コーポレートガバナンス・コードの意義と 実務上の留意点

コーポレートガバナンス・コードの意義と
実務上の留意点
2015年5月 東京証券取引所
コーポレートガバナンス・コードの意義
日本の現状(1)
【各国主要指数採用銘柄のROEの比較】
【1990年代以後の株価の推移】
800
中国(2014年末は2534.8)
700
600
アメリカ
300
S&P500
世界平均
イギリス
200
100
TOPIX
アメリカ
500
400
日本
イギリス
FTSE100
中国
日本
1990
1992
1994
1996
1998
2000
2002
2004
2006
2008
2010
2012
2014
0
上海総合
世界平均
年
MSCIワールド
2011
2012
2013
2014
3.3
5.7
8.5
8.5
15.0
13.6
15.3
15.1
16.0
9.4
12.6
15.7
15.3
13.9
14.0
13.7
11.7
10.6
12.1
12.4
1990年末を100として作成(出所:Bloomberg)
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(出所:Bloomberg)
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日本の現状(2)
国民所得の推移
*GNI(Gross National Income):国民所得
(兆米ドル)
20.0
米国:17.0兆ドル
15.0
中国:9.2兆ドル
10.0
5.0
日本:5.1兆ドル
0.0
1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(出所:世界銀行)
個人金融資産
(兆円)
8,000
(注:1米ドル=111円で固定)
(米ドル)従業員1人当たりの労働コスト(購買力平価)
70,000
米国:62,555
60,000
6,000
米国7,410兆円
50,000
日本:37,970
40,000
4,000
30,000
2,000
日本1,654兆円
2014
3Q
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
0
20,000
10,000
0
1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011
(出所: 日本銀行、Federal Reserve Bank)
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(出所: OECD)
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(出所:首相官邸ウェブサイト)
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コーポレートガバナンス・コード導入の狙い
これまでの議論
ガバナンスコード導入の狙い
上場会社のガバナンス
に関する適切な規律
上場会社のガバナンス
に関する適切な規律
意思決定過程の
合理性を担保
不祥事の防止
過度なリスクテイクの抑制
結果責任に関する
リスクの低減
健全な企業家精神の発揮
(透明・公正かつ迅速・果断な意思決定)
会社の安定的な存続
企業価値の毀損の回避
会社の持続的な成長
中長期的な企業価値向上
「攻めのガバナンス」
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実務上の留意点
ガバナンスコードの策定に伴う上場規則改正
コードの尊重義務 ←プリンシプルベース・アプローチ
•
コードの趣旨・精神を尊重してコーポレート・ガバナンスの充実に取り組むよう
努めるものとする旨を規定
– 「プリンシプルベース・アプローチ」の意義は、「関係者がその趣旨・精神を確認し、
互いに共有した上で、各自、自らの活動が、形式的な文言・記載ではなく、その趣旨・
精神に照らして真に適切か否かを判断すること」にあるという指摘(⇒コード原案・序
文・項番10 )を踏まえ、コードの趣旨・精神の尊重を要請(→企業行動規範「望まれ
る事項」)
コードを実施しない理由の説明義務 ←コンプライ・オア・エクスプレイン
•
コードの各原則のうち実施しないものがある場合には、ガバナンス報告書におい
て、当該原則を実施しない理由を説明しなければならない旨を規定
– コードの「コンプライ・オア・エクスプレイン」を市場第一部・市場第二部・マザー
ズ・JASDAQの上場会社に義務付けるもの(→企業行動規範「遵守すべき事項」)
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実施しない場合に理由の説明が必要となる範囲
• マザーズ・JASDAQの上場会社については、説明義務を緩和
– ガバナンス報告書における説明義務の範囲はコードの「基本原則」に限定
5章構成
3層構造
「基本原則」
5項目
「原則」
30項目
「補充原則」
38項目
株主の権利
・平等性
の確保
ステーク
ホルダー
との協働
情報開示
と透明性
の確保
取締役会等
の責務
株主との
対話
市場第一部 マザーズ
市場第二部 JASDAQ
ガバナンスの充実により実現すべき普遍的な理念・目標を示した規範
1
1
1
1
1
「基本原則」を構成要素ごとに整理し、その理念・目標を実現するた
めの具体的方策を示した規範
7
5
2
14
2
「原則」を補い、「基本原則」の理念・目標を実現するための具体的
方策を示した規範
9
3
4
19
3
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(参考)コードの適用対象に関する国際比較
コードの適用対象
英国
ドイツ
フランス
日本(参考)
メイン市場
メイン市場
メイン市場
本則市場
うち、FTSE350
294社
(18.8%)
[プライム]
325社
(45.7%)
[ユーロネクスト]
616社
(75.8%)
[市場第一部]
1,817社 (53.1%)
Middle Next Code
[市場第二部]
うち、中堅・中小
上場企業
500社弱
551社 (16.1%)
[プレミアム]
478社
(30.5%)
[ゼネラル]
204社
(28.7%)
コードの適用対象外
[スタンダード]
98社 (6.3%)
[AIM市場]
991社 (63.2%)
[エントリー市場]
182社
(25.6%)
[アルターネクスト市場]
197社
(24.2%)
マザーズ
JASDAQ
189社
(5.5%)
859社
(25.1%)
(注)2014年7月末時点。それぞれ
をメインの取引所とする発行体
の主要銘柄をカウント(普通株
式に限り、REIT・ETF等除く)。
括弧内の数値は各国の全上場会
社数に占める比率。英国「プレ
ミアム」区分の数値には、
FTSE350構成銘柄を含む。
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適用初年度の取扱い
適用初年度は、
• 2015年6月1日以後最初に到来する定時株主総会の日後、準備ができ次第速やかに、
– ガバナンス報告書の新設された2つの項目
①コードの各原則を実施しない理由
②コードの各原則に基づく開示事項(対象となる原則を「実施」する場合)
を更新して提出
•
遅くとも定時株主総会の日から6か月後までに提出
【3月期決算会社の場合】
2015年
3月末
準備でき次第、速やかに提出
(遅くとも12月末までに)
6月
株主総会
株主総会
コードの適用
開始後、最初
の定時株主総
会
12月
6月
2016年
3月末
更新
※翌年の株主総会までの間の通年の対話の材料
としての活用を想定
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ガバナンスコードについて良くいただくご質問
Q.ガバナンスコードに定められた原則を「実施する」か、それとも「実施しない理
由を説明する」かは、どちらが良いのか?
•
コードを「実施する」か、それとも「実施しない理由を説明する」か、いずれが
良いかはケースバイケースであり、一律には決められません。
•
コードの趣旨・精神(≒実現されるべき目標・理念)を実現することが重要であ
り、各社の個別具体的な事情によっては、コードに定められている一般的な手
段・方法によらないほうがより良くコードの趣旨・精神を実現できることもある。
そうした場合には、 実施しない理由を説明するほうが適切です。
•
「実施する」ことを選択しても、コードの趣旨・精神の実現に役立たない「うわ
べだけ」の実施では意味がありません。
•
「実施しない理由を説明する」ことを選択して場合でも、どの会社にも当てはま
るような「ひな型」的な説明では、株主・投資家は上場会社の選択が妥当かどう
かを評価できません。
•
上場会社において最も適切な対応がとられるためには、株主・投資家も趣旨を理
解して上場会社の個別具体的な事情を十分に尊重して建設的な対話をすることが
求められ、実施しているか否かを機械的に評価することは不適切です。
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