発 行●一般社団法人 長野県理学療法士会 代 表●市川 彰(佐久総合病院) 事務局●380-0836長野市南県町685-2 長野県食糧会館5F TEL:026-234-3540 FAX:026-234-3550 編 集●宮澤 正樹(鹿教湯三才山リハセンター三才山病院) 藤原印刷株式会社 51 特集:PTウォッチ~様々なフィールドで活躍されている理学療法士を紹介します!~ ……… 3 ・巻頭言 介護保険部長 小林 美秀 ………………………………………………………………………………… 2 ・おしらせ 健生会からのお知らせ …………………………………………………………………………………… 6 ホット!PTNo.8完成しました 駒ヶ根市と(一社)長野県理学療法士会との包括的連携に関する協定 ・こども福祉部情報 ………………………………………………………………………………………………… 9 ・学術の広場 「プロフェッショナルになるために」 …………………………………………………………………10 ・おすすめ!の一冊 「新しい認知症ケア」「排泄ケアブック」 ……………………………………………………11 ・北から南から 城西病院・佐久市立国保浅間総合病院 ………………………………………………………………12 ・徒然なるままに… 「伝えることのむずかしさ」 …………………………………………………………………13 ・あしあと 北信ブロック局研修会 ……………………………………………………………………………………14 ・賛助会員広告 ・編集後記 ………………………………………………………………………………………………………15 ……………………………………………………………………………………………………………18 巻 頭 言 介護保険部長 老人保健施設さくらの 小林 美秀 寒く長い冬がようやく終わりを告げるようにやわらかい日差しが届くような 日々となりました。春とは、本当にありがたい季節だなと痛切に感じています。 51 春の訪れを楽しみにうきうきと過ごそうと考え、なるべく忘れようとしていた 「平成 27 年度介護報酬改定」の時期がやってきてしまいました。 私が、広報部の方よりこの原稿依頼を受け今、パソコンに向かっているこの 2 月末の段階で改定の内容があきらかになってきました。 皆さんは、この改定を受けどんなことを感じられていますか?私は素直に「大 変なことになった」と感じています。理由は、介護報酬の引き下げが一番大きい ですがその他にリハ職に対する期待です。今回の改定では、訪問リハとデイケア でのリハビリテーションマネジメント強化が図られています。リハビリテーショ ンマネジメントとはリハスタッフが医師や看護・介護などの他職種と連携してリ ハビリ実施計画書を作成し利用者や家族に計画書の説明をし同意を得ること又、 定期的に見直しを行うことの過程のことをさします。この過程では、職種間で行 われる話し合いがとても大切とされています。今回の改定ではこの会議を「リハ ビリテーション会議」と呼んでいます。自立支援に向けたアセスメントや問題解 決型の取り組みは、我々の得意とするところです。われわれ主導で利用者のでき るところを伸ばし自立支援に向けた取り組みを行うことに国は期待しているので はないでしょうか。 社会保障制度に頼らないように地域で高齢者を支えていくことを目的とした 「地域包括ケアシステム」の構築に向け国は動き出しています。診療報酬・介護 報酬改定はこのシステム実現に向けた道しるべとして行われているといわれてい ます。「病院にいるから」「施設にいるから」よそのことは分からないではなくそ れぞれの改定内容に興味を持つことがこれから必要になると思います。 2 特集:「PTウオッチ」 ~様々なフィールドで活躍されている理学療法士を紹介します!~ 特集にあたって あなたが働く職場以外の世界をのぞいた事がありますか?あなたが関わる世界以外に興味はありませんか? 今回の特集では様々なフィールドで活躍されている理学療法士を紹介します! ○市役所で働く PT 長野市役所 宮入 綾子 私は、平成 26 年 4 月より長野市役所介護保険課に勤務しています。担当業務は、介護保険法に基づく介護 予防事業です。主な仕事の一つが、一次予防として、介護予防を広く普及啓発するために、地域の公民館や集 会所で開催される「サロン」「老人クラブ」等に呼んでいただき、老年症候群にならないよう心がけることや、 行っていただきたい運動について紹介する「出前講座」です。 いかに日常生活の中で取り組んでいただけるかどうかが勝負なので、生活場面をイメージしてお話し、参加 された方が、自分で運動の必要性に気づくよう、私からの一方的な話にならないように心がけています。人生 の先輩方とお話しするのは緊張しますが、多くの方とのふれあいは楽しい時間でもあります。 もう一つが、国保特定健診、後期高齢者健診等で行う基本チェックリストで介護予防の必要性の高い高齢者 に、市内の事業所に通って運動していただく二次予防としての「運動器機能向上事業」です。 長野市は市内の事業所にすべて実施委託しているので、その契約や支払い等の事務処理や現場確認が主な仕 事です。その他、地域包括支援センターの会議や訪問リハビリ指導(医療保険や介護保険ではないので 1 回の 指導のみ) 、地域で介護予防に取組むグループづくりのお手伝いやボランティア育成も担当します。 今後は 27 年度の介護保険制度改正に伴い、一次・二次の区別なく、互助・共助の仕組みを作っていくこと が主な仕事となります(勿論、自助・公助も更に進める必要があります)。 今後も、作業療法士、保健師、管理栄養士、 歯科衛生士、社会福祉士、ケアマネージャー、 健康運動指導士、地域の役員の方やボランティ ア、地域福祉コーディネーター等の多くの人達 と関わり、情報や思いのやり取りをしながら事 業を進め、年を重ねても「私もこんなことがで きる!」と、いきいきとお元気に過ごす高齢者 が増えていくように努めていきたいと思ってい ます。 News of the Nagano Physical Therapy Association No.51 3 ○訪問看護ステーションで働く PT 上田生協訪問看護ステーション 斉藤 暁 Q1 訪問看護ステーションで働くこと…病院との違いは? やはり、運転時間が長いという事でしょうか? 夏は日焼け止めクリームをそれなりに塗っていきますが、 右頬・右腕は黒光りしています。冬は凍傷寸前で足腰にホカロンをたくさん貼っています。もうひとつ、病室 と自室の違い。患者様の歴史がいっぱい詰まった空間で、訪問すると患者様から、逆にたくさんのことを教え て頂けます。生活をのぞきにいきますので、色々な方に出会えますし、いろんな場面に遭遇します。御本人は じめ、御家族、御近所の人…たまにこの方誰だっけ?と急な登場人物に、戸惑う事もあります。猫や犬、鳥、 かめとも仲良くなれます。 Q2 看護師さんとの連携 振り向けばそこに看護師さん…意識したことはないのですが、職種は問わず、訪問チームの仲間として接し ています。気軽に話せる関係で、日頃から患者様の心身の様子・家庭状況・好みと細かな情報をなんでも話 し、共有し、 『じゃあどうする』と談義します。Ns『4 時に清拭ではいったけど、○○さん水戸黄門好きだよ ね!』リハ『じゃあ導入は水戸黄門で準備体操だね!』などと実行に移します。朝礼では、特別共有する患者 様の状況を報告し合います。カルテに加え、昼休憩や、ちょっとした時間に、伝えたい相手を捕まえて、情報 や訪問の感想、今日披露した一芸や歌なども伝えます。 《スタッフ紹介のポスター~病院祭展示のため、毎年作成し ています。スタッフの名前を覚えてもらうために、希望さ れる方へ配布します。ちなみに私は、あなごさんです。》 4 Q3 増えている利用者の特色 対象年齢は 0 歳~ 100 歳以上、疾患も様々、病期も様々、一人暮らしの方から大家族まで、生活環境も様々 です。在宅生活を送られる、みなさんの共通の思いは、『何とか、自宅での生活を、長く、続けたい』です。 御本人・御家族それぞれの立場で、辛い思い、苦しい思いを受け止めつつ、緩衝材になりながら、快適に、気 持ちを明るく過ごせる様に、専門性を活かして、訪問チームの一員として事にあたっています。 Q4 訪問看護ステーションではたらく難しさ 訪問現場では一人だけ! 緊急事態には迅速な対応が必要です。時に看護師・医師に判断を仰ぎますが、そ んな余裕の無い時は、救急隊に連絡します。『このまま経過を看ていて大丈夫かな…』と後ろ髪惹かれる訪問 もあります。病状の判断に難しさを感じています。日頃から患者様の健康状態をしっかり把握するよう心掛け ています。 『心配だったら早めの受診』を促すことができ、人生のしめくくりについて、本人、家族とはなせ る関係性が築けるようにコミュニケーションを図っています。 Q5 訪問看護ステーションで働くおもしろさ 一番の面白さは、みなさんの《ありのままの~姿みれるのよ~♪》でしょうか。 それから、他職種の集まりの中で、『ああ、こうゆう見方もあったのか!』『こうやればいいのか!』と発見 が多く、自分の糧になっています。毎日、いろんな方に会い刺激をいただいています。 《ハンドベル隊…つたない演奏を聞いて頂けるお宅へ伺 い、練習の成果を披露します。 》 《クリスマス・誕生日は手作りカードを送ります》 News of the Nagano Physical Therapy Association No.51 5 お知らせ ○健生会(長野県理学療法士会 OB 会)からのお知らせ 健生会は長野県理学療法士会の OB 会として発足し、12 年目を迎えます。現在会員数は 25 名です。会員の 皆さんは「雇用延長で働いている方」 「心機一転、新しい職場に移られた方」「新規に事業を立ち上げられた 方」 「社会貢献や地域活動に専念されている方」「悠々自適に生活を満喫されている方」等々多彩です。 会の主な目的は、会員相互の親睦と情報交換です。会員条件としては「満 60 歳以上または理学療法士業務 を定年退職したもの」「現在または以前に長野県理学療法士会の会員として在籍したもの」となっています。 有志による任意の会ですが、該当者の入会を歓迎します。なお、平成 27 年度の例会は 5 月下旬に南信地区 の昼神温泉で開催を予定しています。 入会希望の方は下記事務局にご連絡ください、資料をお送りいたします。 健生会連絡先 〒 386-0153 上田市岩下 428-6 花岡利安 ℡ 0268-35-2495 携帯 090-2225-6604 ○広報部一般向け広報誌「ホット! PT」No.8 が完成しました。 理学療法見学会、施設内のイベントなどにどうぞご活用ください。 ご希望の方は事務局まで。 6 ○「駒ヶ根市と一般社団法人長野県理学療法士会との 包括的連携に関する協定」が締結される 事務局長 神津 哲也 去る平成 27 年 2 月 6 日(金)に駒ヶ根市役所において、長野県理学療法士会と駒ヶ根市との間で上記協定 の締結式が行われました。締結式には士会から市川会長・瓜尾副会長・佐藤会長・大羽保険局長・事務局長神 津が、駒ヶ根市からは市長・福祉部長・課長・担当課職員が出席しました。出席者が見守るなかで、市川士会 長と杉本市長が交互に協定書に署名をして、協定が締結されました。この協定は、現在駒ヶ根市が進めている 地域包括ケアシステムの構築に向けて、県士会が寄与していく事を目的としています。具体的には、地域住民 への普及啓発・リハ専門職の育成・リハ専門職の活動支援その他について、相互に連携協力してくことになり ます。 士会がこのような協定を自治体と結ぶことは初めてですが、今後自治体の包括ケアシステムへの取り組みが 進んでくると、他市町村とも協定を結んでいくことが考えられます。 News of the Nagano Physical Therapy Association No.51 7 8 こども福祉部情報 稲荷山医療福祉センターの紹介 吉竹・澤田 私たち稲荷山医療福祉センターは、北信・東信を中心とした地域の療育機関です。幼少期から障がいをお持 ちの方々やそのご家族が、地域社会の中で豊かな生活を送れるように、医療や多様な福祉サービスを用いて支 援しています。 主として、 外来診療、入所支援、通所支援、の3つの柱があります。 外来診療 ○小児科 一般小児科と、障がいをお持ちのお子様の診療を行う専門小児科があります。専門小児科では、お子様の状態 に合わせたより専門的な診察を行っています。 ○整形外科 小児整形の専門医や側彎専門医の診察を受けることができます。また、関節周囲筋解離術を中心とした手術も 行っています。地域の一般の方の診察も行っています。 ○その他に内科、歯科、リハビリテーション科があります。また、月 2 回小児精神科の診察もあり、多方面か ら利用者様を支援しています。 入所支援 定員 70 名(18 歳未満:医療型障害児入所施設、18 歳以上:療養介護)。現在、年齢は 1 歳から 30 歳代まで 様々です。就学前のお子様は、施設内にて保育活動を行っています。学齢期のお子様は、隣接する稲荷山養護 学校に通っています。養護学校を卒業した方は、施設内にて日中活動を行っています(あんず学級)。 通所支援 医療型児童発達支援センター「たんぽぽ」(定員 40 名)と生活介護「おひさま」(定員 15 名 /1 日)があり ます。 「たんぽぽ」は、現在小学生までのお子様に利用して頂いております。就学前のお子様は保育活動を行 い、学齢期のお子様は、放課後・長期休みのお預かりを行っています。「おひさま」は主に学校を卒業した在 宅心身障害者の活動を行っています。 この他に、障がいをお持ちの方々を一時的にお預かりする障害児短期入所事業があります。ご家族が病気や 冠婚葬祭のため介護が困難となった際に、ご利用できるサービスです。また、医療型児童発達支援センターの 重要な役割の一つに保育所等訪問事業があり、今年の 4 月から、地域の障がい児が在籍されている保育園や施 設を訪問して、支援方法等の指導・相談事業を開始する予定です。当センターは医療型のため、普段障害児保 育に携わっている保育士をはじめ、医師やメディカルソーシャルワーカー、理学療法士、作業療法士、言語聴 覚士が連携して、アドバイスを行えるというメリットがあります。 当センターは稲荷山養護学校と隣接しており、先生方と直接話す機会も多く、連携がとても取りやすい環境 になっています。学校の先生が、理学療法、作業療法、言語聴覚療法を見学する機会を設け、当センターの ケースカンファレスにも参加して頂き、お子様の情報交換や支援の参考にして頂いております。依頼があれ ば、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が学校を訪問して、授業を見学しアドバイスを行います。 障がいを持つ方々やご家族の目指す豊かな生活は、一人一人に違いがあります。安全に楽に呼吸ができるこ と、座位環境を整え食事や学校生活を楽しむこと、移動手段として車椅子操作や歩行を獲得し、それを維持す ること等、さまざまです。当センター理学療法士は、医師の指示のもと、利用者様やご家族の日常の生活場面 を考えながら、必要な環境や課題を提供し、利用者様自身が楽しさや快適さを感じ、興味を広げて、新しい運 動を発見していけるように援助しています。さらに、環境を整えるための車椅子、座位保持装置、装具などの 制作、また、ご家族の介助量を軽減できるように、トイレチェアー、シャワーチェアー等、各種補装具の紹 介、提供も行っています。 News of the Nagano Physical Therapy Association No.51 9 学術の広場 プロフェッショナルになるために~患者さんの声、聴いていますか?~ 鹿教湯三才山リハセンター 鹿教湯病院 岡村 良之 数年前からテレビで「プロフェッショナル~仕事の流儀~」や「情熱大陸」など第一線で活躍している 方々を特集した番組をよく観るようになりました。私たち理学療法士も協会の HP には、「…医学的リハ ビリテーションの専門職」というフレーズで紹介され、世間からも「リハビリのプロ」と扱われていま す。 ところで、 「プロフェッショナルってどういうこと?」 「スペシャリストと何が違うの?」…こんな質問 をされたら皆さんはどう答えますか? 私だったら、プロフェッショナルは「知識・技術に優れ、常に向 上心を持ち続けている人」 「一つの分野において精通している人」 、そして、スペシャリストとの違いは…? 正直、上手く答えられません。プロフェッショナルとは何かも知らずに「リハビリのプロフェッショナ ルです」なんて言ってもよいのでしょうか。そこで、何冊かの本を手にしてみました。 大前 1)は、プロフェッショナルを「感情をコントロールし、理性で行動する人であり、専門性の高い 知識とスキル、高い倫理観はもとより、例外なき顧客第一主義、あくなき好奇心と向上心、そして厳格な 規律を兼ね備えた人材」 、スペシャリストは「与えられた環境に適応して、その場その場において定めら れたやり方では誰よりも正しく、速く、上手に仕事をこなす」と述べています。また、高橋 2)は、一般 的なプロフェッショナルの定義を「高度な専門性を活用し、個別性が高い問題に対して第一線で創造的価 値を生みだす職業。政治的意図や株主価値、組織都合などのバイアスを排除し、クライアント(依頼主) の意向のみを重視する、極めて独自性の強い職業団体・職業集団」とし、瀧本 3)は、プロフェッショナ ルを「①専門的な知識・経験に加えて、横断的な知識・経験を持っている ②それらをもとに、相手の ニーズに合ったものを提供できるという条件を持ちわせた人材」と述べています。 これらからプロフェッショナルとは「顧客主義」であり、如何に「顧客のニーズ」に沿うことができる かが重要になります。理学療法士の一般的な顧客は「患者さんや利用者さん、又はそのご家族」であり、 日々知識や技術の研鑽に励んでいます。しかし、いつしか私たち自身の技術・知識の向上にのみ目が向け られてはいないでしょうか?研修会で学んだことを単に行ってみたり、細かな歩容の改善にのみこだわっ てみたり…きっとこうだろうと自分の価値観で患者さんのニ―ズを推測してしまっていたかもしれませ ん。 改めて本当の患者さんの声を聴く大切さに気づき、そのニーズに応えられる理学療法士でありたいと思 いました。 参考文献 1)大前研一:ザ・プロフェッショナル.ダイヤモンド社,2005 2)高橋俊介:プロフェッショナルの働き方.PHP ビジネス新書,2012 3)瀧本哲史:武器としての決断思考.星海社新書,2011 10 おすすめ!の一冊 会員の皆様のおすすめの書籍を紹介させて頂きます。 タイトル:「完全図解 新しい認知症ケア 医療編」 著 者:河野和彦(名古屋フォレストクリニック院長) 出版社名:株式会社 講談社 数年前まで医療現場で働いている際には認知症患者は少ないが訓練は難渋するとい う印象しかありませんでした。介護現場に職場を移しお会いする高齢者の平気年齢が 80 歳超という入居施設では 97% が認知症高齢者という現状の中で本書と出会いまし た。著者は“コウノメソッド”を提唱する認知症専門医で、はじめにで「コウノメ ソッドは河野和彦が開発した認知症の薬物療法マニュアル」と紹介されています。内容は薬物マニュアルにと どまらず、認知症の診断、原因疾患別症状、予防法と非薬物療法、治療、医療と介護(の認知症ケア)、認知 症に関する団体や支援サイトなどが図解入りで分かりやすく記載され、医療職のみならず、介護職や家族でも 読みやすい内容となっています。私は職場で介護職に認知症について質問され説明がうまくできない際に本書 をよく引用し利用させていただいています。皆さまもぜひご一読してみてください。 介護老人福祉施設 こころ 丸山 玲子 タイトル:「コンチネンスケアに強くなる 排泄ケアブック」 編 著:西村かおる(日本コンチネンス協会会長) 出版社名:株式会社 学研メディカル秀潤社 みなさんは日頃、患者様、利用者様の排泄に注目して、リハビリテーションアプ ローチをされていますか? 私は 9 年前まで回復期リハ病棟で勤務し、現在は訪問リ ハビリ専任で業務を行っていますが、病院内で働いている時は、単に「頻尿」とか 「便秘」とかいう大きなくくりでしか排泄障害を捉えられていなかったことを覚えて います。ですので、なかなか排泄障害をリハビリテーションに関連付けて考えること ができませんでした。しかし、在宅現場で働くようになると、多くのケースで排泄の問題が本人や家族、関わ るスタッフにとってとても大きな問題となっていました。そんな、「排泄初心者」の私にも基礎からとてもよ く分かったのが本書です。排泄に関する解剖や生理学の解説から始まり、薬物治療や環境設定のアドバイスま で幅広く、かつ分かりやすく述べられています。この本がきっかけとなり、今では利用者の排泄状況を積極的 に情報収集し、アプローチに組み込めるようになりました。皆さんもぜひご一読ください。 鹿教湯三才山リハセンター鹿教湯病院 古田 大樹 *広報部では皆様からの「おすすめ!の一冊」を募集しております。 ご希望の方は広報部までお問い合わせください。 News of the Nagano Physical Therapy Association No.51 11 北から南から ●城西病院 城西病院の紹介をさせていただきます。当院は松本城の西に位置し城西病院と書いて「しろにしびょうい ん」と読みます。愛知県や茨城県にも城西病院という名の病院はありますが全く関係はありません。因みに google 検索で一番最初にくるのが当院です。 当院は回復期リハ病棟、医療・介護療養病棟を有する回復期から慢性期医療を提供する病院です。スタッフ は常勤 13 名、パート 1 名でのんびりと働いています。今年度から重症心身障害児者を対象としたレスパイト 目的の入院病棟を 18 床開棟する 予定ですが諸事情によりまだ始 まってはいません。周りの施設も やきもきしているとは思います が、当事者の我々が一番やきもき しているのでもう暫くお待ちくだ さい。 トラブルの連続ですが『いつも 優しく』 (当院のキャッチコピー) をモットーにみんなで力を合わせ て頑張ってます! 横山 大輔 ●佐久市立国保浅間総合病院 当院は、北に浅間山、南に八ヶ岳の雄大な姿を望む東信地区の真中に位置し、開院は昭和 34 年、今年で 56 歳を迎えます。急性期病棟に介護療養型病棟、医療療養型病棟と介護老人保健施設を併設し、急性期から慢性 期そして訪問までのリハビリを行っております。職種の構成は PT:11 名 OT:4 名 ST:4 名 視能訓練 士:3 名 計 22 名のスタッフ体制となっています。また年齢構成は、50 代から 20 代までの幅広い構成になっ ており、安定した組織運営がされています。323 床の病院規模からみると、スタッフ数が少なめですので、忙 しさで毎日充実した日々を過ごし ております。理学療法は主に、整 形外科疾患、脳血管疾患、廃用症 候群、小児を対象としています。 当院は市立病院ですので、市の運 営している施設、障害児の母子通 園施設や特養でも、リハビリテー ションサービスを提供し、広く市 民に利用していただけるように、 努めております。 12 神津 哲也 リレーエッセイ 「伝えることのむずかしさ」 医療法人健救会 柳澤病院 北村 美樹 私は現在、院内研修会にてポジショニングについて発表するための準備を進めています。先輩と 3 人 での発表ですが、人前で話す機会を頂くことはあまりないのでとても緊張しています。 入職 1 年目から褥瘡委員を任せていただきましたが、これまで何かアクションを起こすことはほとん どできませんでした。しかし、ある研修会で多職種の方が褥瘡やポジショニングについて発表しているの を聞き、私も PT としてもっと頑張らなくてはと痛感しました。 研修会後は先輩方にも協力していただき、病棟のスタッフにポジショニングの伝達を行なったり、病室 にポジショニング写真を貼ったりと患者様に関わるスタッフ間で考えの共有を図ろうとしてきましたが、 上手く伝わらないことが多くありました。しかし、院内のポジショニングに対する考えは少しずつ変わっ てきています。今回の発表は大きなチャンスだと思うので、しっかりと伝えられるように頑張ります。 News of the Nagano Physical Therapy Association No.51 13 あしあと 北信ブロック局研修会 長野赤十字病院 山﨑 豊 昨年12月23日、篠ノ井総合病院に於いて北信ブロック局研修会が開催されました。講師に飯山赤十字病院の 山岸茂則先生をお招きし、「物理の一般法則からとらえる胸郭とそのアプローチ」というテーマでご講演を頂 きました。講義では、人体の中で胸郭は大きく、重量があり、その性質(物性)により下肢など身体へのスト レスが変化する事、弾性を高めて形を変化させやすくすることでポテンシャルエネルギーの発生や、慣性モー メントが減少される事などについての理論を、一般的な物理の法則を用いて解説して頂きました。実技では講 義内容に基づき評価、アプローチを行い体感することが出来たと思います。またポイントとして治療は患者さ んに近づく前から始まっており、余計な緊張を与えないよう侵害刺激を排除することが必要であり、やわらか い刺激から入っていくことも重要であると教えて頂きました。 14 News of the Nagano Physical Therapy Association No.51 15 16 News of the Nagano Physical Therapy Association No.51 17 原稿掲載依頼 「PT ながの NEWS」へ原稿の掲載をご希望される方は、広報部までご連絡をお願い致します。 メールアドレス:[email protected] 編集後記 春になり陽気も暖かくなってきました。サイクリング、マラソン、登山などのシーズンになってきました。個人的 には今年からマウンテンバイクを始めてみたいと思っています。皆さんも何か始めてみてはどうでしょうか? 内藤 一也 事務局移転のお知らせ 住所・電話番号をお間違いのないように。 (一社)長野県理学療法士会事務局 〒 380-0836 長野市南県町 685-2 長野県食糧会館 5F TEL:026-234-3540 FAX:026-234-3550 (一社)長野県理学療法士会ホームページ http://www.pt-nagano.or.jp 18
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