介護の現場ですぐできるリハビリシリーズ1 [ アイスマッサージ ] アイスマッサージは、摂食・嚥下訓練の内の基礎訓練に入ります。 目的 スムーズに嚥下反射(ゴックンという反射)が起こるようにし、食べ物などの誤嚥を予防する 適応 ①食事中に嚥下反射(ゴックン)が起こりにくい、遅れてしまうなどでムセが多い方 ②口から食事を食べていない方 ③口から食事を食べていないがこれから食べる練習をしていく方 方法 食事の前や口腔ケアの時などに水につけて凍らした綿棒で嚥下反射誘発ポイントを触り、ゴックンと飲み込 みを確認する。 その場で繰り返し使えるようにコップに氷水を用意し、綿棒を漬けながら5~6回行なう。 ・嚥下反射誘発ポイント 口蓋弓の基部(のどちんこから左右に縁をつたって根元辺り) 注意 ①アイスマッサージ棒は、必ず冷たくなくてはいけません。 ⇒嚥下反射(ゴックン)は、冷たい刺激か熱い刺激に誘発されやすいためです。 ②アイスマッサージ棒の先端に割り箸のささくれなどないか確認してください。 ⇒口腔内は粘膜組織のため、傷つきやすく、傷口から感染することもあるため。 ③患者さん、利用者さんに必ず行なう目的などを説明してください。 ⇒口の中は大変敏感な場所です。他人に触れられるのはいい気がしません。しっかりと説明しておこないま しょう。 作り方 ①割り箸と綿花、ハサミ、トレーを用意します。 ②割り箸を割って、もう半分に切ります。(短めの棒が 4 本できます) ③綿花を4cmくらいの幅で切ります。 ④切った綿花を2つに裂きます。(そのままでは分厚いので) ⑤割り箸の先に切った綿花を巻いていきます。巻いた綿花の直径は1cmくらいになるまで巻きます。 注意:綿花は、割り箸の切った先ではない方に巻くと使う時に患者さんが傷つきません。 ⑥水につけて、軽く絞ります。 ⑦トレーにいくつか並べて、冷凍庫で凍らせます。 チョッ得Q&A Q1:アイスマッサージをやると、どうしてゴックンが起こるの? A1: 嚥下反射は、冷たいものか熱いもので誘発されやすいです。熱いものはヤケドしてしまうので、冷たいもの を使います。 アイスマッサージをする部分は、最も嚥下反射が誘発されすい部分で、そこに冷たい刺激が入ると、口腔粘 膜にある感覚受容器が、嚥下の中枢である「延髄」へ刺激されたという信号を送ります。 その後、信号を受けた嚥下中枢は、ごっくんしろという指令を出し、喉が「ゴックン」と無意識に起こるの です。 Q2:口から食べてなくてもアイスマッサージはするの? A2: 経管栄養(管で栄養を取っている)をしていて、口から何も食べていない人でも誤嚥は起こります。 何を誤嚥するか?「唾液」です。特に口の中が汚れている方は、要注意です。 口の中の汚れを唾液と一緒に誤嚥してしまい、誤嚥性肺炎を起こすことが多いのです。 長い間寝たきりの方は、抵抗力も弱く、頭もボーっとしていることが多いので、嚥下反射が常に起こりにく い状態です。 それを少しでも刺激してあげることと、口の中をしっかりときれいにすることで肺炎を防ぐことができます。 また、今から食べる練習をするという方は、嚥下反射をしっかりと起こすための練習になります。 Q3:アイスマッサージをやっているけど、ムセが少なくなりません。 A3: 嚥下障害の専門家(医師・歯科医師・歯科衛生士・言語聴覚士など)に相談してみてください。 ムセがおこる原因は、嚥下反射が起こりにくいだけとは限りません。 アイスマッサージは、摂食嚥下訓練の基礎的訓練です。食物を用いることなく、比較的安全に行なえます。 繰り返し、毎日行なうのがポイントです。口腔ケアのついでに行なってみてはどうでしょうか。 2011 年 8 月加筆修正 ©そうだんしつ「ひとこと」 Since 2000/07/22 この資料は学習補助として個人的に作成したもので、文献引用や参考書籍の用途で使う目的ではありません つまり公的文書としての効力は全くないものとします そのため実習レポートや臨床発表などへの引用はできません 第三者への配布は許可していますが、内容の改変は不可です その他作成した文章の著作権は放棄していません 発行・編集 言語聴覚士・認定心理士 松井宏樹
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