坂本龍馬の生涯と幕末・維新:人間じんかん史学習の試み

社会科単元計画・学習指導案を書くために:2015.10.12
坂本龍馬の生涯と幕末・維新:人間 じんかん 史学習の試み 成田喜一郎
1.単元名 開国と幕府の滅亡:坂本龍馬の生涯を中心
2.単元の目標
○幕末に生きたひとりの人物、坂本龍馬の生き方と彼の出会ったさまざまな人物との交流の歴史を通して、欧米諸国の接近とそれへの幕府の対応から開国と幕府の滅亡に至る過程
のあらましを理解し、他者に説明することができる。
○また、国際的な視野や広いものの見方の大切さ、歴史における人物及び人間関係の果たす役割に気づくことができる。
3.単元設定の理由(単元観)
本単元は、中学校学習指導要領 社会〔歴史的分野〕(6)のウ「幕府政治の行き詰まり
と開国」をもとに、「国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上
の人物に対する生徒の興味や関心を育てる指導に努めるとともに、それぞれの人物が果
たした役割や生き方などについて時代的背景と関連付けて考察させるようにすること」
(平成元年 『中学校学習指導要領 』社会〔歴史的分野〕内容の取扱い(1)イ)とい
う点に留意して設定されたものである。
坂本龍馬は、1835(天保6)年、土佐の高知に生まれ、
1867(慶応3)年、京都の近江屋で暗殺される。33歳という短い生涯ではあったが、開国か
ら幕府の滅亡に至る時代の急激なる変化の中を、国際的な広い視野に立ってわが国の将
来を考え、行動したひとりの歴史上の人物として、注目に値する。
4.生徒の実態(生徒観)
最近、一般に言われるような生徒の「歴史離れ」が目につく。実際に、社会科の学習
指導を行ってみると、全体として歴史的分野に対する生徒の興味・関心は、十年ほど前
に比べかなりの程度低下している。
歴史が嫌いな生徒の大半は、歴史への興味・関心を持つ術をほとんど持ち合わせてい
ないと言っても過言ではない。
それは、現代の高度情報化社会において生徒たちは、以前に比べ、自分の日常生活、趣
味・遊び・スポーツ・勉強などにおける即時的な情報の選択と活用が求められるという
多忙な個人生活に大半の時間を割かざるを得なくなった。従って、彼らは、極自然な形
で家族や地域の人々などから、それとなく歴史や人物が語られ、伝えられるというの歴
史的文化的伝承の体験が減少し、歴史への興味・関心を持つ術を容易に形成することが
できなくなっている。
しかし、一方で、少数派ではあるが、滅法歴史が好きな生徒がわずかながらいるのも
事実である。彼らの好みは、主に三国志の時代やわが国の戦国時代の歴史上の人物へ傾
斜している。彼らは、事細かな歴史的事実やエピソードをよく知っており、またかなり
具体的なイメージを持っていることが多い。
また、狩野派の画家でもあり、ジョン(中浜)万次郎から海外事情を聞き出し『漂
巽紀略』を著した土佐の河田小龍や小学校における人物学習の中で学ぶ勝海舟・西郷
隆盛・木戸孝允との出会いは、歴史の発展における人物とそのネットワーク(人間じ
んかん史)の果たす役割の大きさにも気付かせてくれる。
従って、開国から幕府の滅亡に至る時代の変化と坂本龍馬の思想と行動の変遷とを重
ね合わせながら、本単元の教材(学習財)の内容と構成を考えたい。
それは、なぜかというと、まず、人気のファミコン・ソフト「三国志」「信長の野望 戦国群雄伝」などにチャレンジした経験を持っていることが挙げられる。そして、その
経験の前後には、自ら進んで活字の『三国志』などを読んだ経験を持っていることも指
摘しておきたい。従って、彼らは、激動の時代に登場する歴史上の人物とその歴史的背
景に関する具体的な情報を持っているのである。
つまり、昨今の現象は、「歴史離れ」などではなく「歴史知らず」から来る歴史嫌い
である、と言っても過言ではない。従って、この問題を解決するためには、まず、歴史
への興味・関心を持つ術を持たせる必要があるが、そのためには、特に、「激動の時代
における歴史上の人物」の学習が、「歴史 知らず」の生徒の目を覚ます、ひとつの有
効な方法であると考えられる。
そして、われわれ社会科教師は、ファミコン・ソフトにそれを任せるのではなく、自ら
の力で、歴史と人物を編み込むための教材(学習財)研究と授業実践を行わなければな
らない。
1
5.単元の評価規準(加筆)
単元の目標
○幕末に生きたひとりの人物、坂本龍馬の生
き方と彼の出会ったさまざまな人物との交
流の歴史を通して、欧米諸国の接近とそれへ
の幕府の対応から開国と幕府の滅亡に至る
過程のあらましを理解し、他者に説明するこ
とができる。
○また、国際的な視野や広いものの見方の大
切さ、歴史における人物及び人間関係の果た
す役割に気づくことができる。
社会事象に関する関
心・意欲・態度
坂本龍馬の生涯を通
じて、幕府が対外政
策を転換して開国し
たことに対する関心
を高め,その政治的
および社会的な影響
について意欲的に追
究しようとしてい
る。
社会的な思考・判断・
表現
坂本龍馬の生涯を通
じて、欧米諸国のアジ
アへの進出や開国が,
幕府や社会に与えた
影響について多面
的・多角的に考察し,
その過程や結果を適
切に表現している。
資料活用の技能
坂本龍馬の生涯を通
じて、開国するまでの
経緯や,開国後に攘夷
運動が高まり江戸幕
府が滅亡に至るまで
の過程について,様々
な資料を活用し,読み
取ったり図表にまと
めたりしている。
社会的事象に関する
知識・理解
坂本龍馬の生涯を通
じて、欧米諸国のアジ
ア進出を背景に,幕府
が対外政策を転換し
開国したことで,幕府
への批判が高まり江
戸幕府が滅亡したこ
とを理解し,その知識
を身に付けている。
(注:4つ観点別評価については、教科書会社Aの評価規準表を参照した)
6.単元計画 「開国と幕府の滅亡:坂本龍馬の生涯を中心に」( 6時間扱い)
時
1
2
3
4
5
6
各時の主題/学習内容
欧米諸国の接近と龍馬の少年時代
龍馬が生まれた1835(天保6)年11月15日から、剣術修業のため江戸に赴く1853(嘉
永6)年3月までの時期を中心に、欧米諸国の接近の様子を理解し、その理由を考
える、また生徒の興味・関心に留意しながら、龍馬がどのような少年時代を送っ
たのかをつかむ。
ペリー来航と江戸に来ていた龍馬
1853(嘉永6)年6月、ペリーの来航の原因と背景、幕府の対応と江戸庶民の「黒船
騒ぎ」のありさまを理解するとともに、江戸に来ていた龍馬の生活と行動、特に
「黒船」以後、尊王攘夷運動へ身を投ずる龍馬に気づく。
開国と通商条約~河田小龍との出会い
日米和親条約と日米修好通商条約の主な内容をつかみ、開国や不平等条約の締結
など歴史的意義を理解する。また、ジョン(中浜)万次郎からアメリカの事情を
聞き出していた河田小龍との出会いから、龍馬が世界への目を開かれたことに気
づく。
開国後の社会と経済~勝海舟との出会い
安政の大獄や桜田門外の変、開国後の経済混乱など開国による社会・経済上の変
動について理解する。また、1860(万延元)年に渡米した経験を持つ勝海舟との出
会いから、龍馬が、なぜ、攘夷論者から開国論者へと転換するのか考える。
尊王攘夷から薩長同盟へ~西郷と木戸を結ぶ
尊王攘夷運動から薩長同盟の成立に至る歴史過程のあらましを理解する。また、
龍馬は、なぜ、西郷隆盛と木戸孝允との間を取り持ったのか考える。
龍馬の構想~新しい国づくりの夢(本時)
坂本龍馬の「船中八策」の読み取りを通じて、どのような統一国家建設のデザイ
ンをしたのか理解し、「船中八策」の作者が時代に先駆けて、思想と行動を転換
させることができた理由を考えることができる。
評価方法
○関心・意欲・態度
○知識・理解
○思考・判断・表現:キーワード&コメント
○知識・理解
○思考・判断・表現:キーワード&コメント
○知識・理解
○思考・判断・表現:キーワード&コメント
○知識・理解
○思考・判断・表現::キーワード&コメント
○知識・理解
○思考・判断・表現:キーワード&コメント *次時への課題の提示
○資料活用の技能:ノート
○知識・理解
○思考・判断・表現「龍馬への手紙」(深い振り返り=観想・省察の方法)
2
7.本時の学習 「龍馬の構想:新しい国づくりの夢」<第6時>
(1)ねらい
坂本龍馬の「船中八策」の読み取りを通じて、どのような統一国家建設のデザインをしたのか理解し、「船中八策」の作者が時代に先駆けて、思想と行動を転換させることがで
きた理由を考えることができる。
(2)本時の展開
序
(導入)
15
破
(展開)
20
急
(終結)
15
学習内容/学習活動
◉龍馬の思想や行動はどのように変わってきたのか、資料を
読み確認する。
・資料「短刀・ピストル・万国公法」
◉変わり身の早い龍馬
・龍馬の生涯と時代を重ね合わせ、考える。
◉時代を先取りする龍馬
指導と援助
◉資料に基づき、確認する。
・短刀期 :尊王攘夷運動に走る龍馬
・ ピストル期:薩長を結び討幕につくす龍馬
・万国公法期:統一国家建設の構想を立案する龍馬
◉前時の課題「『船中八策』」を生徒が発表し、その歴史的意
義を理解する。
①大政奉還(1867年)*
②五か条の御誓文(1868年)・帝国議会(1890年)
③五か条の御誓文(有能な人材の登用、1868年)
④領事裁判権の撤廃(1894年)
⑤関税自主権の回復(1911年)
⑥大日本帝国憲法の制定(1889年)
⑦海軍省の設置(1872年)
⑧銀比価の是正・金本位制への移行(新貨条例、1871年)
*:唯一生前に実現
◉龍馬が、なぜ、国際的な視野に立った統一国家のデザイン
を持ちえたのか、本単元の学習全体を振り返り、考える。
◉事前に①②④⑤⑥⑧策について調べ、『船中八策』の内容と
その影響を中心に、5W1Hの観点で発表させる。
・『船中八策』が国際的な視野に立った統一国家の構想であ
ったこと。
評価の観点・方法
○資料活用の技能
○思考・判断・表現
・ノート
○知識・理解
◉生前に実現した策はなんだったのか。
○思考・判断・表現
◉龍馬の詠んだ短歌「心からのどけくもあるか野辺はなほ雪げ
ながらの春風ぞふく」を鑑賞する。
・大政奉還の知らせを受けた龍馬の喜びに気づかせる。
◉河田小龍や勝海舟などの出会いの意味を想起し、考えるヒ
ントを得る。
・国際的な視野や広いものの見方の大切さと歴史における
人物及び人間関係・交流の果たす役割をつかむ。
◉創作構成物「坂本龍馬への手紙」と解題を書く。
○関心・意欲・態度
・ノート
○知識・理解
○思考・判断・表現
・創作構成物・解題
9.資料
【資料①】[短刀・ピストル・万国公法]
ある日、龍馬は、同じ土佐の古い同志にであった。そのとき龍馬は、その長刀を冷やかに眺めて、「無用の長物。いざという時に、かえって役にたつまい」といって、普通より少
し短い自分の刀を示した。
しばらくたったある日、その同志はふたたび龍馬に出会った。すると、龍馬は、いきなりふところからピストルを出して、一発ぶっぱなした。
「これが西洋の新しい武器だ、よく見ておけ」といったという。
それから三度目、またふたりが一緒になった時、龍馬はこんなことをいった。「これからの世の中は、武力だけでは役にたたぬ。学問が大切だ。
おれはいま『万国公法』を読んでいるが、これが非常に面白い。」と。
一冊の本をとり出したとのことである。
池田敬正(1965)『坂本龍馬』中公新書 より要約
3
【資料②】[年譜・坂本龍馬とその時代]
年譜・坂本龍馬( 1835-1867)とその時代
坂本龍馬の年譜
土佐の高知に生まれる( 11月 15日)
〈少年期〉:洟たれ泣き虫夜ばあたれ
剣術を学び始める(14歳)
〈短刀期〉:尊王攘夷運動へ
剣術修行のため江戸に出る(19歳)
父・坂本八平に手紙を書く(江戸で黒船来航を知り、攘夷を誓う)
帰国し、河田小龍に会う(20歳)
再び、江に出る(22歳)
〈ピストル期〉:討幕運動への転換
脱藩し、勝海舟に会う(28歳)
横井小楠を熊本に訪ねる(29歳)
京都で西郷隆盛に会う(29歳)
下関で木戸孝允に会う(30歳)
亀山社中をつくる(30歳)
薩長同盟を成立させる(31歳)
お龍と霧島へ新婚旅行にいく(31歳)
〈万国公法期〉:統一国家建設へのデザインづくり
海援隊の体調となる(32歳)
『船中八策』を後藤象二郎に示す(32歳)
京都の近江屋で暗殺される( 11月 15日、享年 33歳)
西暦(元号)
1835(天保06)年
1840(天保11)年
1848(嘉永元)年
主な歴史の流れ
天保の飢饉の真っ最中/天保の改革始まる
アヘン戦争が起こる(〜42年南京条約)
1853(嘉永08)年
ペリーが来航する(黒船来航)
1854(安政元)年
1856(安政03)年
1858(安政05)年
1859(安政06)年
1860(万延元)年
日米和親条約が結ばれる.日英・日露とm同様の
1862(万延02)年
1863(万延03)年
1864(元治元)年
生麦事件が起こる
長州藩が外国船を砲撃する、薩英戦争が起こる
四国艦隊が下関砲撃事件が起こる
第一次長州征伐が行われる
日米修好通商条約が結ばれる
安政の大獄が起こる
勝海舟が太平洋を横断する
桜田門外の変が起こる
1865(慶応元)年
1866(慶應02)年
世直し一揆。うちこわしが頻発する
第二次長州征伐が行われる
1867(慶應03)年
民衆の「ええじゃないか」踊り広がる、
倒幕の密勅が下る、大政奉還❶が実現する
王政復古の大号令がなされる
1868(明治元)年
明治維新、五か条の誓文❷❸・五榜の掲示が出される
1871(明治03)年
金銀比価が是正され、金本位制に移行する❽
1872(明治05)年
海軍省が設置される❻
坂崎紫蘭『汗血千里の駒』(龍馬伝記)、土佐の土陽新聞に載る
1873(明治06)年
徴兵制度が始まる❼
1874(明治07)年
板垣退助・後藤象二郎ら、民撰議院設立建白書を出す
1883(明治16)年
自由民権運動が起こる(1870年代半ば〜1880年代半ば)
1897(明治20)年
金本位制が確立する❽
1889(明治22)年
大日本帝国憲法が発布される❺
1890(明治23)年
帝国議会が開かれる❷
1894(明治27)年
領事裁判権が撤廃される❹
『藩論』(龍馬の作?)がジャパンクロニクル誌に英訳される
1911(明治44)年
関税自主権が回復する❹
(主権在民思想が見受けられる)
1946(昭和21)年
日本国憲法が公布される
Q1.坂本龍馬を中心としたこの年表をよく読んで、全体として気がついたことを挙げてみよう。
Q2.河田小龍・勝海舟という人物に共通することがらや異なることがらを挙げてみよう。
Q3.亀山社中・海援隊って何だろう、予想してみよう。
4
【資料③】「船中八策」 ☆印について、教科書の先読みをしてみよう。
☆①「第一 天下の政権を朝廷に奉還せしめ、政令よろしく朝廷より出づべき事。」→ 大政奉還(1867年)
☆②「第二 上下議政局を設け、議員を置きて万機を参賛せしめ、万機よろしく公議に決すべき事。」→五か条の御誓文(1868年)・帝国議会(1890年)
③「第三 有材の公卿(くぎょう)・諸侯および天下の人材を顧問に備へ、官爵を賜い、よろしく従来有名無実の官を除くべき事。」→五か条の御誓文(有能な人材の登用、
1868年)
☆④「第四 外国の交際を広く公議をとり、新に至当の規約を立つべき事。」→国際交流・領事裁判権(治外法権)の撤廃(1894年)、関税自主権の回復(1911年)
☆⑤「第五 古来の律令を折衷し、新に無窮の大典を撰定すべき事。」→ 憲法の制定・大日本帝国憲法(1889年)
⑥「第六 海軍よろしく拡張すべき事。」→海軍省の設置(1872年)
☆⑦「第七 御親兵を置き帝都を守衛せしむべき事。」→藩兵から国民皆兵へ・徴兵制(1873年)
☆⑧「第八 金銀物貨よろしく外国と平均の法を設くべき事。」→金銀比価の是正・金本位制への移行(新貨条例、1871年)・金本位制の確立(1897年)
10.本時の板書計画
6 龍馬の構想〜新しい国づくりへの夢 資料「短刀・ピストル・万国公法」 → 龍馬を時代の一歩先をゆく 資料「船中八策」とは何か? 未来の国家デザイン ① G5の報告板書 龍馬は、なぜ、それができたのか?(正解はない?!) ② G4の報告板書 各Gの予想は? ③ 五か条の御誓文(有能な人材の登用、1868年)* 授業者 ○(予想の予想1:世界を動きを知ることができた) ④ G6の報告板書 ○(予想の予想2:立場の違う人の話も聞けた) ⑤ G1の報告板書 ○(予想の予想3:いつも遠くを見つめていた) ⑥ 海軍省の設置(1872年)*授業者 ⑦ G3の報告板書 創作構成物「龍馬への手紙」と解題を書こう! ⑧ G2の報告板書 5
11.参考文献・資料
①坂本龍馬に関する文献
・池田諭(1964)『坂本龍馬 平和と統一の先駆者』大和書房
*池田敬正(1965)『坂本龍馬』中公新書
・木暮正夫(1974)『幕末にかがやく星 坂本龍馬』さえら書房
・(1983)『坂本龍馬 現代視点・戦国・幕末の群像』旺文社
・砂田弘(1985)『坂本龍馬 明治維新の原動力』講談社火の鳥伝記文庫
・永原慶二監修(1988)『坂本龍馬 学習漫画・日本の伝記』集英社
・芳岡堂太(1990)『坂本龍馬 男の値打ち』三笠書房
②その他の人物に関する文献
*大江志乃夫(1968)『木戸孝允』中公新書
*松浦玲(1968)『勝海舟』中公新書
・中浜明(1970)『中浜万次郎の生涯』冨山房
*井上清(1970)『西郷隆盛(上)』中公新書
・(1983)『勝海舟 現代視点・戦国・幕末の群像』旺文社
③幕末・維新期に関する文献
*石井孝(1975)『明治維新の舞台裏(第2版)』岩波新書
*芝原拓自(1977)『世界史のなかの明治維新』岩波新書
*南和男(1980)『維新前夜の江戸庶民』教育社歴史新書
・加藤祐三(1985)『東アジアの近代』講談社
*加藤祐三(1988)『黒船異変-ペリーの挑戦-』岩波新書
(注)*印:主として研究文献、・印:生徒向け文献
出典:
高山博之ほか編(1991)
『現代社会科実践講座第10巻:日本の歴史の学習②-歴史的内容の授業Ⅱ-』
現代社会科教育実践講座刊行会
(大幅に加筆修正)
*解題*
当時(1990年代)の単元計画・学習指導案には「評価規準」を明記することはなかった。現在では「評価規準」を明記することが通例となっている。
この授業は、いわゆる教師の発問によって生徒の思考・発言を引き出してゆく知識伝達型の授業である。現在では、課題を発見し解決に向けて、生徒が主体的共同に他者と関わ
りながら思考を広げ深めてゆく知識構成型の授業(アクティブ・ラーニング)の実践が求められている。
その意味では、単元の1時〜5時までは教師主導の知識伝達型授業ではあるが、教師の教材=「学習財」研究、単元構成法などの視点を参考にして欲しい。
第6時に、前時の課した課題をもとに、ゆるやかなアクティブ・ラーニングを行う計画を立てた。
とかく授業技術や授業方法に目が向きがちの昨今ではあるが、その生徒の学習内容・教材(学習財)研究にとのバランスを重視したい。(2015.10.11、成田喜一郎)
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