特殊ナットを有する 高力ボルト摩擦接合継手に関する研究

特殊ナットを有する
高力ボルト摩擦接合継手に関する研究
大阪市立大学大学院
都市系専攻
橋梁工学研究室
2015年度
名前 金城 力
特殊座金
特殊ナット
・既設部材に対して両側から新設部材を取り付ける工法が提案されています.
しかし,片側の部材締結時に通常のナットを用いると,もう片側の部材取り付
け時にその部材の孔が過大になるなどの問題があります.そこで,通常のナ
ットとは異なる形状を有する特殊ナットを用い,もう片側の部材を通常ナットで
締結し,両側から新設部材を取り付けた状態を完成させ,この問題を解決し
ます .つまり,この工法には特殊ナットのみで部材を取り付けた状態(一面摩
擦)と特殊ナットおよび本ナットで部材を取り付けた状態(二面摩擦)が存在し
ます.
・しかしながら,特殊ナットを有する高力ボルト摩擦接合継手に関する研究は少
なく,上述した状態の継手性能は評価されていません.
研究目的:①特殊ナットを有する高力ボルト摩擦接合継手のすべり性状の解明
②特殊ナットを有する高力ボルト摩擦接合継手のリラクセーション特性の解明
母板の接合面処理の違いによるすべり性状について
0.8
0.75
0.7
0.65
0.6
0.55
0.5
0.45
0.4
0.35
本ナットのみ(通常・無機ジンク)
本ナットのみ(通常・2種ケレン)
特殊ナットのみ(無機ジンク)
特殊ナットのみ(2種ケレン)
すべり係数μ1
本研究のパラメータは母板の接合面処理,特殊ナットの
取り外しおよび母板と連結板の孔ずれです.母板の接合
面処理は既設部材を想定した2種ケレンと比較材である
無機ジンクを,特殊ナットの取り外しは一面摩擦における
接触圧の維持の有無を,母板と連結板のずれは施工時
の誤差の有無をそれぞれ比較するために設けました.
右図は試験前軸力によって算出したすべり係数の内,
母板の接合面処理の違いですべり係数を比較できるケー
スの一覧です.母板が無機ジンクリッチペイントの場合よ
り2種ケレンの場合の方がすべり係数は小さくなり,その
低下率は本ナットのみの場合で20%程度,特殊ナットの
みの場合で13%程度となりました.
0
2
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特殊ナットの取り外しおよび母板と連結板のずれによるすべり性状について
特殊ナット+本ナット(無機ジンク・取り外し有り)
特殊ナット+本ナット(無機ジンク・取り外し無し)
特殊ナット+本ナット(2種ケレン・取り外し有り)
特殊ナット+本ナット(2種ケレン・取り外し無し)
特殊ナット+本ナット(無機ジンク・ずれ有り)
特殊ナット+本ナット(2種ケレン・ずれ有り)
0.8
0.75
0.7
すべり係数μ1
右図は試験前軸力によって算出したすべり係数の内,
特殊ナットの取り外しの有無および母板と連結板のずれ
ですべり係数比較できるケースの一覧です.
特殊ナットの取り外しの有無にかかわらず,すべり係数
に大きな違いは確認できませんでした.
母板と連結板のずれにおいて,ずれがない場合よりず
れがある場合の方がすべり係数はばらつきが大きくなる
傾向が分かりました.
また,すべり試験において2種ケレンの程度によってす
べり係数が0.4を満足することが分かりました.
0.65
0.6
0.55
0.5
0.45
0.4
リラクセーション特性
0.35
右図はナット締結後のボルト軸力の低下曲線です.
母板の接合面処理が2種ケレンのケースの内,特殊ナット
のみの場合(一面摩擦),特殊ナット+本ナットの場合(二面
摩擦)および
本ナットのみの場合(通常)のリラクセーション試験の結果
を示しています.
特殊ナットのみの場合がほかの場合に比べ軸力低下率
が1%程度上回ることが分かりました.
軸力低下率(%)
included special nuts
bolts
strengthNew
joints with high
Study on friction grip
Roman
14pt_Time
タイトル(英語)
「特殊ナットを有する高力ボルト摩擦接合の力学的挙動を解明!!」
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特殊ナットのみ
特殊ナット+本ナット
本ナットのみ(通常)
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時間(day)
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参考文献
1)溝口ら,両側に補強部材を連結する2段締めナットの開発,土木学会年次学術講演会講演概要集,2014.9
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