113番元素 藤井基之 の 理 科 の 実 験 で、「 水 は H₂O と い っ て、 水素と酸素でできている」と教えられま し た。 そ の 水 素、 酸 素 が 元 素 で す。 元 素 という言葉とともに「原子」がありますが、 これは、例えば「炭素」という元素には、 「炭素12」「炭素13」「炭素14」とい う三種類があります。その一つ一つが「原 子 」 で あ り、 そ の 三 種 類 の 原 子 を ひ っ く るめて、炭素という「元素」となります。 こ の 地 球 上、 自 然 界 に は 九 十 二 種 類 の 元 素 が あ り ま す。 一 番 重 い 元 素 が 9 2 番 目 の ウ ラ ン で す が、 そ れ ら に 加 え、 人 間 が作り出した合成の元素が二十種類ほど あ り ま す。 今 回、 理 化 学 研 究 所 が 合 成 に 成 功 し た 元 素 は、113 番 目 の 新 し い 元 素として認定されたわけです。 この 113 番元素は、元素「亜鉛」と 元 素「 ビ ス マ ス 」 と を 高 速 で 正 面 衝 突 さ せ て( 核 融 合 反 応 と い う 方 法 ) 合 成 し た の で す が、 ア メ リ カ や ロ シ ア の 研 究 者 も 合 成 に 成 功 し た と 言 っ て い ま し た。 し か し、その新元素の存在時間は千分の二秒。 自民党政務調査会 副会長 名 誉 顧 問 一 昨 年 三 人、 昨 年 二 人 と、 日 本 人 の 複 数 研 究 者 が ノ ー ベ ル 賞 を 受 け て、 日 本 の 科学技術力の高さが話題になりましたが、 実は、もう一つ、昨年末十二月二十六日、 「日本の理化学研究所が合成した原子番号 113番の元素が新元素として認定され、 理 研 が そ の 元 素 の 名 前 を 付 け る 権 利( 命 名権)を与えられた」というニュースが 飛び込んできました。「元素」とか「原子」 とか言われると、また「亀の子」の話か、 と眉をひそめる方もおられるかもしれま せ ん が、 理 科 系 人 間( 薬 学 ) の 私 と し て は、 ノ ー ベ ル 賞 に 負 け な い く ら い う れ し いニュースでした。 「元素」というのは、全ての物質を作り 上 げ て い る 元 と な っ て い る 物 質 で す。 物 質 を ど ん ど ん 分 解 し て い き、 も う そ れ 以 上分けられないというところまでたどり 着いた、基本的な構成単位、それを「元素」 と 呼 ん で い ま す( 近 年 は「 素 粒 子 」 と い う更に小さな粒子の存在が知られていま すが、それはさておき)。例えば、小学校 うな地球上の生命体は生まれてなかった の で は な い か と い わ れ て い ま す。 生 命 を 創 出 し よ う と す る 何 か「 宇 宙 の 意 思 」 が 感じられる、と言った学者もいます。 さ て、 新 し い 元 素 の 名 前 は、 そ の 元 素 を発見した研究者やグループに命名権が 与 え ら れ る こ と に な っ て い ま す が、 今 回 の新元素の合成はアジアの国では初めて の こ と で あ り、 し た が っ て ア ジ ア で は 初 めての元素の命名でもあるわけです。が、 実 は、 一 九 〇 八 年 に 小 川 正 孝 博 士( 元 東 北帝国大学 総長)が新元素を発見、43 番目の元素として、「ニッポニウム」とい う 名 前 を 付 け ま し た。 し か し、 こ れ は 間 違 い だ と 取 り 消 さ れ て し ま い ま し た。 実 は小川博士が発見したのは 75 番目のレ あっという間に崩壊してしまいますから、 本当に合成に成功したの?と、なかなか、 認 め て も ら え な か っ た の で す が、 理 研 は 三 回 の 合 成 に 成 功 し、 存 在 を 証 明 し て 見 せ た こ と か ら、 新 元 素 の 命 名 権 が 与 え ら れることとなりました。 自然界の元素は、宇宙で生まれました。 し か し、 宇 宙 が ま だ で き た ば か り の こ ろ (原始宇宙)は、水素、ヘリウム、リチウ ムなどわずかな元素しかありませんでし た。 し か し、 宇 宙 で の 超 新 星 爆 発( 宇 宙 の星が重くなりすぎて爆発してしまう) などによって、元素同士がぶつかったり、 分裂したりを繰り返し、炭素、窒素、酸素、 珪素や鉄などの元素が次々に生まれてき た、 と さ れ て い ま す。 つ ま り、 自 然 界 に ある元素は、人間の手によってではなく、 宇 宙 に よ っ て“ 合 成 ” さ れ、 生 ま れ て き た わ け で す。 宇 宙 に あ る 元 素 の そ れ ぞ れ の 存 在 量 を 調 べ る こ と に よ っ て、 元 素 の 生成過程、年代も分かるということです。 113 番 元 素 の 合 成 に よ り 何 か 新 し い ニ ウ ム だ っ た そ う で す。 で す か ら、 今 回 の 理 研 に よ る 新 元 素 の 命 名 は、 そ の リ ベ ンジでもあります。 元素名は、その元素の性質、科学者の名、 地 名、 国 名、 神 話 に ち な む 言 葉 な ど に 由 来 す る も の と す る、 と い う 規 定 が あ る そ う で す。 例 え ば、 こ れ ま で に 人 工 合 成 さ れ た も の で は、 ア メ リ ウ ム( 米 国 で 発 見 された)、ノーベリウム(ノーベルに由来)、 ダ ル ム ス タ チ ウ ム( ド イ ツ の 地 名 ダ ル ム シュタットに由来)など、があります。 113 番元素名は理科研で考えており、 「ジャポニウム」、「リケニウム」等が有力 だ そ う で す。 ど ん な 名 前 に な っ て も、 そ の名は日本の科学力のシンボルになるで しょう。 ●生年月日 昭和 22 年 3 月 16 日 ●選 挙 区 参議院比例区 ●当選回数 2 回 ●出 生 地 岡山県岡山市 ●趣 味 音楽・読書 ●個人ホームページ http://www.mfujii.gr.jp/ ●そ の 他 薬学博士・薬剤師 ●私の政治信条 私 の 政 策 の 柱 は A( エ イ ジ フ リ ー)B( バ リ ア フ リー)D(ドラッグフリー:薬物乱用のない社会) 社会創りです。 高齢者も、障害を持つ方も、国民誰もが安心して 暮らし、元気で生活を送ることのできる長寿社会 を創るために何が必要か、を政治活動の根底にお いています。 好きな言葉「昨日の夢は、今日の希望、そして明 日の現実」 ●活動報告 参院議員厚生労働委員会理事として、食品安全確 保のための食品衛生法改正、健康増進法改正、薬 事法改正、薬剤師法改正、クリーニング業法改正、 国民年金法改正等に関与。 ●経歴 昭和 37 年 岡山大学教育学部付属中学校卒業 昭和 40 年 岡山県立岡山操山高等学校卒業 昭和 44 年 東京大学薬学部薬学科卒業 昭和 44 年 厚生省入省 平成 9 年 厚生省退官 平成 9 年 財団法人 ヒューマンサイエンス 振興財団 専務理事 平成 12 年 日本薬剤師連盟 副会長 社団法人 日本薬剤師会 常務理事 平成 13 年 参議院議員(1期目) 平成 16 年 厚生労働大臣政務官 (平成16年 9月〜平成17 年11月) 平成 19 年 日本薬剤師連盟 顧問 平成 22 年 参議院議員(2期目) 平成 23 年 参議院政府開発援助等に関する 特別委員会 委員長 平成 24 年 自由民主党広報本部 副本部長 広報本部新聞 出版局長 平成 25 年 自由民主党党紀委員会 委員 裁判官弾劾裁判所 裁判員 平成 26 年 原子力問題特別委員会 委員長 文部科学副大臣 現在 自民党政務調査会 副会長 物 質 で も で き る と か、 そ う い う こ と は あ り ま せ ん が、 し か し、 人 の 手 で 元 素 を 合 成 す る と い う こ と は、 宇 宙 で の 元 素 の 生 成、 宇 宙 の 進 化 の 過 程 を 知 る う え で、 大 きな手掛かりとなります。 そ し て ま た、 地 球 の 生 命 体 は 全 て 元 素 で で き て い ま す。 地 球 の 最 初 の 生 命 体 は 海 の 中 で 生 ま れ、 海 中 の 様 々 な 元 素 が 組 み 合 わ さ り、 有 機 物 が 作 ら れ、 生 命 が 誕 生 し て き ま し た。 で す か ら、 宇 宙 で の 元 素の生成の過程を追及するということは、 生命誕生の過程を追及するということで も あ り ま す。 宇 宙 の 元 素 が ど の よ う な 順 番 で 生 成 さ れ て き た か、 実 は、 生 命 体 の 誕 生 に は そ の 順 番 が 重 要 で、 も し 違 う 順 番 で 生 成 さ れ て い た と し た ら、 今 日 の よ 藤井 基之 2016年 3月号 味感 38 39 コラム も と ゆ き い ふ じ
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