緩和ケア勉強会 看取りのケア 平成27年7月13日 病棟医長 ~ある日の病棟での会話~ B 看護師 「先生、Aさんの全身状態が低下し てきています。意識レベルはⅢ群 で血圧も徐々に低下しています。」 C 医師 「そうですか、わかりました。 それでは、看取りのケアをしていき ましょう。」 B 看護師 「はい、わかりました。 看取りのケアをしていきます。」 看取りのケアって・・・ ・どんな事? ・何をするの? Ⅰ.臨死期のケアの目標 Ⅱ.臨死期の時期とその予測 Ⅲ.患者が安楽に過ごせているか Ⅳ.家族に対するコーチング Ⅰ.臨死期(看取り)のケアの目標 ・ 患者が身体的、精神的に穏やかに過ごせる ようにする ・ 患者が尊厳を持って過ごせるようにする ・ 患者の死のプロセスが、家族にとってできる だけ受け入れやすいものとなるように調整する ・ 患者と家族がお別れの時間を共有する ~ Oxford handbook of palliative care ~ Ⅱ.臨死期について ( 臨死期とはいつか?) 死亡前約1週間とする 共通の定義は無いが、 「いつから看取りのケアを始めるか?」 と考える時期が妥当か・・・ ( 予後1週間の予測 ) 1) 患者に関わる他職種チームが予後数日 または1週間と判断し かつ 2) 以下の2項目以上があてはまる場合 ① 患者が終日臥床状態である ② 半昏睡/意識低下が認められる ③ 経口摂取がほとんどできない ④ 錠剤の内服が困難である ~亡くなる直前に出現する身体症状予測~ ( 予後1週間 ) ・患者が終日臥床状態である ・半昏睡/意識低下が認められる ・経口摂取がほとんどできない ・錠剤の内服が困難である ( 予後2~3日 ) ・死前喘鳴 ( 予後1日以内 ) ・下顎呼吸 ・四肢のチアノーゼ ・橈骨動脈の拍動消失 Ⅲ.患者が安楽に過ごせているか? 1.辛い症状の緩和ができているか 2.患者の安楽へのケアの提供の継続 3.使用中の薬物・検査の見直し 1.辛い症状の緩和ができているか? ~臨死期における身体症状~ ◎ 疼痛 ◎ 呼吸困難 ◎ せん妄/不穏 ◎ 気道分泌/死前喘鳴 ◎ 口腔乾燥 ○ 倦怠感 ○ 嘔気・嘔吐 ○ 排尿障害 ○ 発熱 2.患者の安楽へのケアの提供の継続 1) 口腔ケア 2) 排泄ケア 3) 体位変換(安楽な姿勢) 4) 褥瘡の予防ケア 5) 保清(清拭など) 6) 環境整備 3.使用中の薬物・検査の見直し 1) 投薬法の見直し ・確実に投与できる非経口へ ・投薬に伴う苦痛ができるだけ少ない方法 2) 不必要な薬剤・検査の中止 ・血液検査 ・抗生物質 ・輸液 必要だが 投与経路の変更を 考慮する薬剤 鎮痛剤 制吐剤 鎮静剤 (鎮静を目的とした薬剤もしく は睡眠の確保を目的とした 薬剤) 抗不安剤 以前は必要だったが 既に必要ではなく 中止を検討する薬剤 中止が勧められる薬剤 ステロイド剤 ホルモン補充療法 血糖降下剤 利尿剤 抗不整脈薬 抗けいれん薬 降圧薬 抗うつ薬 下剤 抗潰瘍薬 抗凝固薬 長期投与の抗生物質 鉄剤 ビタミン剤 3) 予測される症状変化への対処方法の指示 〇 臨死期によく見られる症状 ・呼吸困難 ・疼痛 ・口渇 ・せん妄(不穏) ・気道分泌過剰(死前喘鳴) 〇 急変 ・穿孔 ・窒息 ・出血 4) 鎮静の可能性 ・鎮静が必要と予測される場合は家族に説明し 意向を確認しておく Ⅳ.家族に対するコーチング 今後、患者に起こりうる変化を伝え、家族はどのように 患者に接したらよいか指導(コーチング)していく 【意義】 具体的な変化やその接し方を家族に伝えることで、 家族は患者に付き添え、死に向けてのお別れの準備 をしていく。また、医療者への誤解も解消する。 そのうえで家族の悲嘆へのケアを始める事ができる。 【実践:説明・接し方のコーチング】 聞きたいか、誰が聞くのかの確認 「今後のことについてご説明したいと思いますが、 お聞きになられたいと思われますか?」 これから起こる事や起こっている症状について説明する ・昼夜逆転 ・せん妄(不穏) ・何も食べない ・死前喘鳴 ・・・等 「 人がいかに死ぬかという事は、 残される家族の記憶の中にとどまり続ける。 私達は、最後の苦痛の性質とその対処について 十分に知る必要がある。 最後の数時間に起こった事が残される家族に 心の癒しにも、悲嘆の回復の妨げにもなる。 」 ~ C・ソンダース ~
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