「正当な理由」の判断基準 平成28年3月4日 埼玉県福祉部高齢者福祉課 特定事業所集中減算の適用の対象外となる「正当な理由」については、平成12年3月 1日付け厚生省老人保健福祉局企画課長通知老企第36号第3の10において例示がな され、埼玉県においてもこの例示に基づく運用を行ってきたところである。 今般平成27年4月1日付けで同通知が改正されたため、これを踏まえ「正当な理由」 に該当する場合を下記の1~7のいずれかの場合とする。 なお、同通知において、「実際の判断に当たっては、地域的な事情等を含め諸般の事情 を総合的に勘案し正当な理由に該当するかどうかを都道府県知事において適正に判断さ れたい」とされているため、最終的には、下記の基準を元に、個別に判断を行う。 記 1 居宅介護支援事業者の通常の事業の実施地域に訪問介護サービス等がサービスごと で見た場合に5事業所未満である場合などサービス事業所が少数である場合 居宅介護支援事業者の通常の実施区域に所在する各サービスが5事業所未満の場合に は当該規定を適用することとする。 なお、通常の実施区域内に存する各サービスにおいてみなし指定を受けている事業所に ついて、介護保険による報酬の請求実績のない事業所は事業所数から除くこと。 実績の有無については、各判定期間を通して請求実績があるか否かによって判断するも のとする。 2 特別地域居宅介護支援加算を受けている事業者である場合 山村振興法における振興山村に所在地のある居宅介護支援事業者について適用する。 3 判定期間の1月当たりの平均居宅サービス計画件数が20件以下であるなど事業所が 小規模である場合 上記に該当する事業者は「正当な理由」があるものとして認める。 4 対象サービスを位置づけているプランがサービス種類ごとでみた場合に、1ヶ月当た りの平均で10件以下の場合 上記に該当する事業者は「正当な理由」があるものとして認める。 5 サービスごとで見た場合に、利用者の日常生活圏域内に訪問介護などのサービス 事業所が5事業所未満であるなどサービス事業所が少数である場合 地域的な理由により利用者の希望を勘案した結果、特定の事業所に集中したことがわか る書面の写し及び当該利用者の日常生活圏域がわかる資料の添付を要するものとする。 なお、利用者の日常生活圏域内に存する各サービスにおいてみなし指定を受けている事 業所について、介護保険による報酬の請求実績のない事業所は事業所数から除くこと。 実績の有無については、各判定期間を通して請求実績があるか否かによって判断するも のとする。 ※ この規定によってその事業所を利用することに正当な理由があると認められた利用 者がいる場合は、集中割合を再計算する。 その際当該利用者を除くものとし、再計算した結果集中割合が80%を下回った場 合は「正当な理由」があるものとして取り扱う。 6 サービスの質が高いことによる利用者の希望を勘案した場合などにより特定の 事業所に集中していると認められる場合 ここにおける「サービス」は「実際に受ける介護サービスの質」そのものと解釈する。 そのため、「上場企業」「CMで有名」「近所」「入所希望の施設と併設されており、 入所に当たり有利になる」など、その事業所が実際に行っている介護サービスと直接関係 しないものについては含めないものとする。 なお、本事由の適用にあたっては、個々にその可否を判断することとなるが、少なくと も下記(1)~(4)のいずれも満たしていることが必要である。 (1)「サービスの質が高い」とする理由が介護サービスに関するものであり、利用者のみ ならず一般の被保険者以外の人にも納得できるものである。 (2)「サービスの質が高い」ことを判断する資料は、パンフレット、ホームページなど で一般でも容易に取得できる。 (3)「サービスの質が高い」ことを判断する理由の根拠となる資料は、当該事業所の恣 意的な操作を排除した方法で得られたものであることが明らかである。 (4)利用者がその資料等を基に当該事業所を選択した経緯が記録(第6票等)などの書 類で明示されている。 <参考>「サービスの質が高い」ものと考えられる例 ・「介護サービス情報の公表」で全てに「あり」となっているなど一定以上の水準 にある事が公表されている。 ・訪問介護の「特定事業所加算」等、サービスの質が向上するための体制整備を条 件としている加算を届け出ている。 利用者負担等を考え加算を算定していない事業所については、書面等で同等の 体制にあることを一般でも容易に知りうる状態にあると認められる場合、当該加 算を届出ている場合に準じて取り扱う。 ・特定の医療行為を必要とする利用者を受け入れることが可能な事業所であり、 かつ当該医療行為を利用者が希望し、医療行為が行われている実績が認められる。 なお特定の医療行為とは次のものとし、特定事業所集中減算の届出においては 該当の医療行為が行われていることが確認できる書類を添付すること。 ○ 在宅酸素療法に係る利用者の状態の把握及び操作説明等の行為 ○ バルーンカテーテル療法に係る管理等の行為 ○ 胃ろうに係る管理等の行為 ○ 気管切開・経管栄養に係る管理等の行為 ○ 腎臓疾患による人工透析に係る行為 ○ 緩和ケアに係る行為 ○ 喀痰吸引に係る行為 ○ 糖尿病等によるインスリン注射に係る行為 ・訪問看護において、日本看護協会の認定する認定看護師を1名以上配置しており、特 定の分野での卓越した看護技術により医師の指示書に基づく困難な医療的処置を行 うことができると共に、当該認定看護師が他の訪問看護師を研修等によって指導する など事業所全体の提供サービスの質の向上に努めている。 ・福祉用具貸与において、同一機種について複数(少なくとも3事業所以上)のカ タログを比較した結果、価格が最も低廉である(但し、明らかに一般常識として、 原価を無視したとしか思えない価格設定は「低廉」とすべきではない)。 ・IS09001を取得している。(個別に事情を判断するものとし、ISO9001を取得して いることのみをもってサービスの質が高いものとはしない。) ※ この規定によってその事業所を利用することに正当な理由があると認められた利用 者がいる場合は、集中割合を再計算する。 その際当該利用者を除くものとし、再計算した結果集中割合が80%を下回った場 合は「正当な理由」があるものとして取り扱う。 7 その他正当な理由と都道府県が認めた場合 当該事項を適用する際は、個別に判断することとするが、現時点で「正当な理由」と考 えられるのは下記のとおりである。 (1) 埼玉県内の過疎地域自立促進特別措置法における過疎地域、山村振興法における 振興山村をサービス提供地域に含む居宅介護支援事業所において、当該地区に所在 する通所介護事業所が最高法人になっている場合には、通所介護について「正当な 理由」があるものとして取り扱う。 (2) 下記のような事情を有する者または事業所を除いて再計算した結果、80%以下 となった場合には、「正当な理由」があるものとして取り扱う。 ① 該当するサービスにおいて社会福祉法人における減免制度を利用している者 この場合給付費明細書(様式第2)等の書面で該当者が当該事業所で実際に 減免を受けていることを確認できることが必要である。 ② 今回の算定期間内に従前の居宅介護支援事業者がやむなく廃止、休止となった 結果、引継先として当該事業所で居宅介護支援をすることとなった者。 この場合、その経緯が明らかとなる書面の写しの提出が必要である。 ③ 市町村や都道府県で状況を把握した結果、支援が困難な事例と判断された者に ついて、上記機関との調整の結果、当該事業所で居宅介護支援を開始することと となった場合。なお、上記判断に基づき、地域包括支援センターや在宅介護支援 センターが調整を行った場合も含まれる。 この場合、その経緯が明らかになる書面の写しの提出が必要である。 ④ 利用者の状況についてアセスメントを行った結果、下記の加算等の体制を整備 している事業所をケアプラン上位置づける必要がある場合に、その条件に合致す る事業所が当該サービス提供地域内に1箇所しか存在しなかったため、その事業 所を使用せざるを得なかった者。 この事例の場合、アセスメントやケアプランなど記録上その事実が確認できる こと、サービス提供票(第8票)等で実際に利用していることを確認できること が必要である。 ※ この規定によってその事業所を利用することに正当な理由があると認められた利 用者がいる場合は、集中割合を再計算する。 その際当該利用者を除くものとし、再計算した結果集中割合が80%を下回った 場合は「正当な理由」があるものとして取り扱う。 <当該事由が該当すると考えられる加算等> 訪問介護 通院等乗降介助 夜間又は早朝、休日にサービスを提供している事業所 通所介護 口腔機能向上加算 栄養改善加算 個別機能訓練加算 入浴介助加算 若年性認知症利用者受入加算 時間延長サービス体制 療養通所介護 土日、休日にサービスを提供している事業所 福祉用具貸与 福祉用具の種目 (3) 判定期間中に以下の事由があった事業所については、正当な理由があると認め減 算を行わないものとする。 ① 事業所の休止を行った事業所 ② 新規に指定を受け開設された事業所 ※ 特定事業所集中減算の計算に係る取扱いについて 1~7について以下のとおり取扱うものとする。 ア 特定の事業所への集中割合が80%を超えかつ1~4に該当する事業所は、 正当な理由があるものとして「埼玉県への居宅介護支援事業所における特定事 業所集中減算の届出について(様式1)」及び「居宅介護支援事業所特定事業 所集中減算計算書(別紙)」の提出を不要とする。 ただし事業所は、埼玉県等より特定事業所集中減算についての照会等を受け た場合には誠実に対応するものとする。 イ 正当な理由の1に該当しかつ当該規定のなお書きに該当する場合は、上記ア の提出不要の適用は受けないものとする。この場合、通常の実施区域内の事業 所の一覧(みなし指定を受けた事業所を含む)を作成し、様式1及び別紙と共 に埼玉県に提出するものとする。
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