日本経済:2015年10~12月期2次QEは下方修正を予想

Mar 1, 2016
No.2016-009
伊藤忠経済研究所
Economic Monitor
主任研究員 武田 淳
主任研究員 石川 誠
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日本経済:2015 年 10~12 月期 2 次 QE は下方修正を予想
2015 年 10~12 月期の実質 GDP 成長率は前期比▲0.6%(年率▲2.3%)に下方修正されると予
想。設備投資や在庫投資、公共投資が下方修正される見込み。デフレ脱却に向けて足踏みが続く。
3 月 8 日に発表予定の 2015 年 10~12 月期 GDP2 次速報は、1 次速報値の前期比▲0.4%(年率▲1.4%)
から前期比▲0.6%(年率▲2.3%)へ下方修正される見込み。本日、発表された 10~12 月期の法人企業
統計季報を受けて民間企業設備投資(1 次速報前期比+1.4%→2 次速報+0.8%)や民間在庫投資(前期
比寄与度▲0.1%Pt→▲0.2%Pt)が下方修正されるほか、12 月の建設総合統計を反映して公的固定資本形
成(前期比▲2.7%→▲3.4%)も下方修正されると予想する。
なお、本予想通りとなれば、2015 年通年の実質 GDP 成長率は 1 次速報と同じ前年比+0.4%となる。2014
年の前年比 0.0%から 2 年連続でゼロ成長、内閣府が試算する潜在成長率(0.4%)以下にとどまり、前回
の消費増税(2014 年 4 月)をはさんだ 2 年間にわたって需給ギャップが縮小せず、デフレ脱却に向けた
動きが足踏みしていることが、改めて確認されることになる。
実質GDP成長率の推移(QE予測)
(前期比・%)
2014
1~ 3
実質GDP
2015
4~ 6
7~ 9
10~ 12
1~ 3
4~ 6
7~ 9
1次
10~ 12
2次 予 測
10~ 12
1.2
▲ 2.0
▲ 0.6
0.6
1.0
▲ 0.3
0.3
▲ 0.4
▲ 0.6
(年率換算)
5.0
▲ 7.9
▲ 2.6
2.5
4.2
▲ 1.4
1.3
▲ 1.4
▲ 2.3
(前年同期比)
2.7
▲ 0.3
▲ 1.5
▲ 1.0
▲ 1.0
0.7
1.7
0.5
0.2
1.4
▲ 2.8
▲ 0.7
0.3
1.0
▲ 0.0
0.1
▲ 0.5
▲ 0.7
2.1
▲ 3.5
▲ 1.2
0.3
1.5
▲ 0.3
0.2
▲ 0.6
▲ 0.8
民間最終消費支出
2.3
▲ 5.0
▲ 0.0
0.6
0.2
▲ 0.8
0.4
▲ 0.8
▲ 0.8
民間住宅投資
2.3
▲ 10.6
▲ 7.1
▲ 0.4
2.1
2.3
1.6
▲ 1.2
▲ 1.2
民間企業設備投資
4.5
▲ 4.0
▲ 0.3
▲ 0.0
2.8
▲ 1.2
0.7
1.4
0.8
(▲0.6)
(1.2)
(▲0.6)
(▲0.1)
(0.5)
(0.3)
(▲0.2)
(▲0.1)
(▲0.2)
▲ 0.6
▲ 0.6
0.5
0.3
▲ 0.3
0.9
▲ 0.2
▲ 0.1
▲ 0.2
国内需要
民間需要
民間在庫品増加
公的需要
政府最終消費支出
▲ 0.2
▲ 0.2
0.3
0.3
0.2
0.5
0.2
0.5
0.5
公的固定資本形成
▲ 2.3
▲ 2.6
1.3
0.7
▲ 2.9
3.3
▲ 2.0
▲ 2.7
▲ 3.4
財貨・サービスの純輸出
(▲ 0.2)
(0.9)
(0.1)
(0.3)
(0.0) (▲ 0.2)
(0.3)
(0.1)
(0.1)
財貨・サービスの輸出
6.0
0.1
1.5
3.2
2.1
▲ 4.6
2.6
▲ 0.9
▲ 0.9
財貨・サービスの輸入
6.1
▲ 4.3
0.6
1.1
1.9
▲ 2.6
1.3
▲ 1.4
▲ 1.4
(出所)内閣府、予測は当社による
2016 年に入ってからは、中国の株価や原油価格が一段と下落、米国経済の先行きに対する懸念が強まり
海外金融市場が不安定化、国内では円高・株安が進行するなど、内外情勢はさらに悪化している。日銀が
1 月に導入を決定、2 月 16 日から適用を開始したマイナス金利は、国内金利全般を押し下げたものの、海
外景気の悪化懸念や円高進行により国内景気の刺激効果が大きく減殺されている。頼みの綱であった春闘
も、要求段階で昨年実績を下回る例が目立っており、少なくとも賃金の上昇ペースが加速する兆しは見ら
れない。日本経済はデフレからの脱却が危ぶまれる状況となりつつある。
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