第2部 グリーンエネルギーの導入に向けて 第1章 第1章 エネルギー消費の現状 エネルギー消費の現状 1.現状(1999 年度) 我が国は、二度の石油危機を踏まえ、世界に先駆けて産業部門を中心に、エネルギーの利用効率化 を進め、既に、世界的にも最高水準の実績を達成しているものの、依然としてエネルギー消費は増加 しており、特に民生部門や運輸部門の伸びが大きくなっている。 兵庫県の 1999 年度のエネルギー消費量は、199,830×109 kcal(2,160.3 万 kl(原油換算) )であり、 全国のエネルギー消費量の 5.4%に相当する。また、これを県民の人口で割った県民1人当たりの消 費量は 3.9kl/人(原油換算)であり、全国平均 2.9kl/人(原油換算)を上回る。 部門別にみると、産業部門が 129,610×109 kcal(1,401.2 万 kl(原油換算))、民生部門(家庭系) が 26,299×109 kcal(284.3 万 kl(原油換算))、民生部門(業務系)が 10,753×109 kcal(116.3 万 kl(原油換算))、運輸部門が 33,167×109 kcal(358.6 万 kl(原油換算))となっており、産業部門 が全体の 64.9%(我が国では 49.0%)を占めている。燃料種別では、石油系燃料及び非石油系燃料が それぞれ3割強を占めている。 また、エネルギー消費の経年変化は図3∼4のとおりであり、1999 年度は 1990 年度比で約 18.5% 増、前年度比で約 2.7%増となっている。全体としては 1995 年度を除いて増加傾向にあるが、部門別 で見ると民生部門(家庭系、業務系)、燃料種別で見ると都市ガスの伸びが著しい。 民生部門 (業務系) 5.4% 運輸部門 16.6% 産業部門 64.9% 民生部門 (家庭系) 13.2% 図1.部門別エネルギー消費量(1999 年度) 電力 16.3% 非石油系燃料 38.0% 都市ガス 10.2% 石油系燃料 35.5% 図2.燃料種別エネルギー消費量(1999 年度) 3 グリーンエネルギーの導入に向けて 200,000 9 (エネルギー消費量:10 kcal) 250,000 150,000 100,000 50,000 0 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 (年度) 産業部門 民生部門(家庭系) 民生部門(業務系) 運輸部門 図3.部門別エネルギー消費量の推移 250,000 200,000 9 (エネルギー消費量:10 kcal) 第2部 150,000 100,000 50,000 0 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 (年度) 電力 都市ガス 石油系燃料 非石油系燃料 図4.燃料種別エネルギー消費量の推移 4 1998 1999 第1章 エネルギー消費の現状 (1)産業部門 1999 年度の兵庫県の産業部門におけるエネルギー消費量は、129,610×109 kcal(1,401.2 万 kl (原油換算))であり、これは、1990 年度比で約 16.0%増、前年度比で約 4.2%増となっている。 業種別にみると、鉄鋼、石油製品・石炭製品、窯業・土石製品、化学工業の順に多くなっている。 また、地域別にみると、製造業が盛んな中播磨、東播磨、阪神南地域の順に多くなっている。な かでも、中播磨地域におけるエネルギー消費量は、産業部門全体の約3割を占めている。 140,000 100,000 9 (エネルギー消費量:10 kcal) 120,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 (年度) その他 化学工業 石油製品・石炭製品 窯業・土石製品製造業 鉄鋼業 図5.産業部門のエネルギー消費量の推移 45,000 35,000 9 (エネルギー消費量:10 kcal) 40,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 地 域 淡 路 地 域 波 丹 馬 地 域 地 域 石油系燃料 但 中 播 磨 播 磨 播 都市ガス 西 地 域 域 磨 地 域 電力 北 東 播 磨 地 域 地 阪 神 北 地 南 神 阪 神 戸 地 域 域 0 非石油系燃料 図6.産業部門の地域別エネルギー消費量(1999 年度) 5 第2部 グリーンエネルギーの導入に向けて さらに製造業 22 業種ぞれぞれの燃料種別エネルギー消費量をみると、鉄鋼業において、そのエ ネルギー消費量が圧倒的に多く、内訳では約8割が非石油系燃料となっている。 9 (10 kcal) 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 食料品製造業 飲料・たばこ・飼料製造業 繊維工業(衣服,その他の繊維製品を除く) 衣服・その他の繊維製品製造業 木材・木製品製造業(家具を除く) 家具・装備品製造業 パルプ・紙・紙加工品製造業 出版・印刷・同関連産業 化学工業 石油製品・石炭製品 プラスチック製品製造業(別掲を除く) ゴム製品製造業 なめし革・同製品・毛皮製造業 窯業・土石製品製造業 鉄鋼業 非鉄金属製造業 金属製品工業 一般機械器具製造業 電気機械器具製造業 輸送用機械器具製造業 精密機械器具製造業 その他の製造業 電力 都市ガス 石油系燃料 非石油系燃料 図7.業種別エネルギー消費量(1999 年度) 6 60,000 70,000 第1章 エネルギー消費の現状 (2)民生部門(家庭系) 1999 年度の兵庫県の民生部門(家庭系)におけるエネルギー消費量は、26,299×109 kcal(284.3 万 kl(原油換算))であり、1990 年度比で約 34.7%増、前年度比で約 3.3%増となっているが、この 増加の原因としては、世帯数の増加や家電製品の多使用化等が考えられる。 また、地域別にみると、3つのグループに分かれており、エネルギー消費の多い地域は、神戸、阪 神南地域、次に多いのが東播磨、阪神北、中播磨地域、少ないのが西播磨、北播磨、但馬、淡路、丹 波地域となっている。この分布は人口及び世帯数の分布におおよそ一致する。 30,000 9 (エネルギー消費量:10 kcal) 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 1990 1999 (年度) 電力 都市ガス LPG 灯油 図8.民生部門(家庭系)のエネルギー消費量の推移 7,000 6,000 9 (エネルギー消費量:10 kcal) 8,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 LPG 域 淡 路 地 域 丹 波 地 馬 但 地 域 域 播 西 播 中 都市ガス 磨 地 磨 磨 播 電力 地 域 域 地 域 北 東 播 磨 地 域 地 北 神 阪 南 神 阪 神 戸 地 地 域 域 0 灯油 図9.民生部門(家庭系)の地域別エネルギー消費量(1999 年度) 7 第2部 グリーンエネルギーの導入に向けて (3)民生部門(業務系) 1999 年度の兵庫県の民生部門(業務系)におけるエネルギー消費量は、10,753×109 kcal(116.3 万 kl(原油換算))、これは、1990 年度比で約 46.0%増、前年度比で約 0.2%減となっており、近年 の伸びは鈍化しているもの、部門別では 1990 年度比でもっともエネルギー消費が伸びている分野で ある。この増加の原因としては、事務所等の延床面積の増加やオフィスのOA化の進展等が考えられ る。 対象施設別にみると、事務所、卸・小売店、病院の順にエネルギー消費量が高い。 また、地域別にみると、神戸、阪神南、中播磨地域の順にエネルギー消費量が高く、県下で業務が 集中する地域とほぼ一致する。 10,000 9 (エネルギー消費量:10 kcal) 12,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 1990 1999 (年度) 事務所 卸・小売 飲食店 宿泊施設 学校・試験研究機関 病院 その他 図 10.民生部門(業務系)のエネルギー消費量の推移 4,000 3,000 9 (エネルギー消費量:10 kcal) 3,500 2,500 2,000 1,500 1,000 500 域 淡 路 地 域 波 丹 地 馬 但 地 域 域 播 磨 地 域 都市ガス 西 播 磨 地 域 電力 中 播 磨 地 域 北 東 播 磨 地 域 地 北 神 阪 南 神 阪 神 戸 地 地 域 域 0 石油系燃料 図 11.民生部門(業務系)の地域別エネルギー消費量(1999 年度) 8 第1章 エネルギー消費の現状 (4)運輸部門 1999 年度の兵庫県の運輸部門におけるエネルギー消費量は、33,167×109 kcal(358.6 万 kl(原油 換算))となっている。 経年変化をみると、1990 年度比では約 10.3%増となっているものの、エネルギー消費量全体とし ては、1996 年度の 35,893×109 kcal(388.0 万 kl(原油換算))をピークに毎年、約2∼3%の割合 で減少傾向にある(図3参照)。この要因としては、軽油の使用量が毎年減少していることが挙げら れる。 また、地域別にみると、エネルギー消費の多い地域は神戸、東播磨、中播磨、阪神南地域であり、 少ない地域は西播磨、北播磨、但馬、淡路、丹波地域となっている。 9 (エネルギー消費量:10 kcal) 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 1990 1999 (年度) ガソリン(自動車) 軽油(自動車) LPG(自動車) 鉄道 図 12.運輸部門のエネルギー消費量の推移 7,000 6,000 9 (エネルギー消費量:10 kcal) 8,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 軽油 域 淡 路 地 域 丹 波 地 馬 但 地 域 域 播 西 播 中 ガソリン 磨 地 磨 磨 電力 地 域 域 地 域 播 北 播 磨 地 域 地 東 北 神 阪 南 神 阪 神 戸 地 地 域 域 0 LPG 図 13.運輸部門の地域別エネルギー消費量(1999 年度) 9 第2部 グリーンエネルギーの導入に向けて 2.将来(2010 年度) 2010 年度の兵庫県のエネルギー消費量について、新たな施策を講じないまま推移するとして推計す ると、206,926×109kcal(2,237.0 万 kl(原油換算))となり、これは 1999 年度比で約 3.6%増、1990 年度比で約 22.7%増となっている。 部門別にみると、産業部門が 121,629×109 kcal(1,314.9 万 kl(原油換算))、民生部門(家庭系) が 34,509×109 kcal(373.1 万 kl(原油換算))、民生部門(業務系)が 14,526×109 kcal(157.0 万 kl(原油換算))、運輸部門が 36,262×109 kcal(392.0 万 kl(原油換算))となっており、産業部門 は、1999 年度の実績値と同様に全体の6割程度を占め、燃料種別では、石油系燃料及び非石油系燃料 が3割強を占めている。 2010 年度のエネルギー消費構造の特色としては、1990 年度比では全部門においてエネルギー消費 量は増加する一方で、1999 年度以降は産業部門の消費量が減少すること(1999 年度比で約 6.2%の減 少)、民生部門の家庭系及び業務系の消費量が大きく伸びること(1999 年度比で家庭系約 31.2%、業 務系約 35.1%の増加)が挙げられる。また、燃料種別では、今後とも電力、ガスの消費が伸びること が想定される。 表1.兵庫県におけるエネルギー消費量 産業部門 民生部門 (家庭系) 民生部門 (業務系) 運輸部門 合 計 小計 電力 都市ガス 石油系燃料 非石油系燃料 小計 電力 都市ガス 石油系燃料 非石油系燃料 小計 電力 都市ガス 石油系燃料 非石油系燃料 小計 電力 都市ガス 石油系燃料 非石油系燃料 合計 電力 都市ガス 石油系燃料 非石油系燃料 1990 年度 111,740 13,960 3,190 24,600 69,990 19,520 6,881 5,053 7,586 0 7,364 4,090 1,284 1,990 0 30,079 910 0 29,169 0 168,703 25,841 9,527 63,345 69,990 10 1999年度 129,610 15,589 12,545 25,491 75,986 26,299 9,575 6,008 10,716 0 10,753 6,142 1,856 2,756 0 33,167 1,172 0 31,996 0 199,830 32,477 20,409 70,958 75,986 (単位:109kcal) 2010 年度 121,629 16,083 12,374 24,731 68,441 34,509 14,989 7,975 11,545 0 14,526 9,011 2,414 3,101 0 36,262 1,319 0 34,942 0 206,926 41,402 22,763 74,319 68,441 第1章 エネルギー消費の現状 200,000 9 (エネルギー消費量:10 kcal) 250,000 150,000 100,000 50,000 0 1990 1999 2010 (年度) 産業部門 民生部門(家庭系) 民生部門(業務系) 運輸部門 図 14.部門別エネルギー消費量の推移 200,000 9 (エネルギー消費量:10 kcal) 250,000 150,000 100,000 50,000 0 1990 1999 2010 (年度) 電力 都市ガス 石油系燃料 非石油系燃料 図 15.燃料種別エネルギー消費量の推移 11 第2部 グリーンエネルギーの導入に向けて (1)産業部門 1999 年度の兵庫県の産業部門におけるエネルギー消費量は、129,610×109 kcal(1,401.2 万 kl (原油換算) )であるのに対し、2010 年度ではその約 6.2%減の 121,629×109 kcal(1,314.9 万 kl (原油換算))となることが想定される。 減少傾向の主な要因としては、鉄鋼業におけるエネルギー消費量が兵庫県全体で大幅に減少(同 業種のみで約 15.5%減)が見込まれており、この削減量が 1999 年度の産業部門エネルギー消費実 績の約 7.3%を占めるほど多いことによるものと考えられる。 140,000 100,000 9 (エネルギー消費量:10 kcal) 120,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 1990 1999 2010 (年度) その他 化学工業 石油製品・石炭製品 窯業・土石製品製造業 鉄鋼業 図 16.産業部門のエネルギー消費量の推移 9 (10 kcal) 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 食料品製造業 飲料・たばこ・飼料製造業 1999年度 2010年度 繊維工業(衣服,その他の繊維製品を除く) 衣服・その他の繊維製品製造業 木材・木製品製造業(家具を除く) 家具・装備品製造業 パルプ・紙・紙加工品製造業 出版・印刷・同関連産業 化学工業 石油製品・石炭製品 プラスチック製品製造業(別掲を除く) ゴム製品製造業 なめし革・同製品・毛皮製造業 窯業・土石製品製造業 鉄鋼業 非鉄金属製造業 金属製品工業 一般機械器具製造業 電気機械器具製造業 輸送用機械器具製造業 精密機械器具製造業 その他の製造業 図 17.業種別エネルギー消費量の比較(1999・2010 年度) 12 70,000 第1章 エネルギー消費の現状 (2)民生部門(家庭系) 1999 年度の兵庫県の民生部門(家庭系)におけるエネルギー消費量は、26,299×109 kcal(284.3 万 kl(原油換算))であるのに対し、2010 年度ではその約 31.2%増の 34,509×109 kcal(373.1 万 kl(原油換算))となることが想定される。 これは、今後とも県下の総人口及び世帯数が増加すること、家庭における電気及びガス使用量が 増加することが要因であると考えられる。 40,000 30,000 9 (エネルギー消費量:10 kcal) 35,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 1990 1999 2010 (年度) 電力 都市ガス LPG 灯油 図 18.民生部門(家庭系)のエネルギー消費量の推移 (3)民生部門(業務系) 1999 年度の兵庫県の民生部門(業務系)におけるエネルギー消費量は、10,753×109 kcal(116.3 万 kl(原油換算))であるのに対し、2010 年度ではその約 35.1%増の 14,526×109 kcal(157.0 万 kl(原油換算))となることが想定される。 これは、今後とも県下における事務所等の延床面積が増加すること、オフィスの情報化及びOA 化が進展することが原因であると考えられる。 16,000 12,000 9 (エネルギー消費量:10 kcal) 14,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 1990 1999 2010 (年度) 事務所 卸・小売 飲食店 宿泊施設 学校・試験研究機関 病院 その他 図 19.民生部門(業務系)のエネルギー消費量の推移 13 第2部 グリーンエネルギーの導入に向けて (4)運輸部門 1999 年度の兵庫県の運輸部門におけるエネルギー消費量は、33,167×109 kcal(358.6 万 kl(原 油換算))であるのに対し、2010 年度ではその約 9.3%増の 36,262×109 kcal(392.0 万 kl(原油 換算))となることが想定される。 これは、今後とも県下における自動車需要の増大が増加傾向を助長するものと考えられる。 40,000 30,000 9 (エネルギー消費量:10 kcal) 35,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 1990 1999 2010 (年度) ガソリン(自動車) 軽油(自動車) LPG(自動車) 図 20.運輸部門のエネルギー消費量の推移 14 鉄道
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