河原木場沢~シラナギ沢

北八
鳴岩川・河原木場沢~治郎兵衛沢下降
メンバー:三井、山本
遡行日:2015年5月23日
地形図:蓼科、八ヶ岳西部
今回、余り馴染みのないこの沢に行こうと思
ったのはこの沢にある奇瀑、「醤油樽の滝」の
存在を知った事だった。
ネットで偶々、この滝の写真を目にした。
まるで井戸の底から見上げるとそこに瀑水
が落ち込んでいるような滝の姿に驚かされ、
いろいろと調べてみた。
(実は滝の右岸側が滝身から90度に折れて
いてその為に滝口から見上げると井戸の中
に滝が落ち込んでいるように見える、という
のが実体のようだ。)
ネットの記録はこの大滝をアイスクライミン
グしに訪れたものが大半だが幾つか沢の遡
行の記録も見られ、それによると大滝の先は
ナメが続いていて中々いいらしい。実際はど
んな滝、沢だろうか。
三井の森の別荘地を過ぎ夏沢鉱泉へ行く林
道に入ると間もなく河原木場沢を横切るが、
その少し先に「醤油樽の滝入り口」の標識が
立っている。その少し先の空き地に車をとめ
スタートとなる。
醤油樽の滝までは沢に沿って探勝道がある
ので道と沢を適当に進んで行く。
一の滝、二の滝を過ぎると顕著なゴルジュと
なる。探勝道は右岸を大きく巻いている。
ゴルジユに入って行くと 3mほどの滝があり、
その先はやはり 3mほどのCS滝になってい
てそこを越えるのはモロに瀑水を浴びそう
で躊躇。で、あっさりとUターンし右岸の巻き
道を登る。ゴルジュの先にアルミのハシゴが
架かっていて、それを使って沢に降りるとあ
りました。「醤油樽の滝」。
落差は40mほどの直瀑で中々のものだ。
滝口まで行き、しゃがんで見上げると確かに
写真の通り井戸の底に向かって滝が落ち込ん
でいる様に見え正に写真で見た通り。山本さ
んと思わず「凄いもんだねぇ。」
暫し堪能したがさてこの滝はどう巻くのか。
ゴルジュの入り口まで戻り、右岸側をみると
急な樹林の斜面に踏み跡っぽいものがある。
それを登って行くと岩壁に遮られ、右に回り
込んで行くと先が切れ落ちていてダメ。
左に回り込んで暫く樹林の中を行くと落ち口
の先に降りる事ができた。手こずりそうだっ
たが30分ほどで済みヤレヤレだ。
大滝の先は遡行記録通りナメ床の沢が続い
ている。美渓、と言いたいところだが残念な
がら全体に荒れている。ナメの上に倒木が覆
いかぶさっていたり、崩れた岩が散乱してい
たりで折角のナメを傷つけている。
大半の倒木の枝の葉がまだ青いままなのは
この状態が最近起きた事のようで、もっと早
くに訪れていればよかったのだろうか。
2段10mの滝を越えると沢は一旦ゴーロ状と
なりこの先は大した事はなさそうな雰囲気
だ。持参の遡行図にも目ぼしいものは記され
ていない。
目にした大半の遡行記録ではこのままツメて
稜線に上がり、天狗岳から夏沢鉱泉を経由し
て入渓点に戻っているが、僕としては源頭辺
りまできたら適当に左岸の枝尾根を越えて隣
りの治郎兵衛沢を下降するルートを考えてい
た。
という事で予定通りここから左岸を登る事に
する。少し下流に20mほどの滝が懸かった枝
沢がありそこの右岸を登って行くとあっさり
コルにでてひと下りで治郎兵衛沢に下りる。
この沢は何もないゴーロの沢で(一本、10m
ほどの滝はあるが簡単に巻ける。)ダラダラ
と下って行くと夏沢鉱泉に行く林道にぶつか
り車に戻る事が出来た。
今回の沢、勿論「醤油樽の滝」が確かにハイラ
イトで、一見の価値はある。
ただ、沢は荒れていてお薦めという沢でも
ない。天狗岳に登ってみる気があるならバリ
エイションルートとして登るのは「あり」だが、
ツメの長い登りは多分しんどい事になりそう
だし、遡行という事なら今回の僕達の取った
ルートがいいように思う。
勿論滝だけ見たいなら探勝道から往復した方
が世話はない。