情報システム業務ポートフォリオ改革 - 東京日産コンピュータシステム

の営業から『我々は複数ベンダーの
ナンスの面で危惧する声も上がりま
使うかが重要になってきます。情報
システムを統合基盤に実装、運用し
したが、コストメリットを優先して
システムに求められるのは、クリエ
た経験が豊富で、情報システム課の
の判断となりました。結果的に、年
イトする企画力と、調整するコー
メンバーとしてベンダー間調整をし
間数百万円のランニングコスト低減、
ディネーターとしての役割が重要に
ていきます』と提案があり、それな
パフォーマンスにおいては2時間か
なってくると考えています。情報シ
らば。と、TCS に統合システム基
かっていたバッチ処理が40分に短
ステム部門が " 守りから攻め " にシ
盤の導入を依頼することにしました」
縮、オンライン処理に関しても画面
フトしていく中、TCS には、理研
表示まで2分程度かかっていた処理
計器の " 情報システムの参謀 " とし
「前年度、ファイルサーバー集約
がピーク時間でも20秒以内に表示
てのポジションを期待しています」
と統合ストレージの構築を担当させ
されるなど、コストとともに運用面
ていただきました。今回は複数のベ
でも利用ユーザー部門からの高評価
現在は、2015年1月に実施した
ンダーのアプリケーションを1つの
を得ることとなり、社長からも、よ
サービス子会社3社の吸収合併を受
基盤に統合します。理研計器様に
く決断したと高い評価を得ています」
け、旧子会社で運用していたシステ
(木村氏)
とって、仮想化基盤での構築は初め
(轡田氏)
(松本氏)
導入事例
"守りから攻め"の
『情報システム業務ポートフォリオ改革』
"統合"をキーワードに全社システムまで一気に加速
理研計器株式会社
ムの統合を進めている。
「統合」を
てであったため、ご不安だったと思
基盤が整ったことにより、利便性
キーワードとした理研計器の情報シ
います。マルチベンダー環境でつき
と統制の観点からさまざまな取り組
ステム改革はまだ終わらない。
まとう製品間にまたがる " グレー"
みを開始した。
となる問題に対して、SIer として
「業務のコアタイムを大切にする
『私たちが結論をだしていく!』と
ことが重要だと考えています。その
いう、強い思いをもってご提案させ
ため、営業と SS(サービスステー
ていただきました」
(西森氏)
ション)の管理者には、モバイル
TCS が提案した統合システム基
PC を使って外出先から承認ができ
盤 は、Storwize V7000の 追 加 導
る仕組みを整えました。全営業ス
入を行い、ブレードサーバーをプ
タッフはスマートフォンでメールが
ラットフォームとし、既存のメール
閲覧でき、現場業務の効率化を図っ
システム、基幹システムのソフト
ています。" 守りから攻め " のひと
ウェアをそのまま仮想化統合すると
つの実績だと言えます。
いうもの。2014年に導入を開始し、
また、アフターマーケットの分野で
理研計器が埼玉県春日部市に新たに
は、データの活用についての取り組
建設した開発センターの落成に合わ
みを開始しました。まずはデータの
せ、2015年に稼働を開始した。
蓄積からはじめ、点検に関する在庫
「当社にとって、本格的な仮想化
の持ち方予測など、先読みをする取
の導入は初めての経験でしたが、従
り組みを行い、有効だと判断したと
来のように物理サーバーを個別に立
ころで展開をしていく計画です。
てた場合と、導入コスト、ランニン
データが統合化されたことにより、
グコストを計算、ハードウェア性能
期待が大きく膨らんでいます。
を比較した上で仮想化の導入を決定
メインフレームの時代は、0から
しました。特に基幹システムはソフ
100まで自分たちでやっていました。
トウェアとハードウェアを切り分け
しかし、オープン化が当たり前の今
る必要が出てくるため、保守メンテ
は、企画と外部の経営資源をいかに
産
業用ガス検知警報機器の専門メーカー、理研計器株式会社では、
お客様プロフィール
2013年に社内に散在していたファイルサーバーを集約する目的
で統合ストレージを導入した。そこから既存の情報システム改革が一気
TCS担当者の一言
「 理 研 計 器 様 と の お 付 き 合 い は、
2012年9月に、
松本様との初回面談に
始まりました。
メインフレームからオープ
ン系にシステムを移行した1年後のこと
です。初回のご面談でありながら1時間
以上のお時間をいただき、
その時のテー
マが
『情報システム業務ポートフォリオ』
の見直しです。
全体の6割を占める
「運用とユーザー
対応」
から
「企画」
へシフトする必要性に
ついて、
ディスカッションしたことを鮮明
に覚えています。 その翌年より、
ファイ
ルサーバー統合、基幹システムおよび
メールシステム等の統合基盤をご導入
いただきました。
現在はサービス子会社
の
「業務統合」
に向けてプロジェクトを進
めています。
「統合」
のキーワードのもと、
情報システムが
「企画」
へとシフトする―
―"守りから攻め"に向けた"情報システ
ムの参謀"として、
私たちはこれからも理
研計器様のベストパートナーとして、
価
値ある提案を進めてまいります」
IBMおよび Storwizeは、
世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。
Windows は米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標です。
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿一丁目18番18号 東急不動産恵比寿ビル3階
TEL:03-3280-2711
( 代表)
FAX:03-3280-2712 http://www.tcs-net.co.jp
東京日産
コンピュータシステム
株式会社
マネージドサービス事業部
ソリューション営業 上級主管
天川正次 氏
に加速。グループ会社を含む全社のIT統制を実現するとともに、ITの視
点からビジネス戦略を支援するという情報システム部門本来の業務体制
の構築へ向けて邁進中である。
IT統制が効かない旧来の
情報システムに大鉈を振るう
理研計器株式会社
東京都板橋区小豆沢2-7-6
http://www.rikenkeiki.co.jp/
る組織であり、社内で基幹システム
のプログラムを開発して運用すると
いう業務をもっぱら担当してきた。
理研計器株式会社は、現在の理化
しかし、
「このままでは、情報シ
学研究所(理研)の発明を製品化する
ステム部門が社内失業の危機に向
目的で創設された理研コンツェルン
かってしまう」という危機感を抱い
の一社として、1939年に設立され
たと、理研計器株式会社 取締役執
た産業用ガス検知警報機器の専門
行役員 管理本部本部長 松本哲哉氏
メーカー。現在は、半導体・液晶工
は話す。
場、石油コンビナート、製鉄所、タン
「昭和40年代後半、コストセンター
カー、石油備蓄基地、鉱山、火山な
として事務効率化を求められていた
ラムを自ら組む必要も減少してきま
ど、有毒ガスを使用・発生する現場、
時代にメインフレームを導入し、業
した。それに加え、一人1台PCを使
酸欠の恐れのある現場における作業
務がわかっている担当者が自らコン
用する環境となった事で、情報シス
者の安全や設備の保全を監視する産
ピューターの勉強をして当時主流だっ
テム部門の業務はPCの設置やヘル
業用ガス検知警報機器及び各種ガス
たCOBOLでプログラムを組んでい
プデスクなどのユーザー対応の比重
センサを独自に開発生産する企業だ。
ました。昭和60年代には、オペレー
が高くなっていきました。
同社の情報システムは、長年にわ
ション中心で、"メインフレームの
プログラムを組むことがないとい
たってメインフレームによる基幹シ
お守り"が中心となりました。平成
うことは、失業状態に陥ると言い換
ステムを中心に運用してきた。その
になってオープン化の時代を迎える
えることもできます。すなわち、本
ため、情報システム部門は経理部電
と、メインフレームは次第に汎用サー
来の情報システム部門の仕事ではな
算室(その後、経理部情報システム
バーにとって代わられパッケージソ
いところで忙しいということです。
課)という名称で経理部の配下にあ
フトを利用するようになり、プログ
情報システム部門が、企画をはじめ
1939 年設立。歴史と伝統に支えられた確かな技
術により、
"人々が安心して働ける環境づくり"を経
営理念に掲げた信頼性の高い製品づくりを追求。
現在、
100 種類にのぼるガス検知・環境測定製品
を扱っている。
導入事例
情報システム業務ポートフォリオ
と思っています」
(轡田氏)
レージの設計構築、運用のノウハウ
でデータを復旧してほしい』といっ
TCS と面会した轡田氏は、最初
をベースに、上手くいかなかった経
た依頼が寄せられ、それが大きな負
に SE と会わせてほしいとリクエス
験などもご説明させていただきまし
担となっていました。また、図面な
トした。
た。理研計器様のご不安と思われる
どの機密データの権限設定管理につ
ファイルサーバーを集約するにあ
「私たちと一緒にシステム構築に
事象については、自身を含めて SE
い て も 問 題 を 抱 え て い ま し た。
たり、情報システム課では統合先と
取り組むのは、SE です。SE の能力
チームで連携してご提案をいたしま
Storwize V7000を導入して新し
なるストレージを導入する方向で検
や力量によって導入の成否が決まる
した」
(東京日産コンピュータシス
いファイルサーバーの運用を開始し
討を開始した。
と言っても過言ではありません。そ
テム株式会社 自動車事業部 IT 推進
てからは、個人用フォルダの領域を
「ファイルサーバーを統合するス
こで SE に会わせてもらいましたが、
主査 西森裕樹氏)
提供し、重要なデータはそこに保存
トレージには、全社のファイルサー
この方だったら大丈夫、安心して任
導入を決めた製品は、IBM のス
してローカルのパソコンにはデータ
バーを統合しても余りあるだけの容
せられると評価しました。もちろん、
トレージ「Storwize® V7000」だ。
を残さないようなルールにするとと
量が確保されていること、安定性・
TCS から受けた提案が、当社が決
契約したのが2013年6月。そこか
もに、フォルダのアクセス権につい
信頼性を重視して UNIX/Linux 系
めた要件やスペック、価格などの条
らストレージの導入と散在していた
ても統制に基づき、一貫したルール
決まりかけていた製品を
覆して TCS の提案を採用
®
とした経営を支える立場に大きく関
来の情報システム部門のあるべき姿
のシステムであること、バックアッ
件を満たす魅力的な製品だったこと
ファイルサーバーの集約を開始し、
で権限設定を設けました。これによ
与するためにどうしたらよいのか―
を議論するところから始めました。
プが遠隔地のストレージ間で行える
もありますが、最終的に SE の経験、
10月にプレリリースを行った。
り、営業部門のユーザーからは、別
―。社内では、ミドルマネジメント
そうした中、散在するシステムを一
ことといった要件を挙げ、ストレー
スキルと人柄が決め手となり、決ま
「これまでは基本的に Windows
の営業所に出張してもファイルサー
に30代を登用し、若返りにもチャ
元的に集約するシステム統合基盤を
ジ製品の選定を行いました。もちろ
りかけていた国内メーカー製品の導
のファイルサーバーを使っており、
バーにあるデータにいつでもアクセ
レンジしている最中であり、また上
構築することになりました」
(轡田氏)
ん、スペックや価格についても重視
入を白紙に戻して TCS から導入す
大規模な Linux ベースのサーバーを
スできるのは大きなメリットだと喜
場企業としての内部統制や情報セ
その手始めとして着手したのが、
しました」
(管理本部 情報システム
ることにしました」
(轡田氏)
導入したのが初めてだったため、動
ばれています」
(井ノ口氏)
キュリティに対する取り組みも行っ
各部署に散在していたファイルサー
課 係長 木村公胤氏)
「理研計器様にとっては新規ベン
きに慣れるのにやや苦労しました。
ていました。そこで、" 守りから攻
バーの集約だった。社内の各部署で
十分に比較検討をした結果、一時
ダーです。エンタープライズスト
Windows から Linux にデータを移
め " に向けた『情報システム業務ポー
は、Windows ベ ー ス の PC サ ー
は国内メーカーのストレージ製品の
した際に、フォルダ権限の継承が少
トフォリオ改革』に着手したのです」
バーや NAS などをファイルサーバー
導入が決まりかけたという。そんな
し違う動きをするところがあったの
として独自に運用しており、その数
ときに、当時、管理本部副本部長
です。それらを含めて若干のトラブ
このファイルサーバー集約がきっ
理研計器の情報システム部門を統
は全社で40~50台にも上っていた。
だった松本氏を介して初めて接点を
ルがあったものの、TCS と確認し
かけとなり、理研計器では大規模な
括する管理本部 情報システム課 課
「もともと各部署がファイルサー
持ったのが、東京日産コンピュータ
ながら作業を進め、ほぼスケジュー
情報システム改革が動き出した。
長 轡田隆男氏は、当時を振り返り
バーを導入した時点では、それぞれ
システム(TCS)だった。2012年
ル通りにリリースすることができま
「2014年末にメールシステムと
ながらこう語る。
の部署にファイルサーバーを管理で
9月のことだ。
した」
(管理本部 情報システム課
基幹システムのサーバーが保守サ
井ノ口 慎氏)
ポートの期限を迎え、新しいハード
フ ァ イ ル サ ー バ ー を 集 約 し た
ウェアにリプレースする必要があり
Storwize V7000の 導 入 は、事 業
ました。当初メールシステムと基幹
部門にも情報システム部門にも良い
システムのリプレースを別々に進め
(松本氏)
取締役執行役員
管理本部本部長
総務部長 兼
経営企画室長
管理本部
情報システム課 課長
大規模な
情報システム改革が動き出す
「時代が変わって汎用サーバーを
きる人材がいました。しかし、そう
「すでに選定を終え、見積を出し
導入してパッケージを利用するオー
した人材がだんだん少なくなってき
てもらって予算取りも終えようとし
プン系の時代を迎えると、情報シス
たことにより、システムインフラを
ていた段階でした。副本部長から連
テム部門ではなく各部署が必要なシ
みるのは情報システム部門だという
絡があり、初めて TCS の担当者と
ステムを自分たちで導入、展開する
風潮が生まれてきました。もちろん、
会い提案を受けました。当社はこれ
効果をもたらした。
ていたのですが、サーバー台数の増
ようになりました。当然のことなが
私たちもそういう認識でいましたし、
まで、メインフレームもオープン系
「これまでは部署内にファイルサー
加とともに、管理がさらに大変にな
ら、それでは全社の IT 統制は不可
IT統制を効かせてライセンスの重複
システムも国内メーカー製品を導入
バーがあっても、決まった運用ルー
るという懸念がありました。また、
能であり、実際に機能が重複するシ
を含む無駄を排除するとともに情報
し、数社のベンダーと付き合ってい
ルがありませんでした。そのため
メールシステム、基幹システム、さ
ステムの散在を招いていました。そ
セキュリティ、BCP対策の観点から
ました。そのときも、従来から取引
ユーザーは自分のパソコンの中に
らにハードウェアと、ベンダーがそ
こで業務改革の一環として情報シス
も、早期にファイルサーバーを集約
関係にあったベンダーからの提案を
データを保存していることが多く、
れぞれ違うため、連携を取ることに
テム部門を管理本部情報システム課
することが望ましいと判断し、着手
受けていた中で、TCS と IBM 製品
情報システム課にも『データが消え
も不安を感じていました。そんな悩
へと改組し、IT統制を効かせつつ本
することにしたのです」
(轡田氏)
を採用したことは大きな決断だった
てしまった』
『パソコンが壊れたの
みを社内で抱えていたところ、TCS
轡田隆男 氏
松本哲哉 氏
管理本部
情報システム課 係長
木村公胤 氏
管理本部
情報システム課
井ノ口 慎 氏