画 像 サ - 輝城会グループ

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城西クリニック
サ
ポ
第 46 号
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ト
2015 ( 平 成 27 年 ) . 2.20 発 行
城西クリニックの新しい門出にあたって
城西クリニック 院長
松本 滿臣
城西クリニックは、創立20周年の昨年末(平成26年)に輝城会ビル1F(前橋国領町2-13-23)
に移転し、平成27年1月5日から「放射線診断科」として再出発しました。移転作業に伴いご
迷惑をおかけいたしました。
移転に際して特筆すべきは、MRI 2台から3T MRI 1台を増設し、さらに3台ともに最新型の
装置の導入という思い切った投資をしていただいたことです。既存の建物でしたのでクリニッ
ク内部のレイアウトには苦心しましたが、受診者の動線を最優先したこともあって、理想に近
いレイアウトができたものと思っています。
画像医学でのCT、MRIといった画像診断法の進歩はめざましく、これらの非侵襲的な断層
画像検査による病変の検出と診断、治療方針の選択や決定に関して画像診断の果たす役割が増
え、医療に不可欠な診断法として定着しています。
第2世代の城西クリニックの役割は、高級機器の持つ性能を駆使してさらに質の高い画像診
断を実践することだと思っています。診療目標として掲げている「1. 患者第一主義に徹しま
す」の原点はここにあります。初回検査の患者さんが多いこともあって、検査部位に生じる病
変の見逃しを避けるための検査プロトコルを実施しています。思わぬ所見に遭遇し、本来の検
査時間を越えて造影MRIを追加することもあります。これも患者さん第一だと思っていること
によります。検査前の身体計測、問診、造影剤禁忌の有無や体内金属の有無チェック、検査後
の状態観察など、きめ細かな配慮や対応を行っています。
「2. 質の高い検査と診断を実践しま
す」に関しては、患者さんの病態解明のための具体的な検査プロトコルの選択と実施を行って
いますし、読影の質の担保についても、群馬大学大学院画像核医学講座から非常勤医師の派遣
を得ています。
「3. 画像診断を通じて地域医療の向上に貢献します」のために検査待ち日数の
短縮による迅速な治療方針で適切な治療を受け、早期の社会復帰を目指しています。
今後も先生がたとの連携をさらに深めて、画像診断を介して地域住民の健康の増進・回復を
目指して一貫した現場主義を心掛けたいと思っています。御指導・御鞭撻のほどよろしくお願
い申しあげます。
イ メ ー ジ ・ ギ ャ ラ リ ー No. 42
A
B
C
D
E
F
図 1 前 立 腺 癌 ( 59 歳 男 性 )
1 年 10 か 月 前 に PSA 5.9 と 高 値 で あ る こ と が 判 明 、そ の 2 か 月 後 に 5.79、別 の 某 医 で 8
か 月 後 に 測 定 し 11.19 と 上 昇 し た た め 前 立 腺 生 検 を 受 け 、2/8 カ 所( 左 辺 縁 領 域 と 移 行 領 域 )
に 癌 が 検 出 さ れ て い ま す 。 病 期 診 断 目 的 で MRI 検 査 を 依 頼 さ れ ま し た 。 T2 強 調 像 (A)で は
左 辺 縁 領 域 に 正 常 の 高 信 号 が 消 失 し て 低 信 号 を 示 す 領 域 (* )が 認 め ら れ ま す 。移 行 領 域 と 中
心 領 域 は 肥 大 し て い ま す が 、よ く 見 る と 内 部 の 信 号 強 度 は 不 均 一 で や や 信 号 の 低 い 領 域( ⤴)
が 存 在 し て い ま す が 、 癌 病 巣 と い え る か ど う か 疑 問 で す 。 拡 散 強 調 画 像 DWI (b = 1000)と
T2 強 調 像 の fusion image (B)で は ↑ で 示 し た 領 域 に 高 信 号 ( 拡 散 制 限 ) を 認 め ま す 。 見
か け 上 の 拡 散 係 数 ADC map (C) で は DWI で 高 信 号 を 示 し た 領 域 に 一 致 し て 信 号 が 低 下 し
て い ま す 。ADC value は 測 定 し た 2 箇 所 で 0.751~0.753×10 ( - 3 ) mm 2 /sec で す 。造 影 ダ イ ナ
ミ ッ ク ス タ デ ィ の サ ブ ト ラ ク シ ョ ン 画 像 subtraction image で は 早 期 相 (D: 造 影 剤 注 入 開
始 か ら 60 秒 目 ) で 広 範 囲 に 様 々 な 強 さ の 増 強 効 果 ( ← ) を 認 め ま す 。 時 間 信 号 強 度 曲 線
TIC/time-intensity curve (E) で は 、増 強 効 果 の 強 い 領 域 (ROI A)は 早 期 相 で rapid wash-in、
後 期 相 で washout pattern 、 増 強 効 果 の 弱 い (ROI B)は rapid wash-in、 plateau pattern を
示 し て い ま す 。 同 日 に 検 査 さ れ た 病 期 診 断 の た め の 胸 腹 部 CT の 腹 部 動 脈 相 (F) で は
dynamic MRI の 早 期 相 で 比 較 的 強 く 増 強 さ れ た 領 域 に 一 致 し た 増 強 効 果 が 見 ら れ ま し た 。
T2 強 調 像 (A)で は 癌 の 一 部 が 明 瞭 に 捉 え ら れ て い ま し た が 、 DWI (B)、 ADC map (C)、
dynamic MRI の subtraction 画 像 (D)、な ど を 併 用 す る と 前 立 腺 癌 は 辺 縁 領 域 よ り も む し ろ
移行領域・中心領域に広がりが強いことがわかります。
本 例 の 画 像 は 3T MRI に よ る も の で す 。従 来 用 い て い た 1.5T MRI に 比 べ て 信 号 対 雑 音 比
signal to noise ratio (SNR) が 約 2 倍 に な り 、 周 波 数 分 解 能 の 向 上 な ど に よ っ て PACS 画 面
で 見 た だ け で も 画 質 の 向 上 は 明 ら か と 感 じ て い ま す 。前 立 腺 癌 で の 画 像 診 断 の 位 置 付 け は 、
すでに生検で診断が確定した症例の前立腺外の浸潤の有無、リンパ節転移、遠隔転移など
の 病 期 診 断 が 主 目 的 で し た 。3T MRI に よ る 経 験 蓄 積 さ れ て 、画 像 所 見 に 基 づ い た 生 検 を 勧
める報告がちらほら見られる時代になりました。今後の発展がさらに期待されます。
A
B
C
図 2 膵 頭 部 ( 鈎 部 ) 癌 ( 67 歳 男 性 )
2 ヶ 月 前 か ら 胃 痛 を 訴 え て 5 カ 所 の 医 療 機 関 で GIF, CF, 超 音 波 検 査 な ど を 受 け 著 変 な
し と さ れ て い ま す 。 最 後 に 受 診 し た 某 医 よ り 腹 部 CT を 依 頼 さ れ ま し た 。 食 欲 低 下 が あ り 、
体 重 は 2 ヶ 月 で 13kg 減 少 し て い ま す 。 黄 疸 は あ り ま せ ん 。
造 影 CT 動 脈 相 (A, B)で 膵 鈎 部 に 内 部 に 造 影 不 良 域 を 伴 い 辺 縁 部 が や や 強 い 増 強 効 果 を 示
す 腫 瘍 が あ り ま す ( ← )。 膵 全 体 の 構 造 が 分 か り や す い 動 脈 相 の curved MPR (C) で は 膵 鈎
部 の 膵 癌 で あ る こ と が 一 目 瞭 然 で す ( ← )。 す な わ ち 、 膵 腺 癌 は desmoplastic reaction を
示 し な が ら 発 育 す る hypovascular tumor で 正 常 領 域 の 体 部・尾 部 の 増 強 効 果 に 比 べ て 、病
変部は正常の膵実質よりも増強効果が悪いことがわかります。画像は示していませんが、
上 腸 間 膜 静 脈 は 腫 瘍 浸 潤 に よ る 侵 襲 の た め に 描 出 さ れ ま せ ん で し た 。 上 腹 部 痛 で は 、 GIF
で 著 変 の な い 場 合 に は 膵 を 含 む 腹 部 造 影 CT ま た は MRI( 造 影 を 含 む ) の 早 め の 施 行 を 検
討すべきかと思われました。
A
B
C
図 3 左 膝 色 素 性 絨 毛 結 節 性 滑 膜 炎 PVNS( 17 歳 女 性 )
10 日 前 夜 、立 ち 上 が ろ う と し た ら 左 膝 痛 出 現 。翌 日 は 痛 み 増 強 し て 受 診 し 、 MRI を 依 頼
さ れ ま し た 。 2 年 前 に も 同 様 症 状 で 某 病 院 を 受 診 し 左 膝 MRI 検 査 を 受 け て い ま す 。 T2*強
調 像 (T2* GRE) (A)で 大 量 の 関 節 血 腫 と 関 節 内 腫 瘤 が あ り 、 腫 瘤 の 周 囲 に T2* GRE で 不 整
な 低 信 号 域 が あ り 、 別 の 断 層 面 (B)で も 膝 関 節 後 部 に 不 整 な 低 信 号 が 多 発 し て い ま す 。 ほ ぼ
同 じ 断 層 面 の プ ロ ト ン 密 度 強 調 像 (PDWI)で も 通 常 で は 見 ら れ な い 低 信 号 域 が み ら れ ま す 。
ヘモジデリン沈着を反映していると解釈し、色素性絨毛結節性滑膜炎を疑いました。手術
の結果、病理学的に診断が確定しました。
2 年 前 に 同 様 症 状 で 左 膝 MRI 検 査 を 受 け 外 側 半 月 板 の 円 板 状 半 月 板 が 疑 わ れ ま し た 。 今
回 の MRI で も 円 板 状 半 月 板 が 認 め ら れ ま し た 。2 年 前 か ら PVNS が あ っ た か ど う か は 不 明
で す 。仮 に PVNS が 存 在 し た と 仮 定 す る と 、T2* GRE を 撮 像 し て い な い た め に 見 逃 さ れ た
可能性がないとは言えません。初回検査では、どの部位の検査でもどんな病変も見逃すこ
と の な い 撮 像 プ ロ ト コ ル で 検 査 を 行 う の が 私 た ち の 基 本 で す 。 T2* GRE は 小 さ な ヘ モ ジ デ
リ ン 沈 着 を 明 瞭 に 描 出 す る た め 、 膝 MRI で は 省 略 で き な い シ ー ケ ン ス と 考 え て い ま す 。
テ ク ニ カ ル レ ポ ー ト Vol.35- 画 像 診 断 装 置 の 機 器 管 理 に つ い て -
画像診断を行うにあたり、以前より装置を安全かつ安定した良い状態で日常業務を行う
ことが大変重要であり、機器を扱う医療機関ではその装置の状態を把握したうえで検査を
施行し画像を提供しなければなりません。そこで今号では日常点検を含めた装置の機器管
理について少し述べさせて頂きます。
平成19年4月の医療法の一部改正の施行により、医療機関の責務として医療機器の安
全管理について、管理責任者の設置や研修の実施、医療機器の保守点検計画及び修理内容
記録管理等の安全確保に向けた体制の整備が必要になりました。その中に「医療機器の保
守点検に関する計画策定及び保守点検」の項目があり、医療現場にて行うべき医療機器の
保守点検については日常の始業終業点検を確実に実施して状況等を評価・記録・保存する
こ と が 要 求 さ れ て い ま す 。( 日 本 画 像 医 療 シ ス テ ム 工 業 会 「 JIRA」 放 射 線 関 連 装 置 の 始 業
終業点検についてから引用)
当 ク リ ニ ッ ク に お い て も 、 MR 装 置 を 新 規 購 入 し た こ の 機 会 に 、 以 前 よ り 行 っ て い た 機
器管理について再度検討・見直しを実施しました。これにより、以前にも増して常にベス
トな状態で検査を行えるようにと日常点検を毎業務前に実施しています。実施項目は約2
0項目あり、その中にはファントムスキャンによりデータも測定しています。その数値を
記 録・保 存 す る こ と に よ り 装 置 の 状 態 を 知 り 、画 質 の 担 保 へ と つ な げ て い ま す 。
(下図グラ
フ参照)
今後も装置を安全・安定した状態で使用し、検査を施行することで先生方へより良い画
像を提供していきたいと考えています。
城西クリニック技師長 後閑 隆之
2015年1月 S/N(3T)
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SENSE HEAD(FFE)
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