ニュースリリース全文 - 社団法人・日本能率協会(JMA)

News Letter
2016 年 3 月 2 日
報道関係各位
一般社団法人日本能率協会
経営・人材センター
最優秀ものづくりリーダー決まる!
工場の現場改善・部下育成の事例発表大会「第 34 回第一線監督者の集い:名古屋」
最優秀事例賞(大野耐一・杉山知男賞)に
ダイキン工業、トヨタ自動車に決定!
日本能率協会(JMA、会長:山口範雄)は、製造業のものづくり現場における管理・監督者が、工場の改善活動や
人材育成の取り組みなどを発表する「第 34 回 第一線監督者の集い:名古屋」を、2016 年 1 月 21 日(木)
・22 日(金)
の 2 日間、愛知県産業労働センター(名古屋市中村区)で開催しました。
1 日目、2 日目ともに 8 人ずつが登壇し、活動内容や苦労した点、成果を発表。各日 400 人を超える聴講者による
投票の結果、最も多くの得票数を得た最優秀事例賞(大野耐一・杉山友男賞)に、大会 1 日目はダイキン工業(株)
、
大会 2 日目はトヨタ自動車(株)に決定しました。
(事例は p2~3 参照)
最優秀事例賞(大野耐一・杉山知男賞)
ダイキン工業株式会社
滋賀製作所 空調生産本部 滋賀製造部 製造第二課 チーフ 杉浦 智行 氏
トヨタ自動車株式会社
上郷工場 第 1 エンジン製造部 12 エンジン製造課 チーフリーダー 梶原 睦 氏
■「第一線監督者の集い」とは
日本能率協会では、製造業の現場において生産計画や品質の管理・監督、作業指導を行うリーダーを「第一線監督
者」と呼称しています。この「第一線監督者の集い」は、改善活動の内容・成果に加えてどのように職場をマネジメ
ントしたかを発表する催しです。企業や業界を越えた情報交流の場として 1982 年に名古屋で始まり、現在は名古屋
(1 月)
、福岡(10 月)の 2 地域で毎年行っています。
■今回の事例発表企業と、最優秀事例を決める聴講者投票について
2 日間で 16 社が発表を行いました(右図)
。
1 日目(8 社) ※発表順
本大会には、事例発表者と同じく生産現場で
ダイハツ工業
管理業務に就いている監督者らが聴講に訪れま
富士ゼロックスマニュファクチャリング
す。今回は、1 日目に 497 人、2 日目に 512 人
サンデン・オートモーティブコンポーネント
の、のべ 1,009 人が来場しました。
豊田自動織機
最優秀事例の選出には、
「第一線監督者の活
大同特殊鋼
動・行動としてふさわしく、他の模範となると
アイシン精機
思われること」を評価の着眼点とし、聴講者一
ダイキン工業
人につき 2 票を投じて決定します。
デンソー
審査員や識者による評価ではなく、日々もの
づくりの現場で働いている監督者たちが、企業
聴衆 497 人による投票
の枠を越えて互いを称え合う賞といえます。
2 日目(8 社) ※発表順
トヨタ自動車
長野オリンパス
トヨタ紡織
ヤマハミュージカルプロダクツ
愛知製鋼
ヤマハ発動機
三菱電機
日本ガイシ
聴衆 512 人による投票
【本件に関するお問い合せ先】 一般社団法人日本能率協会 経営・人材センター(中部オフィス 担当:田頭)
〒450-0002 名古屋市中村区名駅 4 丁目 26-25 メイフィス名駅ビル 6 階
TEL:052-581-3271
※受賞者の写真のお問い合せは東京オフィス広報室 担当:清水(TEL:03-3434-8620、メール:[email protected])
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<受賞事例紹介 1>
最優秀事例賞「大野耐一・杉山友男賞」
(大会 1 日目)
ダイキン工業株式会社
滋賀製作所 空調生産本部 滋賀製造部 製造第二課 チーフ
杉浦 智行 氏
「これが我々の現場力~当たり前を変えたファンのバランス検査
(所在地:滋賀県草津市本町 1000 番 2)
ダイキン工業滋賀製作所は、空調機器の部品から製品までの一貫生産を担い、
室外機 300 種、室内機 500 種を混合生産し、年間約 100 万台を生産している。
杉浦さんは、室内機で送風の役割を果たす「クロスフローファン」の組み立て
を担当している。同社へは、はじめ派遣社員でしたが、その後には有期間社員と
なり、平成 23 年に登用試験を受けて正社員となった経歴を持つ。
杉浦さんは、クロスフローファンのバランス検査を無くすという課題に取り組んだ。
検査測定し、バランスウェイトを取り付け重さの偏りを調整することは、他社でも必要不可欠で当たり前の工程とさ
れていた。
しかし、
「検査は何のためにやると思う」
「検査を何度したって製品そのものは良くならないだろう」という部長の
言葉をきっかけに、自分の職場での改善を考えていた杉浦さんは、
「バランス検査を無くしたら楽になるなあ」という
雑談中の一言によって、杉浦リーダーでの取り組みが即決する。
経験も知恵も少ないなか、まず改善強化に取り組む部門に相談し、関心を示してくれた先輩社員が一緒になって取
り組んでくれるという協力者を得る。さらに必要関係部署に協力をお願いするも断られ、
「面倒なことは全部僕がやり
ますから」
「どこもやっていないことなのでやりましょう」と幾度も幾度も頭を下げ、やっと了解を得て本格的にスタ
ートできる。
スタート前は 200 台中 2 台しか一発合格品はなし。まず、主要 4 単品部品を測定することに着手したくとも、測定
機器がなく、測定機器から開発しなければならなかった。これまでにない測定機器で断られる次第であった。諦めず
幾度も幾度も働きかけ、やっと杉浦さんの熱意が通じて職人さんが引き受けてくれ、測定器ができあがる。測定結果
に基づいて、部品の精度を上げる対策にトライ&エラーを繰り返して、部品の精度向上にたどり着く。
さらに、部品を組み立てる超音波溶接機をミクロン単位での精度向上にも取り組み、一発合格品の精度が急上昇す
るが、これでトライ&エラーの継続は留まらず、さらに一発合格品率向上のために、機能部品の改良にも取り組んだ。
こうした改善の積み重ねによって、クロスフローファンの一発合格品は、200 台中 187 台までに向上することに成功
した。
この取り組みを通じて、杉浦さんは、4 つの大切な行動が見えたという。1 つめは、やってみること。当たり前
として納得してしまっては、視野を狭めてしまうこと。2 つめは、人を巻き込むためには、自らがチャレンジする姿
をみせること。3つめは、愚直に継続すること。4 つめは、失敗を手掛かりにかえること。と指摘する。
この学びが第 2、第 3 の成果につながると確信をして、自分らは最終目標に向けて取り組みを続けたいと締めくく
った。
【受賞の感想】
正社員、監督者としての経験は浅いのですが、仕事には自信を持っていました。しかし実際それが正しいのかとい
う疑問も残っておりました。今回評価していただいて、少し監督者として自信が持てたかと思います。当たり前のこ
とを当たり前のようにすることが一番むずかしいと思っています。それでも、当たり前ということに疑念を向けて取
り組んだことが、今回のポイントだと思っています。一人間としても監督者としてもまだまだ未熟ですが、この発表
をスタートとして、監督者としてよりよい現場づくりをしてゆきたいと思います。
<講評>株式会社 MIS アソシエイツ 代表 伊藤育徳 氏(経営コンサルタント)
第一線監督者として非常に難しいテーマにチャレンジしました、極端な言い方をしますと、誰も味方がいない状態
のなかで、人を巻き込んであることを成し遂げてゆくという、監督者にとっては、一番不得手なところともいえるこ
とを、100%にはまだ達してはいませんが、見事にやり遂げました。2 つめとして、次の職場や自分の人生の糧となっ
て飛躍されるのではないかということを感じさせてくれます。
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<受賞事例紹介 2>
最優秀事例賞「大野耐一・杉山友男賞」
(大会 2 日目)
トヨタ自動車株式会社
上郷工場 第 1 エンジン製造部 12 エンジン製造課 チーフリーダー
梶原 睦氏
「取り戻せ!『自信と誇り』~体験を通じてよみがえった現場力~」
(所在地:愛知県豊田市大成町 1 番地)
トヨタ自動車上郷工場は、自動車エンジンを専門に、年間 139 万基を生産。
梶原さんの職場は、排気量 3,000CC から 3,500CC の V6エンジンの組み立てを
担当している。
梶原さんは、学校を卒業して、トヨタ自動車に入社。しかし、数年間は製品を機
械にセットするだけの単調な作業で、仕事に誇りも持てず、いつ辞めようかと考えていたという。仕事には精一杯取
り組んでいたところ、ライン外も任されるようになり、エキスパート、グループリーダー、海外支援の経験も積み、
2011 年にチーフリーダーへ昇格。
今の職場へは、2011 年にコンベヤラインから AGV(自動搬送機)が台車を引っ張るラインへの大きく変更して 1 年
経過した 12 年から担当することになり、その当時は、良く止まるラインで、稼働率は目標以下にもかかわらず、メ
ンバーはみな忙しくラインを回すだけで手一杯。ラインが終わると疲れ果てて元気もなく、職場力の衰退は目に余る
ほどだった。
梶原さんはあるべき姿を、忙しいからこそ職場力向上を目標に問題解決を行い、その過程において、コミュニケー
ションを図り、チームワークを向上し、技能を磨き、人材育成をすることによって、職場運営の活性化にもつながる
と考えている。
こうした考えから、活気ある職場を取り戻すために、1 年目はチャレンジ、2 年目はチームワークという目標を立
てて職場力向上に取り組み出した。
1 年目のチャレンジでは、デーリーミーティングを立ち上げ、阻害要因別に若手をリーダーに選出し、目標も自分
たちで決めるようにした。梶原さんは、失敗してもいいからと支援役に徹し、現地現物で一緒に考え、冗談も交え、
若手がチャレンジできる環境づくりを仕掛けた。
AGV の電圧低下によってラインが低下する課題に対して、
「バッテリーの状態が見えたら」という若手の一言を拾い
上げて、電圧残量の見える化を行い、さらにいつでもどこでも充電できる移動式充電バッテリーまでも開発し、目に
見えて効果が出てくる改善を経験したメンバーから、改善ネタが上がるようなチャレンジできる環境ができあがって
きた。
2 年目に入り、出荷前検査で重大な不良が発覚する。この真因を冷静に考えた梶原さんは、職場運営の 3 本柱活動
が停滞していたことと気づき、自分自身にも責任があると痛感する。メンバー全員に 3 本柱活動の重要さを粘り強く
説き、今回の反省を活かして、細部にわたって見直し、詳細なルールを作り、標準作業にまで落とし込んだ。
さらに、4S でチームワーク向上をめざし、課をあげて取り組んでもらうように課長にも掛け合い、4S 専念時間
や4S デーなどを仕掛け、次第に課全体にまで4S の徹底も進み場の整備も出来ていった。
こうした結果の集大成ともいえるような難題にも挑戦した。組み立てのメインラインで最も危険度の高い作業を、
他の職場を巻き込んで、機械的な縛りと物的対策を考えだし、危険度を A から C へと低減することが出来た。このチ
ャレンジは工場大会でも発表された。
チャレンジ出来る「自信」とチームワークという「誇り」を取り戻し、職場力は目標とおりに向上、活気がよみが
えった。
【受賞の感想】
自分と同じような境遇で入社してきた若手を成長させたいという思いでやってきました。挑戦できる環境をつくっ
てあげて、成功を味あわせて成長させるのが僕の役割と思っています。そうすることで、自分の成長もしてゆきたい
と考えています。
<講評>株式会社 MIS アソシエイツ 代表 伊藤育徳 氏(経営コンサルタント)
監督者として、明るい職場をつくる取組みをメインに紹介いただいた。1 年目 2 年目と目標テーマを決めて、いろ
いろな取り組みを行いました。ベーシックなことから高い目標達成を通じて、人材育成をして、現場を活性化してき
た事例です。ルールがない、順守できないという現場では、第一監督者が先頭に立って作り込んでゆかなければなり
ません。こうしたこともテーマとして取り組んでいます。
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