流通BMS特集|流通BMS対応時のポイント さて、流通BMSの概要が理解できたとしても、実際に導入には何から手をつけたら良いのか?という声は弊社もよくお聞きしま す。ここでは流通BMSへの対応に必要な作業やシステムなどについてまとめました。 2-1. インターネット接続環境の用意 従来のJCA手順で必要であったような専用モデムは使用せず、インターネット回線を用意します。通信プロトコル(通信方式)として 卸・メーカーで最も多く利用されているJX手順(後述)を採用する場合には、家庭で利用するのと同等のインターネット接続環境が 必要と考えてよいでしょう。 一方で家庭や業務でパソコンを利用する際と同様に、セキュリティ対策にも気を配る必要があります。使用するパソコンにはウイ ルス対策ソフトを導入したり、ファイアウォールを導入して不正アクセスに対処できるよう準備しましょう。 ※キヤノンITソリューションズでは、セキュリティ・ウイルス対策ソフト「ESET SMART SECURITY」、「NOD32 ANTIVIRUS」もご提供 しています。 2-2.通信プロトコル(通信方式)の選択 流通BMSでは3種類の通信プロトコル(通信方式)が規定されています。それぞれに特徴があり、一般的に卸・メーカーではJX手順 を、小売店では取引先の規模や取引形態に応じてebXML MSとJX手順を併用することが多いようです。 取引先と同一の通信プロトコルを選択しなければならないため、卸・メーカーは相手の小売店がどの通信プロトコルに対応してい るのかを確認して準備します。 推奨する 主な対 取引データ量 象 10MB(約1万明細) 未満 中小 企業 ebXML MS (通称ebXML) 国際標準の通信プロトコルで、サーバー同士がデータの発生 都度互いにメッセージを送るプッシュ型の仕様。リアルタイム でのデータ送受信が行える反面、サーバー運用が必要となる ほか、常時インターネットに接続するため相応のセキュリティ 対策が必要となる。近年アジア圏での利用が広まっている。 10MB(約1万明細) 以上 大企業 EDIINT AS2 (通称AS2) ebXMLと同じく、国際標準の通信プロトコルでプッシュ型の仕 様。欧米を中心に普及し、ウォルマートやAmazon.comでの採 用されているほか、国内では日用雑貨分野での利用も多い。 10MB(約1万明細) 以上 大企業 通信プロトコル 特徴 日本独自の通信プロトコルで、必要の都度、クライアント側から サーバー側に接続してデータを送受信するプル型の仕 様。JCA手順の代替として位置づけられる。一般的に卸・メー カーではクライアント側、小売店ではサーバー側を導入する。 JX手順 クライアント側のシステムはパソコンで運用できることから、 データ量が少なく、情報システム部門などのシステム専任者を 持たない中小企業での利用に適している。また他2つのプロト コルより安価に導入・運用できる。 2-3.自社システムへのデータ連携 流通BMSと既存のJCAとの最大の違いは、やり取りするメッセージがテキスト形式ではなくXML形式であることです。受注データを 社内システム(販売管理システムや在庫管理システム、会計システムなど)にスムーズに連携できてこそ、流通BMSの導入効果が 得られますが、通常こうしたシステムはXMLデータを直接取り込むことができないため、受信したデータは一旦システム連携しや すいテキストデータ(固定長形式やCSV形式)に変換しなければなりません。 流通BMS対応の際は、使用するパッケージや利用するサービスがこうしたフォーマット変換機能を有しているのか、あるいは別途 自社で用意しなければならないのかも注意して検討しましょう。 また流通BMSのメッセージには、スーパーと日用品卸・メーカー間でやり取りされる「基本形」のほか、生鮮品に特化した「生鮮 版」、百貨店とアパレル卸・メーカー間でやり取りされる「百貨店版」と3種類あり、それぞれにおいて複数のバージョンが存在する ため、フォーマット変換機能を有していたとしても、自社が利用するメッセージ種類・バージョンに対応しているかどうかも確認しま す。 2-4.業務処理の実施 流通BMSに運用においても、従来と同様に「注文データを確認する」「伝票や帳票を印刷する」「出荷データを作成する」といった業 務がついて回ります。こうした業務を流通BMSパッケージ上で行うのか、あるいはデータ連携したあとに自社システム上で行うの かによって、システムの構成や費用が変わってきます。 それぞれに一長一短あるため、自社システムの修正しやすさを確認して判断すると良いでしょう。 メッセージの種類と実施する業務例 メッセージ種 提供方向 メッセージ内容 実施する業務例 発注 小売店 →卸・メーカー 小売店からの注文データ ・伝票発行 ・ピッキングリスト発行 出荷 受領 返品 請求 支払 卸・メーカー →小売店 小売店 →卸・メーカー 小売店 →卸・メーカー 卸・メーカー →小売店 小売店 →卸・メーカー 注文に対して、実際の出荷数量を報告するためのデータ ・発注データの数量訂正 ・出荷データの作成 小売店が商品の納品を受けた受領確認結果データ ・受領確認データリスト発行 ・受領違算データリスト発行 小売店が返品処理を実施した場合に提供されるデータ ・返品データリスト発行 小売店に対する1ヶ月分の請求情報をまとめたデータ ・請求データ作成 小売店からの1ヶ月分の支払情報をまとめたデータ ・支払リスト発行
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