要支援者への保険給付の継続とそれにともなう 財源確保を求める意見書 今年9月4日、厚生労働省は、社会保障審議会の介護保険部会にお いて、介護保険で「要支援」と認定された高齢者を保険給付の対象か ら外し、 「 新 し い 地 域 支 援 事 業 」に 移 行 す る 方 針 を 示 し ま し た 。こ の 方 針に対し、その費用に一定の上限が設けられる可能性があり、介護家 族や事業者および全国の市町村議会などから、市町村の介護保険財政 や高齢者が受けるサービスの内容、小規模な事業所の経営等に悪影響 を及ぼしかねないとの指摘があったことから、11月14日の同部会 において、 「 予 防 給 付 の う ち 市 町 村 事 業 に 移 す の は 訪 問 介 護 、通 所 介 護 のみとし、訪問看護や訪問リハビリなどは予防給付として継続する」 ことが提案されました。 しかし、訪問介護と通所介護は予防給付の90%にあたり、要支援 と認定された高齢者が給付サービスから外される本質が変わるもので はありません。 要支援のサービスを利用している高齢者は、歩く力が弱く、判断能 力が多少落ちている人のほか、脳梗塞で軽い麻痺が残る人たちなどで す。そのため、掃除や買い物などの家事で本人ができない部分を訪問 介護員に手伝ってもらっているほか、通所介護では介護予防を目的と した運動に取り組んでいます。また、認知症の人にとっては、初期の 段階でしっかりとしたケアを受けることが重症化の予防となっていま す。 このように、要支援者を対象とした介護予防事業をしっかり進めれ ば、介護が必要な高齢者の増加を抑制することができます。訪問介護 や 通 所 介 護 な ど 主 要 な 給 付 が な く な り 、市 町 村 裁 量 に 任 さ れ る こ と は 、 重症化を防ぐために必要な支援への格差や、市町村介護保険財政の圧 迫につながる可能性が生じます。 予防段階からの途切れない医療と介護サービス体制を国の責任にお ける事業から外すことは、 「加齢に伴って介護を要することになった人 が可能な限り状態の軽減を図ったり悪化を防ぐ」目的を果たす介護保 険制度にも逆行するものです。 よって、政府におかれては、要支援者への保険給付を引き続き継続 することと、そのために必要な財源を国において確保することを強く 要望します。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。 提出議員 武山 浜野 彩子、藤本 利夫、進藤 秀延、小原 明大、野坂 裕之、小谷宗太郎 京子、 提 出 先 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、 財務大臣、厚生労働大臣
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