一般財団法人高齢者住宅財団創立20周年シンポジウム基調講演

144号[2015.1]
REPORT
研 究 レ ポ ー ト
一般財団法人高齢者住宅財団創立20周年シンポジウム
基調講演
「これからの社会のかたちと高齢者の住まい∼エイジング・イン・プレイスを求めて∼」
「新たな21世紀型社会の建設
人生第2トラックを支えるケアサイクルのまちづくり」
文部科学省科学技術・学術政策研究所 客員研究員 長谷川
敏彦
病院を経営しておりました。しかし、行政官として能
ケアサイクルが医療の目的を変える
力がないということがわかったのでしょう、国立医
ご紹介にあずかりました長谷川でございます。まず
療・病院管理研究所、国立保健医療科学院での研究者
は、財団の20歳の誕生日、おめでとうございます。この
生活を経て、縁あって日本医科大学に参りました。7年
ような日に大変重要な未来の課題を皆さまと一緒に考え
聞を経た後、昨年退官いたしまして、現在は文部科学
ることができ、大変名誉なことと感謝しております。
省附属の研究所に勤めております。
先ほど、私の履歴をご紹介いただきましたが、唯一
そういう経歴ですので、研究はほとんどが行政政策
不満なのは一番右側の履歴が紹介されてないというこ
関係でございます。私が一番誇りに思っておりますの
とであります
(資料1)
。私はほぼ確実に起こることは
はスリランカの国家医療計画ですが、近年は多摩地域
必ず書くようにしておりますので、一番右側に
「死亡」
のケアサイクルプロジェクト、まちづくりのプロジェ
と書いております。考えてみたら、生まれて以降の最
クトに携わりました。この2つが、テーマが多岐にわ
も重大な履歴は死亡ではないでしょうか。いつ死ぬか
たる統合的な研究でございました(資料2)。
わかりませんので年は書いていません。
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資料2
㹁7+DVHJDZD
106-DSDQ
106-DSDQ
資料1
さて、今日はそのような研究成果をふまえ、若干
私自身はもともと外科医でございまして、アメリカ
ショッキングなスライドからお話を始めたいと思いま
に留学してレジデントをいたしました。奴隷のような
す。これはちょうど1年半前に、サッポロ冬季がんセ
生活を終え、専門医の資格を取ったのですけれども、
ミナーで並みいるがんの専門家の前で使ったスライド
日本に帰ってきてから外科医をしておりましたら、厚
です。実は、このスライドを出すのは心配だったので
生省から来ないかというお誘いの電話か突然かかって
すけれども、問題点をクリアにするために、あえて出
まいりました。当時、私自身はまだアメリカ人だった
させていただきました。
ので、国の命令を拒否すると銃殺刑になると勘違いい
こんなスライドです(資料3)
。2020年ごろに、脳卒
たしまして、厚生省に入省いたしました。その後は、
中で死んだ人とがんで死んだ人が天国で話し合ってい
幾つかをローテーションいたしまして、最後は九州で
ます。脳卒中で死んだ人が
「よかったね、あなたはよい
40
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㹁 7 +DVHJDZD
5,)+-DSDQ
(資料4)
。なぜこのようなことになっているのか。そ
れは次のスライドで説明いたします。
大きく変わる「社会」
21世紀型に人口遷移
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んながパニックになるのではないかと思っております
資料5は、ちょうど1年ぐらい前に私がつくったの
ですが、つくってみて、私自身がエッと思い、のけぞ
りました。最初が1868年明治維新のときで、最後が
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2110年です。この240年間の人口遷移を、65歳ではなく
て50歳で線を引きました。そうしますと、何と19世紀
資料3
から1970年代まで、日本の人口はずっと50歳以下が約
病気で死ねてうらやましい。私は医療費や介護費を
いっぱい使って家族に迷惑をかけて、認知症になって
死の準備もできず」と言うと、がんで死んだ人は「で
85%で、19世紀型の安定した人口権成でありました。
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も、つらかったのよ。死と向き合うことが不安で」
と言
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う。
「でも、ケアサイクルが結局うまく回って、死と向
き合って亡くなって、あなたこそ死のエリートだ」
と、
脳卒中で死んだ人か言っている。こんなスライドでご
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です。ケアサイクルというものがあれば、医療の目的
が変わっていくのではないかと思います。
実は、講演が終わってから出口でブスッと刺される
のではないかと心配していたのですけれども、意外と
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㹁 7 +DVHJDZD
5,)+-DSDQ
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ざいます。ここでは価値観がひっくり返っているわけ
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資料5
好評だったので、私自身がびっくりいたしました。
その半年後、サラリーマンの聖地である新橋の駅で
これから50年後、2060年ごろには、安定した21世紀型
アナウンサーが、
「あなたはどういう病気で死にたいで
の社会に移行します。我々は、この移行のど真ん中にい
すか」
とサラリーマンにインタビューしているテレビ番
て、19世紀型の考えのままで混乱しているのではないで
組を見たら、7割8割の方は、がんで死にたいと言っ
しょうか。私はこれを「人口遷移」と名前をつけまし
ていました。ああ、そういう時代になったんだなと
た。19世紀型から21世紀型への人口遷移であり、日本
思った次第でございます。
は50年後に21世紀型の社会に移り変わるわけです。
実は、がんで3分1が死ぬということで過去10年間
どんな社会なのか。実は2060年には、50歳以上が60
は横ばいですが、がんセンターと人口研の推計を使い
%、3分の2弱を占めます。人類の生殖年齢は15歳か
ますと、今後死ぬ確率は下がって、4人に1人しか死
ら50歳なので、生殖年齢を過ぎている。しかも50歳と
ねないということになる。だから、みんな争ってがん
いうのは、つい最近まで生産年齢、つまり労働年齢で
で死のうとする、がんで死ぬことを夢見る時代が来る
した。1985年ごろまで定年は大体55歳で、定年後4∼
のではないか。もし、がんが治る病気になったら、み
5年生きて、60歳前後で死ぬ。これが19世紀型のライ
フコースでした。
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㹁 7 +DVHJDZD
5,)+-DSDQ
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生産も生殖も終えたグループがマジョリティーにな
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資料4
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る。そのとき、65歳以上人口は40%、75歳以上人口は
28%という壮絶な社会になります。
ふだん使われる65歳以上人口を使わないで、50歳で
切ったのがミソです。つまり、こういう社会は人類史
上かつてなかった。生産を終え、生殖を終えた人口が
3分の2を占める社会。カマキリなどは生殖を終わっ
たらお嫁さんに食われるという社会であり、それが極
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めて理論的に合理的にできた社会です。ところが人類
は、いいか悪いか結果論的に、生殖、生産を終えた人
間を3分の2抱える社会に突入する。その移行のど真
41
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ん中に我々はいるわけです。
ように結び付けて新しい社会にしていくか。21世紀型
人生を3期に区切るということが考えられるように
の社会をどのように作りあげていくかということが、
なり、ケンブリッジ大学のピーター・ラマレット教授
日本の真の挑戦ではないでしょうか。
は、サードエイジ、つまり
「第3の人生」
の出現を唱え
実は人類史上、平均寿命が50歳を超したのはついこ
ました(資料6)。巣立つ準備の第1期。社会にデ
の間で、欧州で100年前、日本では60年前です(資料
ビューして、家族を持ち、働いて社会を支える第2
7)
。それ以前にも50歳以上まで生きられた方はもちろ
期。それを終えてリタイアした第3期。第3期は、社
んいましたけれども、世界全体の価値観として50歳以
会や家族からはなれて自己実現を求めることのできる
上の人生が誕生したのは、つい最近なのです。
すばらしい人生ですが、この第3の人生の人間が大多
「林住期」と言われた時期であります。
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資料7
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数を占める社会になるということです。かつて日本で
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資料6
ある女優さんの一生を追ってみると、2年前に姥捨
てをテーマにした映画に出演されて、生まれて初めて
の汚れ役をされました。女優としてのデビューは1954
年14歳のときで、このときの平均寿命は40代でした。
何が問題なのか。実は私は個人的には、高齢独居の
今は90代です。たった1人の人生の間に、日本の寿命
女性が増える、医療費が足りなくなる、労働力が減る
は倍増したことになります。
ということは余り大きな問題ではなくて、日本が直面
ビッグバンから始まって、38 億年前に生命が誕生
している挑戦は、もっと深刻な、もっと凄いことだと
し、そして2,100万年前に人類が誕生しますが、この38
思っております。
億年の歴史の中で、いかなる動物も生殖を終えて存在
と申しますのは、50歳までの人口は、個人と家族と
しているというのはありません。
社会のベクトルが一緒です。一生懸命働いて子どもを
申し上げたいポイントは、この想像を絶する21世紀
育て、社会を支え、国を支える。ところが50歳を過ぎ
型未来社会を従来の
“フォーキャスティング”
で捉える
ると、はっきり申し上げて社会はどうでもいい。自分
と危険だということです
(資料8)
。環境問題でよく採
がどのように自己実現していくかということなので、
用する手法ですが、未来はこういう社会になるのだか
ベクトルは全部バラバラです。つまり、50歳までは社
ら、そのあるべき姿に向かつて何をすべきかを考えて
会や人類から役割を与えられていて、何を言おうとそ
いくという
“バックキャスティング”
の方法でやる必要
の役割を果たすことがボトムラインです。ところが、
があるのではないでしょうか。
50歳からは社会の側からは役割なき役割で、自分が自
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しかも、公平性という問題があります。若いときは出
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発点が比較的平等ですし、近代の約束として、第2の人
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生に登場するときになるべく平等にしていこうというこ
かどうかは別として、近代の約束として語られました。
ところが、第3の人生、50歳以降は、人脈、能力、
健康状態、意欲等がバラバラです。このような社会は
すごく危険な社会ではないでしょうか。方向性がバラ
バラ、出発点が不平等という社会で、個人個人をどの
42
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㹁 7 +DVHJDZD
5,)+-DSDQ
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とがフランス革命等によって保障された。実際にできた
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くということになります。
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資料8
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144号[2015.1]
今までは第1トラック、つまり働いて退職すると、
大きく変わる
「人生」
長寿革命で人生第二トラック
少したってバタッと死ぬ。退職で終わり、あとは余
まず基調の基調として、人口構成が変わり、社会が
には、退職すると余生だ、人生は1回で終わりだとい
大きく変わっていくのだということを申し上げまし
う思想が入っていると思います。
た。
ところが、定年が60歳、65歳とだんだん延びてき
個人の人生も変わります。65歳を定年として、1日
て、近年では75歳まで働けと言われますが、これは無
9時間働くとすると、定年前の労働時間は約10万時間
理です。問題が2つあります。1つは、余り働き過ぎ
になります。そして、85歳まで生きるとして、定年後
ると若い人の職場を奪ってしまう。それから、体力の
の非睡眠時聞を15時間として計算すると、何と10万時
問題や意欲の問題があるので、同じようなモードでは
間なのです。つまり、働いている前後で、個人の人生
働けない。
の時聞がほとんど変わらないという時代に突入しまし
そこで、第2トラックに入る前の、少し早目から別
た。今日のお話にこれをくっつけますと、人生の前半
の生き方を考える。いわば、体力も意欲も働きモード
部分において昼間は家にいなかった人も、定年後は家
も変わってくるようなトラックを想定する時代に入っ
に24時間いる時代に入るということです。
たのではないか。何も50歳になったらすぐに準備しろ
そして人生の後半の50歳以降は、生き生き元気な高
ということではありませんが、65歳ではちょっと遅過
齢者の時代を経て、後で詳しく申し上げるケアサイク
ぎる。その手前から第2トラックを考えて、最後は介
ルの時代を経て、介護・支援を得ながら、最後は周死
護が必要になって死ぬ、この過程を自分で考えていく
期、死んでいく時期に入っていくというプロセスに
ということを日本国民全体が行い、それを支える新し
なっておリます(資料9)。このそれぞれのプロセス
い社会制度や住宅を発想していく必要があるのではな
を、我々はもう一度考え直す必要があるのではないで
いでしょうか。つまり、豊かに老い、豊かに死んでい
しょうか。
く。そして、住宅や医療は第2トラックをどのように
生、余った命というコンセプトでした。この考えの中
応援していくかというツールなのだと、発想を転換す
る必要があるのではないでしょうか。
実は、医療、恐らく住宅も、15歳から50歳までのリ
スクをどうマネジメン卜するかということのために、
ドイツを中心に19世紀に開発されました。15歳から50
歳までの間の病気を介入して治していく、単一の疾患
を治していくリスクマネジメント、それが医療行為で
した。しかし、50歳を過ぎますと、疾病は単一ではす
みません。そして、最後は死ぬ。とすれば、医療も住
宅も変わらなければならないのではないでしょうか。
第2トラックを想像すること。近年、これが「人生
資料9
二毛作」
などという表現で多くの人が語り始めておられ
私はここで皆さんに、
「人生第2トラックの創造」
と
るようですけれども、これまで終身雇用的な日本の生
いうことをご提案したいと思います
(資料10)
。
活風土の中で、第1トラックだけが余りにも成功し、
余りにも推し進められてきたのではないでしょうか。
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また、第2トラックの中で、これからの高齢者住宅を
考えていくヒントがあるのではないかと思います。そ
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㹁 7 +DVHJDZD
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資料10
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れには、団塊、団塊ジュニアといった関連世代がそれ
ぞれの役割を果たしていく必要があるのではないで
しょうか。
「家族」と
「列島」
も大きく変わる。
新しいまちづくりが必要
家庭も大きく変わります。家庭機能は、生殖、生
活、生産、結縁によって成り立っていますが、これが
近代になって、第2の人生を中心に営まれてきまし
43
144号[2015.1]
た。そして、家庭こそが、社会とつながる最初の結節
は末端から縮小していくという大変動期に入るので、
点でした。ところが生殖技術の変化、生活機能の変化
国土全体をもう一度つくリ直す必要が出てきます。
によって、それが変わってきています。
日本の人口は江戸時代と比べると4倍に膨れ上がり
国土交通省が2011年3月に出した大変すばらしい報
ました
(資料13)
。増えた大半は都市人口です。江戸時
告書があります。それによると、世帯の変遷、家族自
代の都市人口は10∼20%で非常に少なかったのです
身が大きく変わって、かつての大家族や標準家族が独
が、明治以降は都市に人口が集中しました。ただ、人
居に移行していくということです(資料11)
。
口が減っていくときは末端から減るということになり
ます。
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㹁 7 +DVHJDZD
5,)+-DSDQ
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5,)+-DSDQ
資料11
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資料13
さらに、生涯未婚率か高まっていきます
(資料12)
。
団塊ジュニア世代での末婚率は、男が30%、女が24%
国土交通省の2005年の報告書によると、日本国は全
で、日本国民の4分の1が結婚しない。このグループ
部で82の都市圏から成っています。都市の定義は、昼
は、基本的には高齢独居の候補者です。そのような大
間人口が50%以上で、車で1時間以内で行ける場所と
変化が予測されるわけです。
いうことですが、そのうち5つは5大都市で、残りが
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5大都市圏は都心と郊外、地方都市圏は77の中核都
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地方都市です。
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5,)+-DSDQ
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治体、日本は全部でこの5ヵ所の地域から成っている
と私は分類しています(資料14)
。今日現在、4つの地
域の人口は約2,500万人でほぼ同じですが、過疎地だけ
は、その半分の1,300万人です。
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資料12
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これまでの標準家族は、親子で4∼5人でした。
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ちょっと言い過ぎかもしれませんが、ある経済学者
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は、日本の経済がバブルがはじけてから生産性が上が
䠂ῶ
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らないのは、例えば、車の大きさや家の構造などが、
いまだにこの標準家族をベースにしたビジネスモデル
だからだと述べています。
㹁 7 +DVHJDZD
5,)+-DSDQ
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資料14
今、社会像はもっと多様になっています。ペットが
家族の一員、パラサイトシングル、家庭内離婚、ホモ
2050年には、過疎地域並びに地方中小都市の人口は
セクシャル、シェアハウス、地域居住、先ほどからご
半減し、中核都市と都心郊外はほぼ20%減って、都心
義論があるサービス付き高齢者向け住宅。そして何と
はプラマイゼロぐらいという予測でした。
いっても、高齢独居。独居の高齢者をいかにまちで支
すでに社会問題化しつつありますけれども、5∼6
えていくか。
年前に厚生労働省の井上君に「長谷川さん、大変です
また、日本の国全体の構造も変わってきます。日本
よ。大都会の郊外の高齢化のスピードはむちゃくちゃ
44
144号[2015.1]
速い。2030年には独居の人たちがあふれますよ」
と言わ
実は古典的な医療は、医療者と患者が出会って、問
れました。
題を抽出して解決するという医療でした。
日本は、人類がこれから直面していく課題を、世界
しかし、高齢者のための医療は、住宅に行って診る
より先取りします。現在、発展途上国は、みな大都市
在宅ケアをベースにします。一部の在宅ケアの原理主
化しておリます。都会でアパートに住んで孤独に死ん
義者は病院に入院させないということを誇りにしてい
でいくということが、日本を皮切りにアジアに広がっ
るわけですが、そうはいきません。やはり急性期にな
ていく。井上君はWHOにもおりましたので、
「日本が
ると病院に入院して、家に帰ってくる。そして地域全
世界の先駆けとなる。医療は医療保険があるからいい
体でケアしていこう。これがまさしく地域包括ケアの
けれども、介護のほうは自費の部分がある。孤独死な
概念であります。
らまだいいけれども、あそこに重症の要介護者がいる
私はそれを支える概念として、ケアサイクルを提案
のに子を差し伸べられない、そういう状況になってい
しました
(資料17)
。
くのではないか」と心配しておりました。
さらに、東京近郊は日本でも有数の医療資源が少な
い地域なので、ここで第2の医療崩壊が起きるのでは
ないか
(資料15)
。ただ、ここで必要な医療は従来の医
療ではなくて、これから申し上げるケアサイクルの医
療ということになると思います。
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㹁 7 +DVHJDZD
5,)+-DSDQ
資料17
外国の教科書には、高齢者のケアは、慢性期ケア、
急性期ケア、回復期ケア、長期ケア、末期ケアという
プロセスを経ていくと書いてありました。例えば、高
㹁 7 +DVHJDZD
5,)+-DSDQ
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資料15
血圧や糖尿病などを外来で治療するのが慢性期ケア。
その間に突然具合が悪くなって、脳卒中、心筋梗塞を
起こす。これが急性期ケア。高齢者の場合は、回復し
てもリハビリが必要です。これが回復期ケア。リハビ
治す医療から与える医療へ
ケアサイクルの確立
リが終わると家に帰って長期ケアに入る。長期ケアの
そして、医療です。この数年間、a橋先生のご指導
ことで、通常、それは死ぬまで続く。そして最後に末
も受けて、ケアサイクルという概念を世に問うてきま
期ケア。
した。何とアベノミクスの報告書にも、ケアサイクル
僕も、これを信じておりました。きょうは厚生労働
がきちっと確立された世界を目指せと書いてありまし
省の方もおられるので、はっきり申し上げますが、厚
た
(資料16)
。
生労働省の施策は全部一方通行で、切れ切れにつくっ
定義は障害と病気を抱えて医療と介護が必要だという
ておられて、これはちょっと誤解を招くのではないか
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と懸念しています。
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なぜならば、実際のところ高齢者は、急性期ケアと
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長期ケアの間を行ったり来たりします。例えば、家に
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いて長期ケアをしている間に、次の脳卒中や肺炎を起
こして、また病院に入り、回復期を経て家に戻ってく
る、こういうサイクルを示すのが現実です。これは教
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㹁 7 +DVHJDZD
5,)+-DSDQ
資料16
科書には書いてありません。このサイクルがスムーズ
にいかないので患者が溜まるという構造なのではない
でしょうか。したがって、これがスムーズにいくシス
テムをつくらないといけない。
45
144号[2015.1]
䜿䜰䝃䜲䜽䝹
それは、かつての医療は50歳までの、主として外傷
や感染症等、外国によって起こる病気
「単発外因疾患」
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ᆅᇦ䡵䡭
を中心に、その部分を治せばよかった。つまり、病気
も障害も、もとに戻ることができるわけです。ところ
が、高齢者は違います。高齢化して成人病、老人病が
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⚟♴᪋タ
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㧗㱋⪅䛻ᚲせ䛺
起こってくると、病状が変わり、何度もエピソードを
繰り返す
「複数継続疾患」となる。
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したがって、医療行為も急性期医療に関しては、イ
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㹁 7 +DVHJDZD
5,)+-DSDQ
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ンフォームドコンセントとなります。リスクはある
し、人権は侵害されるけれども病気を治すためには
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資料20
しょうがない。ダメだったら死ぬか、あるいは障害が
固定します。
しかし、さすがに福祉の方では異合が悪いというの
例えば、脳卒中を起こしたときに、病院の医者は、
で、ノーマライゼーションの運動が起こったのだと思
自の前の患者さんの利益を最適化しようと思ってしま
います(資料18・19)
。
うので、人工呼吸をしてチューブを入れて命を救うと
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᪋タ䞉ሙ
いうことをします。しかし、ケアサイクルをグルグル
㝸㞳
回って最後は死ぬんだというふうに考えたときに、本
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Ṛஸ
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当に病院に送るのがいいのか、できる限りお家でケア
をするのがいいのかという、長期の展望をもつ必要が
あると思います。近年では、肺炎でもかなり地域でケ
アができるようになってきています。そういうことを
考える必要があるのではないかという提案です。
つまり、地域の中で病気になって、治ったら地域に
ᆅᇦ
⚟♴᪋タ
㹁 7 +DVHJDZD
5,)+-DSDQ
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帰ってくる。地域ケアと施設ケアが一体化する時代に
入ったのではないかということです
(資料21)
。
資料18
㧗㱋⪅䜿䜰
㧗㱋⪅䜿䜰䛾㐣⛬䠄」ᩘ䛾䜶䝢䝋䞊䝗䛸ᚲ↛ⓗṚ䠅
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㹁 7 +DVHJDZD
5,)+-DSDQ
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資料19
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㹁 7 +DVHJDZD
5,)+-DSDQ
資料21
医療自身が、資源がたくさんあって技術がすぐれた
病院施設に隔離して治療するという時代では、もうな
必要なケアは、先ほど申し上げたように、急性期ケ
いのではないか。病気は治らないし、命は救えないの
ア、回復期ケア、安定期のケアであり、このケアサイ
では意味がない。その人が生き生きと豊かに生きて死
クルの繰り返しです
(資料20)
。地域にいる人が、急性
ぬということを、どう支えるかという時代に変わって
期で病院に運ばれる、リハビリをして、在宅か福祉施
いかなければならないのではないでしょうか。
設にかえる。このサイクルをグルグル回り、最後は亡
私はアメリカから帰ってきた1983年ごろに、それを
くなる。このようなケアサイクルに対応した医療シス
感じました
(資料22)
。滋賀医科大学で外科医をしてい
テムや医療の判断を考えなければならないのに、残念
たのですが、50歳以下の人を手術すると、「治ってよ
ながら、今はそうなっていません。
かったね」
となる。高齢者を手術すると、がんが再発す
る、あるいは隣の診療科で脳卒中で死んでいる。その
ときに死から振り返って、私は何をしたのだろう、医
46
144号[2015.1]
療をしたのだろうか、私は医者なのかと自問しまし
のか。それがこれからの医療であり、新しい医学は日
た。
本から起こるのだと確信しております。
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㹁 7 +DVHJDZD
5,)+-DSDQ
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実は19世紀に、森鴎外等々、多くの日本の医者はド
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大きく変わる
「時代」
共に老いるアジア、
日本の過去から学ぶ
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イツに留学し、19世紀医療の成立を支えました。私は
今度はドイツ人に来てもらおう、助けてもらおうと
言っているのですが、新しい医学は、皆さま方も主役
の1人です。環境、つまり家が治療の重要な要素に
なってまいります。
高齢化の大波・津波と闘って、我々は新しい社会を
資料22
創造する必要があるということです。この話をする
1983年当時は、若年の単一疾患を治療するのが9
と、皆さま暗い顔をします。しかし、皆さんにグッド
割、高齢者の場合は1割で、まれな状態だったかもし
ニュースを伝えたいと思います。
れません。今は、それが6割と4割になっています。
日本は過去、大転換期が6回ありました
(資料24)
。
例えば、私がいた日本医科大学のある病棟では、最低
大化の改新、寛平の治、保元の乱、建武の中興、桶狭
年齢が80歳だと言っていました。10年後、団塊の世代
間の戦い、ペリー来日、この転換期を全部約50年でや
が高齢に達すると、恐らく若年が4割、高齢者が6割
り遂げているのです。学校で習うと、教科書のページ
になって、それがデファクトスタンダードになるの
数が多いので50年間の出来事とは思えないけれども、
に、準備されていません。発想を大きく変える必要が
例えば、ペリー来日が1853年で、不平等条約撤廃は
あります。
1910年です。大化の改新が645年で大宝律令制定が701
まず第1番に、医療の目的は、
「治す医療から支える
年、桶狭間の戦いが1560年で大坂夏の陣は1615年で
医療」
に変わってまいります。福祉と医療は一体化しま
す。
᪥ᮏṔྐ䠓ᗘ┠䛾㌿᥮
䛔䛴䜒ᖺ㛫䛷
す。ご本人が希望する機能を医療者が助けていく。ご
本人がどうしたいかを言わなければ助けられないとい
うことになります。第2トラックの自分の生き方を自
分が考えて、医療者と語り合うというような形になら
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ない限り、医療者は助けようがない。そして、我々は
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(資料23)
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「19世紀の医療から21世紀の医療」
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資料24
日本人は、列島全体をカバーするような大転換を、
全部50年でやり遂げてきたのです。だから、これから
の社会に呼応した新しい転換を、日本人はできるので
はないでしょうか。
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資料23
もう1つ、日本人は江戸末期に一度リハーサルをし
ています
(資料25)
。ヨーロッパは、重商主義と産業革
命によって、一気に人口が増え続けました。日本で
19世紀医療は、主にドイツで、1858年にベルリン大
は、義満と信長は重商主義でしたが、家康は重農主義
学のウイルヒョー教授が、体の細胞の病変があるのだ
だったので、人口は横ばいになって、江戸末期に定常
と定義して始まりました。15歳から50歳までの世界で
状態に入りました。この時代に活躍した人たちこそ老
は、それでよかった。でも、高齢者はそうはいきませ
人、ご隠居さんです。そして、さまざまな世代がお互
ん。病気がたくさんあって、環境とどう適応していく
いに協力し合いながら暮らしていました。
47
144号[2015.1]
日本は、刻一刻、世界記録を更新しています(資料
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2,000万人が新しい社会をつくる研究活動を実践してい
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資料25
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いるのですけれども、彼らにあの図を見せると、
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の人間は早く死んで、年金や医療費を残せ」と言いま
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資料28
す。したがって、我々団塊の世代は全力をつくし、思
い切りいろんな工夫をしながら死んでいく、
「街角の特
攻隊」と言っています(資料26)
。
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「業界」
社会の建設に期待する!
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シナリオによっては、2050年には空き家が20%から
40%生じるという予測があります
(資料29)
。また、高
度成長期を経てバブルの後、住宅着工戸数が減ってい
るというのも、よく取り上げられる数字です(資料
30)
。
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資料26
実はアジアは、全く同じパターンをたどっていま
す。一番ショックなのはベトナムです
(資料27)
。ベト
ナムは日本に遅れること15年から20年で、同じパター
ンで高齢社会に移行しますが、多分ベトナムの人はこ
㹁 7 +DVHJDZD
5,)+-DSDQ
うなるとは思っていないのではないでしょうか。欧米
資料29
では、ドイツなどの例外を除いて、こうはなりませ
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ん。アジアがどんどん続き、追い抜いていきます。
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資料27
48
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この1つの説明は、スペンディングウエーブという
そして、人生の第2トラックを支える家づくり、ま
考えです
(資料31)
。スペンディングウエーブの定義は
ちづくりを、ぜひやっていただきたい。その際には、
いろいろあります。50歳前後ぐらいだけというものも
ケアサイクル、医療が重要です。この実験を、日本か
あるし、20歳から50歳までというものもありますが、
らアジアに発信していく。ビジネスチャンスがあるか
ここではたまたま35歳から49歳をとりました。増えて
もしれません。人生の第2トラックを支える家やまち
きて、横ばいになって現在はちょっと上がっています
づくりはこうしたらいいんだということを、アジアに
が、これは団塊ジュニアです。これから急速に落ちま
売っていくこともあり得るのではないでしょうか
(資料
す。この5年、10年のウエーブを日本がうまく利用し
32)
。
ないと、これから以降はチャンスはないということで
す。スペンディングウエーブは来ない。そのかわり、
75歳以上人口が増える。
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資料32
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資料31
私は期待します。建設業界は、単に家や町を建設す
るのではなくて、人類史上、生命史上かつてなかった
スペンディングウエーブの下降に伴ってビジネスモ
新しい社会を建設する大変重要な業界ではないかと思
デルを転換する必要があるのではないでしょうか。も
います。その期待を込めて、私の話を終えたいと思い
ともと社会全体が転換するのですから。
ます。どうもありがとうございました。
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