理事長 宮本 勝浩 頭 の ことば 平成 27 年 3 月 20 日に堺市文化観光拠点「さかい利 晶の杜」がオープンしました。これは、堺が生んだ偉人、 千利休、与謝野晶子に関する資料を展示し顕彰するとと もに、観光バス駐車場や飲食物販なども備えた堺観光の 拠点となる施設です。この施設のオープンによって、堺市 の観光資源が日本中に発信されて、多くの観光客が堺市 を訪れることになり、堺は大いに活性化されることになると 思われます。 しかし、これだけではありません。さらに堺を大飛躍させ る戦略があります。それは、「百 舌鳥・古 市古墳群の世 界文化遺産登録」です。堺市の百舌鳥古墳群は、4 世 紀後半から 5 世紀後半に造られた 47 基の古墳があり、そ の中には全長と平面積でエジプトのクフ王のピラミッドや中 国の秦の始皇帝陵を超える世界最大級の古墳である仁徳 天皇陵古墳があります。これらが世界遺産に登録されると、 堺に大変な数の観光客が世界各国から訪れることが予想 されます。 私は、「百舌鳥・古市古墳群」が世界遺産に登録さ れたときの経済効果は、堺市において 169 億円、大阪府 内では 361 億円になると計算しました。非常に大きな経済 効果です。そして、これまで世界遺産に登録された日本の 多くの観光資源の「経済効果」も調査しました。世界遺 産に登録されたときの観光客の増加は驚異的なものです。 近年では、平成 19 年には「石見銀山遺跡とその文化的 景観」、平成 23 年には「平泉―仏国土(浄土)を表す 建築・庭園及び考古学的遺跡群―」、平成 25 年には「富 士山―信仰の対象と芸術の源泉」、平成 26 年には「富 岡製糸場と絹産業遺産群」が世界遺産に登録されていま す。石見銀山や富岡製糸場などは、世界遺産登録前に は訪れる人も少なかったのですが、登録されたとたんに、 観光客数は数倍という驚くほどの増加を記録しました。 仁徳天皇陵古墳は歴史の教科書にも載っていて誰でも 知っている存在ですが、「百舌鳥古墳群」の国内外での 知名度はまだまだ低いと思われます。私は、交通の便の 良さや仁徳天皇陵古墳の知名度から考えても、今までに 数倍する観光客が私たちのまち堺に訪れるようになると確信 しています。これは、経済面だけの効果に留まらず、市 民が堺のまちの魅力を再認識し愛着と誇りをもつことや世 界へ視野を広げることにつながると思います。さあ、みなさ んの力で「百舌鳥・古市古墳群」を世界遺産に登録して、 堺を世界に大飛躍させましょう! 「Urban」第 27 号では、技術の発祥が古墳時代に遡 るとも言われる堺の伝統産業である自転車をテーマに、4 名のパネリストによる「自転車がつくる未来のくらし~人にや さしく、スマートライフ~」のシンポジウムの特集、そして 3 名の有識者等による「オープン・イノベーション時代と自治 体」についての論文、それに研究所の調査研究の概要 などを掲載しています。ご一読いただき、ご意見ご感想を 賜れれば幸いです。 堺都市政策研究所は、堺市はもとより南大阪地域の発 展に貢献するため、これからも努力してまいりますので、今 後ともご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。 も ず ふるいち Urban vol.27 オープンデータ推進と自治体のイ巻 ノ頭 ベの ーこ シと ョば ン 「堺の大飛躍 ~世界文化遺産登録をめざして~」 公益財団法人堺都市政策研究所 巻 3
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