39歳 30~34歳 25~29歳 20~24歳 15~19歳 10~14歳 5~9歳 0~4歳 12.4% 6.1% 7.7% 6.4% 5.9% 6.4% 7.1% 7.9% 6.6% 5.8% 5.3% 5.0% 4.6% 4.4% 4.2% 4.0% 0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 2.団塊世代の特徴 1) 同世代婚が他の年代層グループより多い ・第二次大戦により、団塊世代の前に生まれた人口数は、上記グラフの 通り、2割程度少なく、結果として同世代結婚の構成比が高くなりまし た。 ・これは同級生婚とも呼ばれ、現在70歳以上の世代に残っていた「妻は 夫に従うこと」の様な旧い価値観は崩壊していくことになりました。 ・その結果、 「夫婦は対等のパートナーである」という考え方が多くなり、 買物も夫婦で出掛けることが当たり前になり、子供ができると買物も 家族単位のパターンが増加したため、当時の量販店は家族で時間を過 ごせる様、フードコートやアミューズメントコーナーも設置すること ■神戸ビジネスメールマガジン ― KCCI■ が多くなり、その施設構成の流れは、基本的に現在も進化しながら続い ています 2) 団塊世代を含む60歳以上の高齢世帯の消費性向 ・平成23年度の家計調査によると、「60歳以上の高齢世帯」は他の年 代に比較して、可処分所得に対して消費支出の割合が、93.3%と全 世帯平均の72.5%を大きく上回り、消費支出金額のボリューム面 でも30代世帯を上回っています。 ・では、その消費支出の傾向を平成24年1~3月期の産業活動分析か らみると、 「60代」と「70代以上」は他の年代に比較して、医薬品、 眼鏡、鉄道運賃、バス代、切花、国内パック旅行費、海外パック旅行費 等への支出が概ね60歳未満の年代の世帯よりも多くなっています。 3.団塊世代へのマーケティング戦略の取り方のヒント 1) シルバー世代を一括りにしない ・人口の構成比が高いということは、何らかのグループに細分化して、対 応を図ることが有効です。団塊世代が65歳を超えるまでは、シルバー マーケットを一つのターゲットとせざるを得ない事情、つまり細分化 するだけの人口ボリュームが不足していた状況がみられました。 ・しかし、現在、団塊世代が65歳を超えて、後2年で70代を迎えよう とする中、ようやく高齢世帯を細分化しても売上や利益のボリュームが 見込める様になったため、細分化が可能になりました。 2)自社の高齢客をいくつかのグループに分類し、その価値観を理解する ・新しく、独創的な商品を好むのか、伝統的で安心感のある商品を 好むのか、自分の価値観が合えば価格が多少高くても購入するのか、 他人が薦めれば価格が多少高くても購入するのか等の問いかけをアン ケート等の手段を用いて把握し、各客層グループがどの様な価値観を持 っているのか、情報を持った上で、提供すべき商品やサービスを考えて いくことが有効です。 ・例えば、補聴器であれば価格を重視するのか、デザイン性を価格より重 視するのか等の判断材料にこうしたデータを活用することが有効です。 ・特に同じ高齢世帯においても年金所得のみの世帯と年金所得プラス勤 労所得のある世帯、また、本人や夫婦の健康状態により、生活行動や消 費行動は異なり、当然、商品やサービスに対する需要も変わるため、こ れに合わせた開発や提案が必要です。 ・まず、自社の現在の高齢顧客を前述の様な切り口で分類し、グループ 化することから取り組んでいきましょう。 ■神戸ビジネスメールマガジン ― KCCI■ 3)他社や他製品との差異化を明確にする ・団塊世代のシルバー化により、市場規模が拡大することは中小企業に とってはプラス面だけでなく、大企業等の新規参入を促進すること になり、競争を激化させる可能性も高くなります。 ・したがって、自社の商品やサービスの特徴を高齢者にもわかりやすく 伝えていくことが、今まで以上に重要になります。 ・以前、スポーツメーカーの依頼で、ゴルフショップの店長に販売しや すいゴルフクラブのメーカーを確認したところ、X社という回答が 返ってきました。理由を尋ねると、 「性能は正直、各社とも水準に達 しており、大きな差はないと思います。その中でX社は特に <今回の新製品は○○が変わったから飛距離が伸びます> 等のキャッチコピーが簡潔でわかりやすいので、ついお奨めしやす く、結果として売上金額につながっています。」との回答を得ました。 ・例えば、家具であれば、「ヤングファミリー向けの商品に比較して、 こちらのダイニングチェアは、△△CMだけ低く設計されており、 とてもお楽にお座りいただけます。どうぞお試しください。 」等の アプローチが考えられます。接客応対においても顧客の年齢や嗜好 により、<お奨めワンフレーズ>を明確にし、使い分けていくことが 有効です。 次回は、神戸市でも団塊世代を上回る最大の市場ボリュームを形成 している団塊ジュニア世代へのマーケティングについて、お話をさ せていただきます。 有限会社 実践マーケティング研究所 中小企業診断士 赤部 佳夫 〒563-0022 大阪府池田市旭丘3-3-29 Tel・Fax 072-762-3466 E Mail [email protected] ■神戸ビジネスメールマガジン ― KCCI■
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