健 康 が 最 高 の サ ー ビ ス に つ な が る

業省と東京証券取引所により初代「健
をいただけるフライトを形作るために
に航空機を飛ばし、お客さまにご満足
健 康 経 営 銘 柄への 取 り 組 み
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A
J
」を
策定し、取り組みを開始しました。
康 推 進 施 策「
健 康が最 高のサービスにつながる
康経営銘柄(※)
」に選定されました。
は、そこにかかわるすべてのスタッフ
J A L グ ル ー プ で は「 安 全・ 快 適
J AL グ ル ー プ の 社 員 に 対 す る 健
の健康が不可欠である」という考えの
2015 年 月、日本航空は経済産
康保持・増進への取り組みがいろいろ
もと、これまで社員の健康管理に取り
今 回、 そ れ ら の 取 り 組 み に つ い て
な 観 点 か ら 対 外 的 に も 評 価 さ れ、
「社
となって意識高く取り組んでおり、経
「全社横断」「客室乗務員」「運航乗務員」
組んできました。
営的な視点でもお墨付きを得たという
の担当者がご紹介します。
員の健康」に対して会社と現場が一体
ことになります。
│
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J
「 」の具体的
な内容を教えてください。
J AL健康保険組合と連携して、健
診データなどから課題を抽出し、生活
J AL グ ル ー プ と し て の 全 社 横 断
提供するには、運航乗務員や客室乗務
念であるお客さまに最高のサービスを
につながるよう働きかけを行ったも
における健康への意識と行動の改善
への対策を柱として、特に日常の生活
◉ 全 社 を 横 断 し た 取 り 組み
つ
的な健康への取り組みについて、日本
員はもちろん、整備や空港のグランド
習慣病、がん、メンタルヘルスの
航空健康管理部部長の真行寺誠がご紹
のです。
目指すというビジョンのもと、企業理
客さまに選ばれ、愛される航空会社を
取 り組みを始めた理由は。
J AL グ ル ー プ で は 世 界 で 一 番 お
1000名を超 え、健 康への自己
(2012 〜 16 年 度 )と 連 動 し た 健
組み項目のひとつとして中期経営計画
ます。そこで会社としての重要な取り
員の心身の健康が不可欠と考えてい
航空機のなかは、極度に乾燥してお
メッセージとともに社員参加型の
る航空会社を目指そう」という
で一番お客さまに選ばれ、愛され
① 社長からの「社員の元気で、世界
介します。
」を全グルー
り、また飛行中は少し機首が上がって
全 社 を 横 断 的 に 巻 き 込 ん で、 積 極
斜のなかでの仕事となります。荷物の
いる状態であるために実は常に軽い傾
k
o
o
B
y
M
的 な 参 加 を 促 し て き た こ と に よ っ て、
ある食事カートを使ってサービスする
してもらい、健康に対する意識の高ま
② 全国の各事業所・各職場で計134
名の「ウェルネスリーダー」を選
上げ下げや最高時には
kg 近く
J AL グ ル ー プ の 多 く の 社 員 に 参 加
けた取り組みを行うよう促す活動
そのようななかで、すべての客室乗
など、体に大きな負担がかかります。
今後も、社員が元気になることで最
務員が健康に業務するためには、乗務
りが出てきています。
高のサービスにつなげられるよう継続
③ 各地で職場横断的な運動会や健康
セ ミ ナ ー、 ウ ォ ー キ ン グ 大 会 を
前 後 の 準 備・ メ ン テ ナ ン ス が 不 可 欠
施しています。これは、フライトに向
私たちすこやか増進室では、すべて
ま た、 到 着 後 に も ク ー ル ダ ウ ン し、
いうことですが、どのようなサポート
ずウォーミングアップとして体操を実
J AL の 客 室 乗 務 員 は 出 発 前 に 必
ど のような準備・メンテナンスを
しているのですか。
│
アップなどを行っています。
です。それらの企画や実行、フォロー
して取り組んでいきます。
〜すこやか増進室の取り組み〜
お客さまと機内で直接接する客室乗
想像よりも過酷な機内環境の下で、ア
の客室乗務員が心身ともに健康で生き
リフレッシュするため、ストレッチを中
けて心と身体を準備するために実施し
スリート並の運動量の業務を行ってい
生きとフライトができるよう、さまざ
心とした整理体操を実施しています。
乗務で使った筋肉は、積極的に手入
ア スリート並の運動量をこなすと
そ の他、客室乗務員向けに何か特
別な取り組みを行っていますか?
│
にも役立っています。
ラックス効果を高め、体内時差の解消
行って血行を良くします。これは、リ
疲労を引き起こすため、ストレッチを
残る客室乗務員であるためには客室乗
か増進室所属のチーフキャビンアテン
り組みを、客室乗員サポート部すこや
が行っている客室乗務員の健康への取
ライトできることが重要です。J AL
れをしなければ血行が悪くなり、筋肉
ている取り組みです。
ます。常にお客さまに最高のサービス
まな取り組みを行っています。
を行っているのですか?
◉お客さまの心に残る客室乗務員を目指して
開 催 し て い ま す。 そ の 参 加 者 は
をしています。
~
び、健康への意識改革や健康に向
プ社員に配布しています。
小 冊 子「
管理意識の向上に寄与しています。
│
スタッフ、グループ会社スタッフ全社
3
を提供し、いつまでもお客さまの心に
務 員。
「 い つ も 笑 顔 」 の 裏 で は、 実 は
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※経済産業省と東京証券取引所が共同で、従業員の健康管
理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業
を業種ごとに1社選出するもの。あわせて「財務面のよ
さ」も条件となるため、選出されることで投資家からの
評価や株価の向上が期待される。
乗務前の体操
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務員一人一人がまずはいつも元気にフ
好永 典代(2002 年入社)
日本航空 室乗員サポート部
すこやか増進室
チーフキャビンアテンダント
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明日の翼 Vol.05
明日の翼 Vol.05
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ダント好永典代がご紹介します。
│
小冊子「My Book」
社員と家族の心身の健康管理
(意識向上)を目的として、疾
病やその対策(情報)を紹介し
ている。巻末は、自身の取り組
みを「宣言」し、家族とPDCA
を共有する内容。
真行寺 誠(1987 年入社)
日本航空 健康管理部部長
3
もどこでもストレッチやエクササイズ
れており、自宅や宿泊先など、いつで
末 内 に は、
「腰痛予防体操」が配備さ
室乗務員が使用しているタブレット端
室乗務員は、腰痛予防も重要です。客
立ち仕事であり、機内を動き回る客
く笑顔の源としているのです。
体づくりを実践し、お客さまの心に届
ンテナンスと、エクササイズによる身
乗務員は、ストレッチによる身体のメ
運動量をこなさなければならない客室
このように日々のフライトで多くの
の状況に応じたケアを実施しています。
時間世界中を飛んでいるすべての
が実施できるようにしています。
腰痛予防体操には、凛とした姿勢を
航空法やその関連する規則・通達な
ているのですか?
ンスを発揮し、すべてのお客さまに最
どで定められているのですが、幅広い
客室乗務員が機内で最高のパフォーマ
高のサービスを提供できるよう、私た
分野にわたった検査が実施されます。
長時間保つための腹筋や体幹を鍛える
回、専門のトレーナーが声がけをしな
ちすこやか増進室メンバーはサポート
エクササイズもあります。さらに週
がらオフィスを巡回してマンツーマンで
例えば、全身状態、呼吸器系、循環
器系、消化器系、血液・造血器系、腎
臓・泌尿器系、運動器系、精神神経系、
眼科系、耳鼻咽喉系など多岐にわたり
ます。それぞれが厳しく定められた基
てはなりません。そこでパイロットは、
活では何ら支障がないレベルであって
準をもとに詳細に検査され、日常の生
「パイロットが風邪をひいたらフライ
も、この基準に適合しなくなるとパイ
ります。そのため、パイロットは日頃
法律によって、操縦する航空機の種類
「航空身体検査証明」の取得がフライ
より健康への意識が非常に高く、厳し
トはどうなるのでしょうか?」という
際、パイロットの体調管理はどのよう
トするための絶対条件となります。こ
ロットは航空機への乗務ができなくな
になっているか気にされる方は少なく
れは、パイロットが航空機に乗り組ん
別に必要となる「技能証明」のほかに、
ないようです。その点を運航乗員健康
で業務を行うために必要な心身の状態
ど のような自己管理が求められる
のでしょうか。
│
を保持しているかどうかを検査し、合
やはり、まずは病気にかからない、体
ます。
格 を し た と い う 証 明 に あ た る も の で、
調を崩さないという意識が必要です。
具 体的にどのような検査が行われ
用が発生することもあるため、国の指
康文化と称しています。一方、危機
を未然防止するうえで大切なこと
は、安全に関する考え方や行動の習
慣、つまり安全文化です。
私の実践している健康文化の一例
として、健康診断などから生活習慣
の改善に努め、特に良質な睡眠とス
と健康管理は同じであること、健康
トとしての経験を通して、危機管理
理 に ス ト レ ス は 避 け て 通 れ ま せ ん。
です。不測の事態を想定する危機管
います。免疫力に影響を与えるから
トレスコントロールなどを心掛けて
を払っているのです。
管理の考え方や取り組む姿勢はその
年間のパイロッ
日 頃からの継続した取り組みが大
切ということですね?
上 手 に つ き あ う こ と が 大 切 で す が、
感 激、 感 動 は ス ト レ ス を 昇 華 さ せ
まま危機管理に活かすことができる
健康管理は予防│治療│回復│
ぐっすりと眠れます。そんなことか
先にお話したとおりパイロットには
再発防止の一連のマネジメントであ
ら夜、就寝前には「~だから良かっ
溜めないことです。不平、不満、心
具体的には、内科および精神科の常
り、 危 機 管 理( 安 全 管 理 )は 未 然 防
た、ありがたい」と感謝して眠りに
こと、そのまた逆も真なりという確
勤産業医によるパイロット全員との問
止│ 被害局限対応│ 回復│ 再発防
行っています。
診を定期的に行ったり、あるいは怪我
つ く よ う に し て い ま す。 そ し て 朝、
日 本 航 空 元 機 長。航 空 評 論 家。1968 年 日 本 航 空
に入社。以来 年間、
一度も病欠などでスケジュール
の変更なく飛び続ける。総飛行時間は 1 万 8500
時 間。首 相 特 別 便 機 長、湾 岸 危 機 時 の 邦 人 救 出 機 機
長 な ど を 務 め た。J AL 退 社 後 は、航 空 評 論 家 と し
て活躍する傍ら、危機管理・リスクマネジメントの
講 師 と し て も 活 躍 中。著 書 に『 機 長 の「 健 康 術 」』『 機
長の「集中術」
』『JAL 最後のサムライ機長 ─命を預
かるグレートキャプテンのリーダー術』などがある。
持って起きるのです。
つ だ っ て 今 が 旬!」 と 強 い 思 い を
目覚めたときに「今日が始まり、い
止と同じサイクルであることからも
す。その当たり前のことをどれだけ
でも知っている当然のことばかりで
しかも、健康管理も危機管理も誰
や病気により一時的に「航空身体検査
と っ た り、 乗 務 復 帰 に む け た 支 援 を
行っています。
要なのです。そして、両者とも予防、
徹底できるか、自己管理が極めて重
部は運航の安全を堅持するためにパイ
未然防止が最も大切であることも共
このようにして、運航乗員健康管理
ロットが心身ともに健康で乗務に臨め
通しています。病気の予防で大切な
ことは生活習慣です。これを私は健
るよう相談しやすい体制を整え、手厚
い健康支援を行っています。
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に対して航空業務停止などの措置を
頷けるかと思います。
厳しい健康管理が必要となるため、日
私は日本航空で
服薬する場合でも、さまざまな副作
回更新す
すべてのパイロットは年に
│
い自己管理を行っているのです。
管理部主席医師の大塚泰史がご紹介し
質問を受けることがよくあります。実
◉心身ともに健康なパイロットによる快適なフライトを
を続けています。
大塚 泰史
カウンセリングを行い、一人一人の身体
日本航空 運航乗員健康管理部
主席医師
配 は ス ト レ ス を 溜 め ま す が、 感 謝、
│
ることが義務づけられています。
パ イロットの健康管理のルールに
ついて教えてください。
飛行中に体調の突然の悪化によって
操縦ができなくなるということがあっ
針により簡単に薬を飲むわけにはいき
ません。実は街の薬局で売られている
薬にも、航空業務を実施するには不適
切とされているものも少なからずあ
り ま す。
「 頭 が 痛 い か ら、 薬 局 で 薬 を
買って飲んで、乗務しよう」というわ
けにはいかないのです。まずは薬を飲
む必要がある状態にならない、つまり
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信を持つことができました。
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頃からさまざまな健康管理の支援を
健康であることに日頃から大きな意識
小林 宏之
マニュアル」に適合しなくなった乗員
│
元日本航空機長
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明日の翼 Vol.05
明日の翼 Vol.05
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健康管理は
危機管理の基礎
医療スタッフ
航空身体検査証明書
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大久保副主席医師による問診