Topics「2015 年相場の見通しと注目点」

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Topics「2015 年相場の見通しと注目点」
平成 27 年 01 月 07 日
■ 今年も強気の予想をする市場関係者が多い。高値 22000 円以上はさすがに論外と考えているが、
主要企業の来期の EPS 予想から 20000 円に達する可能性は少なからずある。世界経済を主導する
のは好調な米国経済であり、株価・不動産価格の上昇が旺盛な消費を支えてきた。2015 年も米国
経済による牽引が期待されている。
■ 米利上げに注目が集まっている。ユーロドル金利先物では今年の年末までに 50bp、来年度は 100bp、
再来年度は 50bp 程度の利上げを織り込んでいる。注目すべきは金利は中期ゾーンが上昇し、10 年
物は低下していることで、今後の利上げにより長期的なインフレは抑えられると市場が判断してい
るようだ。また、ECB による量的緩和が期待されており、南欧国債利回り(スペイン、伊)が軒並み
2%を割り込んでいる。相対的に信用力の高い米長期債が買われやすい状況にある。
■ 南欧国債(低格付債含)は一種のバブル状況にあるのだろう。ECB は今年の早い時期に国債購入
に踏み切る見込みで、このことが伊・スペイン国債利回りの大幅低下につながっている。懸念材料は
ギリシャ情勢で、同国国債利回りは逆に上昇している。左翼政権成立によるユーロ離脱の可能性が
捨てきれない情勢だ。ギリシャ新政権とトロイカの交渉過程に市場は一喜一憂しそうである。
■ 一方、株価はさほど割高でもない。日経平均の今期予想 EPS は約 1100 円であり、輸出企業業績は
3 月決算で一段の上振れが見込まれる。
来期 EPS は 1200~1300 円の予想となりそうだ。
PER13-15
とすると日経平均のレンジは 15600~19500 円となり、ほぼこのレンジに収まると予想する。その
後は消費税 10%の影響が読みきれないため、日銀の追加緩和がない限り 20000 円を大きく超える
ことはないだろう。
■ 日銀政策決定会合メンバーでは 3 月に宮尾氏、6 月に森本氏(10 月末の緩和に反対)が交替する
予定で、官邸側の強い要望でリフレ派に交替か。少なくとも今月(1/21-22)、来月(2/17-18)の
サプライズ緩和の可能性は低そうだ。黒田総裁が兵力の逐次投入なしと言明しており、追加緩和の
実施は少なくとも年後半に世界的な景気減速が明らかになる場合だろう。
■ リスク面では、原油価格の下落がある。産油国の減産見送りがきっかけとなったが、IMM のポジ
ションを見ると投機筋のロングポジションが溜まっており、見切売りが下落に拍車をかけた面も大
きい。なお、南欧国債の利回り低下もショート筋の買い戻しの影響がある。投機筋のポジションは
今年の相場にも大きな影響を与えるだろう。
■ ロシア経済は資源輸出が支えており、西側の経済制裁と原油安は大きな打撃である。ただし、外貨
準備は豊富なので時間を稼ぐことは可能だろう。投機筋の原油・ルーブル売りが一服すれば、投資
対象として魅力だろう。
■ 中国経済も懸念の一つに数えられているが、経済成長を 7%に下げ、利下げも実施して現実路線へ
修正の方向。昨年末にかけての株価の大きな上昇はこの路線を好感したものだろう。日米との折り
合いも重要だが、中国外交は日本より数段上手く、少なくとも米国とは協調路線をとるだろう。