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Title
Studies on Inhibitory Mechanisms of Allyl Isothiocyanate on
Browning and Ethylene Production of Shredded Cabbage( 内容の
要旨 )
Author(s)
永田, 雅靖
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 乙第002号
Issue Date
1995-09-14
Type
博士論文
Version
publisher
URL
http://repository.lib.gifu-u.ac.jp/handle/123456789/2247
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏
名(本籍)
永
田
靖
雅
学
位
の
種
類
博士(農学)
学
位
記
番
号
農博乙第2号
日
平成7年9月14日
学位授与年月
学位授与
学
位
の
論
文
要件
題
学位規則第4条第2項該.当
Studies
目
on
Production
委
点
論
文
Xechanisms
onInhibitory
Isothiocyanate
審、査
(愛知県)
of
BroYning
Shredded
and
ofl11yl
Ethylene
Cabbage
学
教
授
兵
藤
静 岡
大 学
教
授
竹
内
久
直
静
岡
大 学
教
授
坂
田
完
三
副査
岐
阜
大
学
教
授
加
藤
宏
治
副査
信
州
大
学
教
授
茅
原
主査
静
副査
副査
の
内
岡
容
大
の
要
旨
近年かソト野菜が消費者の間で多く利用されている。その「Pでかソトキャベツは最も多
く使われている野菜の1つである。かソトキャベツのように、植物組織を切断したり、切
りきざんだりすると、急激な代謝の変動が起きる。すなわち、呼吸の増大、ポリフェノー
ルの合成と酸化、エチレン生成の増大などが顕著にみられる。これらの代謝の変動は、そ
れぞれの生合成系の酵素の活性が備蓄により誘導された結果として起きる。酵素括性の誘
導は多くの場合、酵素の退伝子の発現に由来する。カットキャベツはキャベツを加工後、
また貯蔵、流通の過程で褐変が進行する。これは傾害粗描でポリフェノールの合成が促進
され、生成したポリフェノールが酸素により酸化を受けて、このような現象が起きる。
キャベツの品種によりアリルイソチオシアネート(AITC)の含有旦の高いものではカッ
トキャベツを調製しても褐変の進行やエチレン生成が抑制される。山TCはキャベツに含ま
れる辛味物質で、キャベツの薬組織が傾害を受けると、ミロシナ∵ゼの作用により、シニ
ケリンから生成する。∧ITCはキャベツを加工してから後の生理変化に垂雫な作用を有して
いることが考えられた。従って本川究においては∧1TCがかソトキャベツの代謝変動、品質
変化にどのような影響をもたらすか、その機f削こついて研究がなされた。とりわけカット
キャベツの褐変の機構、AITCによるその抑制、カ、ソトキャベツ組掛こおけるエチレン生成
の塵用、AITCによる抑制の反応である。これら一連の研死において、AITCによる酵素活性
の誘導抑制、タンパク質合成の抑制、∧1TCの酵素括性阻害の機捕が詳細に調べられた。
切断されたキャベツ組織ではフエニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)の活†生が著し
く増大する。酵素PALは植物組織においてポリフェノール生合成の最初の酵素で、フエニル
-127-
宏
紘
アラニンを脱アミノして桂皮酸を合成する反応を触媒する。PALは植物でシキミ酸経路で生
成したフエニルアラニンをポリフェノール合成系に転換する最初の酵素である。生成した
桂皮酸はいくつもの段階を経て、クロロゲン酸、コーヒー酸などのポリフェノールに合成
される。コーヒー酸、クロロゲン願はポリフェノール酸化酵素(PPO)により空気中の酸素
を用いて酸化され、キノンを生成し、さらに重合、褐変生成物を生する。山TCはカットキ
ャベツの傷害組織で誘導されるPAL・PPOの活性増大を抑制し、ポリフェノールの生成を抑制
し、褐変を防止した。これらの酵素の傷害による活性増大は酵素タンパク質のdenovo
の合成に由来することがP仙こついて、免疫電気拡散法による酵素旦の分析で明かにされた。
一方かソトキャベツの組織でエチレン生成が開著に増大していることが-Ⅵらかにされた。
エチレンは植物ホルモンとして植物体で生理的役割を石している。エチレンはさまざまな
捌勺、外的要因によりその生成が促進される。傷害もその1つの野因である。エチレンの
生合成はメチオニンを基質にして、S--アデノシルメチオニン(S仙)、トアミノシクロ
プロパンートカルポン酸(ACC)を紹てエチレンに至る経用を通ることが明らかにされて
いる。かソトキャベツの組織ではS^MからACCに転換する反応の酵素である、ACC合成酵素癌
性が著しく増大し、・ACCレベルが高まり、エチレン生成が促進されることが示された。AIT
Cをかソトキャベツ組掛こ与えると、∧CC合成酵素の痛性増大が絹著に抑制ざれ、それに伴
い、^CCレベルが低下して、エチレン生成が抑制された。^ITCはACC合成酵素の招性の誘導
のみならず、ACC合成酵素の括性そのものも阻害した。
AITCはタンパク貫合成を転写か、あるいは摘訳のレベルで抑制し、タンパク質のde
の合成を阻害するものと推定された。一方酵素タンパク質そのものとも反応して痛性を低
下させた。
本研究はカットキャベツにおけるAITCの作用を生理学的、生化学的に詳細に研究したも
ので、上の研究はAITCの作用の研究と共に、植物傷害組織の生理学、カット野菜の生理学
と加工技術に重要な示唆と指針を与えるものと考えられる。
審
永田氏の学位論文【SいJdies
browning
and
査
結
果
oninhibiLory
の
mechanisn]S
要
旨
Of
allylisothiocyanaLc。n
ethylcnc
producLlon
of shrcdded
cabl)agC]はアリルイソチオシアネートの
作用を生理学的、生化学剛こ詳細に研究した成果が述べられており、、大変評価されるもの
と考えられる。論文は共詑で宙かれ、英文は述べようとするところを正確に表現している。
以下に論文の内容について審査絹果の概要および評価を記す。
1・研究の背景と目的についで:かソトキャベツは近年よく用いられているかソト野菜
の代表的なものである。かソト野蛮の加工、保存、貯蔵、流通についてはよく研死されて
おり、これまでの研究結果がよく紹介されている。キャベツの菓組繊が切断されたり、切
りきざまれる、すなわち傷害を受けるとアリルイソチオシアネート(AITC)がミロシナー
ゼの作用によりシニグリンから生成する。キャベツの品軌こより、∧ITCの含見の構いもの
はかソ'トキヤベツを調製しても褐変の進行やエチレンの生成が抑制される。これらの背景
のもとに、永日】氏は∧1TCが何故にどのような機用により、かソトキャベツ組織の褐変とェ
ー128-
n。Y。
チレン生成を抑制するかを生理学的に、また生化学的に解明しようと試みた。山TCの生理
作用はこれまで広くみられ、殺儲‖乍用も紹介されている。植物組鰍よ傾割こより、ポリフ
ェノールの生成と酸化が促進され、褐変に至る。一方エチレンの生成が促進される。永田
氏の研究において、カ、ソトキャベツの組織でどのように褐変が引き起こされ、一方エチレ
ン生成が促進されるか、そしてAITCがどのようにこれらを抑制するかを、酵素のレベルで
解明しようとしたところに特質がみられる。
2.材料と実頗方法:材料、実験系については個体差のないように、再現のできる方法
がとられている。分析方法は粗密で信頼できる。
3.実験結果たっいて:褐変の色差計による定点化、ポリフェノールの定見、酵素フエ
ニルアラニンアンモニアリアーゼ(P仙)の摘出と定虞、ポリフェノールオキシダーゼ(P
PO)の紬出と定塵、エチレンの定見、1-アミノシクロプロパンー1一カルポン離(ACC)
の定見、ACC合成酵素の仙川と定規、抗血消を川いたP仙タンパク貿の定庶、呼吸最の測定、
核酸、タンパク貿合成阻害剤、エチレン生成阻嘗剤の油川など実験は梢密に行われ、分析
結果はiE碓に述べられている。∧11,Cの作用はタンパク質の(lel10VOの合成を阻害し、酵素活
性の誘導を抑制していることがl甘かとなった。一方∧CC合成酵素については活性増大の誘噂
と共に、病性そのものに対しても阻害効果を有することが示された。
4・.討論および考察と将来の展望:力、ソトキャベツ組織における∧ITCによる褐変の抑制、
エチレン生成の抑制、呼吸の低下などの作用はAIl'Cによる、それぞれの酵素系の酵素タン
パク質の転写、細訳による(le-nOVOの合成を抑えることと、直f妾酵素に作川して酵素活性を
阻害する結架であることが判叩=ノた。従って、AITCの含有塁の高いキャベツは傷害による
褐変が何故に抑制されるか、当初の研死目的が解明されたことと考えられる。今後の問題
点として、分子レベルでの∧ITCの作用機構のさらなる解明が望まれる。またエチレンがポ
リフェノール代謝、褐変とどのように関連があるか、興味のある点と思われる。一方AITC
をカットキャベツの加工、保存にどのように利川できるか、品質保持と関連して塵要な問
題と考えられる。本論文中には多くの文献が引川され、これまでの研究結果が十分に網羅
されている。本論文は英語で宙かれ、圃隙的にも読まれる価値の商い論文と考えられる。
以上について、審査委貝全員一致で本論文が岐早大芋大学院迎合農学研究科の学位論文
として十分価値あるものと祀めた。
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