創傷処置 - 朝霞台中央総合病院

2015/6/30
創傷治癒
朝霞台中央総合病院
臨床研修医 大沢草宣
創傷治癒過程
• 第0期:止血期
• 第1期:炎症反応期
• 第2期:増殖期(肉芽形成期)
• 第3期:安定期(成熟期)
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第0期
第1期
細胞成長因子:好中球な
どを呼び寄せるシグナル
各種成長因子
血管新生
線維芽細胞増殖・活性化
コラーゲン生成補助など
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第2期
第3期
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浅い皮膚潰瘍・皮膚欠損創の治り方
真皮が表皮再生
• 真皮の中にある表皮=毛穴・汗管
の鍵!
• 表皮が欠損、真皮が露出する
⇒「真皮の中に残った表皮」=毛穴と汗管、から表皮細胞が遊走
⇒傷の表面を覆う=表皮の再生
⇒傷が治癒
☆真皮さえあれば表皮は再生可能!
真皮:血流豊富なため、非常に丈夫。
感染にも強い。
唯一の弱点は乾燥!
⇒乾燥すると、かさぶたに。
深い皮膚潰瘍・皮膚欠損創の治り方
真皮が欠損して
いる状態
• 表皮再生の鍵である毛穴・・・がない!
↓
①創面を肉芽組織が覆う
②肉芽組織表面に周囲から表皮細胞が遊離すると同時に、肉芽組織自
体が収縮することで創が小さくなる。
• このとき、創面を乾燥させると肉芽が死んでしまう
• 肉芽が覆ったあとに表面が乾いていたら、表皮細胞は移動できない。
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創傷治癒のポイント
傷口からの「ジクジク」とした分泌
=「細胞成長因子」
細胞にとって乾燥した状態は辛い・・・
乾燥した状態ではどんな細胞も生きて
いけない
「ジクジク」した状態
=傷口を治す細胞にとって最も働きやすい状態
「傷にガーゼをあてる」と・・・
水分は完全にフリーパス。傷は乾き放題。
皮膚欠損創をガーゼで覆う⇒傷(つまり真皮)が乾く
⇒創治癒はストップ
☆少なくとも表皮欠損創においては創治癒を妨害するもの!
・・・・では、何で覆ったら良いのでしょうか?
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ハイドロジェル
ハイドロ
コロイド
ポリウレタン
創傷被覆材
ハイドロ
ポリマー
アルギン酸塩
毛
ハイドロ
ファイバー
毛包(皮膚付属器)
擦過創、やけどで
表皮と真皮の一
部が欠損
表皮
真皮
皮下脂肪
毛包から表皮細胞が周
囲に遊離
創傷被覆材を添付
滲出液が創面を覆う
残った真皮から滲出液が
分泌
毛包から表皮細胞
が移動・分裂⇒表皮
が再生
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ポリウレタンフィルム
テガターム
オプザイトウンド
• 片面が粘着面な透明なフィルム
• 水蒸気、酸素が透過できる。中が蒸れない。
• 出血を伴わない創面、発赤のみの浅い褥瘡、水泡の保護、褥瘡予防
• 新鮮外傷においては、アルギン酸塩被覆材やハイドロジェルの密封用に。
ハイドロコロイド
デュオアクティブ、コムフィール、テガソーブ、アブソキュア
• 新鮮外傷での使用では,薄いデュオアクティブが非常に有用。
• 顔面の擦過傷では,皮膚の色調との適合性が良く,目立たない。
• 指のように円柱状の部位にもGood
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ポリウレタンフォーム
ハイドロサイト
• 浸出液の多い創面
• 新鮮外傷では全ての皮膚欠損創
• 特に、指尖部損傷、爪甲抜去後の創傷
• バンソウコウなどでの固定が必要
アルギン酸塩被覆材
• ソーブサン、カルトスタット
• 海草のコンブから抽出されたアルギン酸塩(ソーブサンではカルシウム
塩,カルトスタットではカルシウム塩とナトリウム塩の混合)を繊維状にし
て不織布にしたもの
• 通常はフィルムドレッシング材で密封して使用
• 強力な止血作用⇒出血を伴う皮膚欠損創には最適
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ハイドロジェル
ジェリパーム、ニュージェル、イントラサイト、グラニュゲル、クリアサイト
• 通常、フィルムドレッシングで密封して利用
• 乾燥気味の開放創=浸出液が少ない創面に最適
• 骨皮質が露出している創
• 深い陥凹となっている開放創
• 黒い痂皮が覆っている黒色期の褥瘡
ハイドロポリマー
• ティエール
• 吸水能が高いのが特徴。
⇒数日間張りっぱなしでよく、創処置の回数を減らせる。
• 術後の創離開、皮弁壊死などに伴う広範で深い皮膚軟部組織欠損創
• 極めてしなやかであるため、踵や肘などにの突出部で使いやすい
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湿潤療法ポイント
• 消毒などの組織傷害性のある薬剤を使用しない
• 創の乾燥を防ぎ、創面を湿潤に保つ
<主に参考にしたサイト>
新しい創傷治癒 http://www.wound-treatment.jp/
ご清聴ありがとうございました。
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