開発と平和のためのスポーツセミナー パネルディスカッション 10/17/2015 開発と平和のためのスポーツセミナー パネルディスカッション内容 ファシリテーター:岡田 千あき氏(大阪大学人間科学研究科グローバル人間学専攻 准教授) パネリスト:Maqulate Atieno 氏(Mathare Youth Sports Association, Kenya)、Ernesto Rebustillo 氏(Right To Play International, Thailand)、橋本 大佑氏(一般社団法人ふう せん遊び協会) 岡田氏: 今日 Ernie さんと Maqulate さんによりそれぞれの活動事例の話が今日ありましたが、例え ばこのような事例の活動を日本で行うとき、日本でオリンピック・パラリンピックに向けて、あるいは、ス ポーツ・フォー・トゥモローの枠組みで行うとき、または行えるかどうかという可能性について、例えば語 学の問題、それからアフリカだったら距離の問題など様々な問題があると思いますが、せっかく日本に きていただいて、日本ではこうしたほうがいいのではないかという提言や、難点などのポイントがあれ ば共有をお願いします。 Maqulate 氏:日本が東京オリンピック・パラリンピック主催に向けて着々と準備をすすめ、政府を中 心としたステ-クホルダーがたくさんいる中で、政府や他機関と個別に活動をするのは非常に難しいと 思います。資金的にも、ボランティアの人材も含め、政府の機関へのアクセス面が重要です。ステーク ホルダーが様々いる中、もちろん個人のレベルでもスポーツに関心のある方々がたくさんいて、貢献し たいと思っていると思いますので、今後はこうしたステークホルダーに投資することが大事であり、政府 の善意も必要となるのではないでしょうか。 Ernie 氏:Right To Play の方法論ですが、適切な訓練を受けさえすれば誰でも、大学生でもできる ことがあると思います。簡単な活動から始め、成功を収めることが大事です。RTP はすでに色々な訓 練、研修を各国の文部省等と共に実践しています。なので、方法論を伝授するのは大歓迎です。私は この方法論を日本でもぜひ共有したいと思います。また、言語の問題についてですが、RTP のアプロ ーチは教育理論で裏付けられているため対応できるのではないかと思います。 さらには、開発と平和のためのスポーツ(SDP)の適切な理解を得ることが大事だと思われます。日本 は今アジアの中でもいいポジションにあり、これからもこの地位を維持することを期待できます。RTP と しても、アジアにおいてはまだまだ SDP の実践例が少ないと考えています。またスポーツのマーケティ ングは、ヨーロッパと比べてまだまだ初期レベルなのでこれからが重要だと思われます。スポーツに注 目し、色々な役割を持たせることが必要です。日本は今、SDP に注目をしているようですので、これを 発達させるのもいいと思います。2020 年までにアジア全体に大きな裨益ができるのではないでしょう か。 岡田氏:現在、関わっていない関係者がどこにいて、どうやってその人たちの興味をひくことができるの かについて、何か工夫やアイディアがあればコメントをお願いします。 Maqulate 氏:ステークホルダーを広げるのはメディアの役割です。メディアは非常に重要な役割を 果たすと思われます。世界の動きを国内に見せていくことが大切です。また、大学生の能力養成も重 要でしょう。若い人が社会に貢献する機会は重要です。ボランティアが必要になる前に前もってプラン 開発と平和のためのスポーツセミナー パネルディスカッション 10/17/2015 をし、育成する。最初から Job Description を作成しておくべきでしょう。適材適所を考えることも重要 でしょう。政府、大学、機関、学生のネットワークがものを言います。 Ernie 氏:まず大学がとても SFT で重要な役割を果たしていると思います。色々なイベントが 2020 年の周りで開催されるので、その部分を戦略に使うべきです。日本の体育教育を発展させることも大切 でしょう。体育教育において、身体活動はあくまでも土台であり、ライフスキルを身に着けることが目的 であると理解することが重要です。体育教育というのは、単に「スポーツ」ではなく、もっと深いことを教 えているということを教師自身が理解しなくてはいけないと思います。体を動かしながらライフスキルを 身につける。ライフスキルが何かを考える必要もあります。国全体でどういうライフスキル、ソフトスキル が必要となるのかを定めていく必要もあるでしょう。 橋本氏: 2020 年をきっかけに障がい者スポーツに注目が集まっています。メディアの影響は非常に 大きいと思います。パラリンピックに興味を持ち、社会的な課題を見つけて活動につなげる方もたくさん いらっしゃるだろうと思います。障がい者スポーツにアプローチしやすくなり、親近感を持つ人が増えて いるのが現状でしょう。そんな中、強化が普及につながらないのがパラリンピックの難点です。障がい 者スポーツは他のスポーツとは違って、大会での結果などが普及にはつながらないのです。また、教 育という側面からみると、パラリンピックは障がい者理解につなげることが大事だと思います。 質問者(筑波大学院生、ホアン氏):SDP を成功させるにはスポーツの力を再認識する必要性がある と思います。現場で感じている「スポーツの力」について教えてください。 Maqulate 氏:例えばスポーツはスラム街では希望をもたらし、プラスの変化をもたらします。スポー ツができるから学校に行くし、スポーツをプレーするから能力がつきます。家計の足しになり、技術が生 計を立てるのです。自分の生活を高め、食料も調達できます。これも、スポーツのおかげです。これが スポーツの持つ力だと思います。 Ernie 氏:強力なパワー。ボールをければ、すぐ人が集まります。スポーツの魅力は強く、コミュニティ にどんな問題があろうが、楽しむことができます。さらに、スポーツはコミュニティのニーズにリンクして います。難民キャンプで行われるサッカーの試合は、学校内でのものとは違います。スポーツは人々に 希望を与えます。みんなが集まり、希望をもたらします。そしてスポーツによって人が集まることにより、 その場で大事な討論なども起こりうるのです。 橋本氏:障がい者に関しては、スポーツは人を変え、人生を変えるという事実があり、それが一番の力 です。また、そこに対して介入する喜びも指導者側にはあります。動機づけや自信を育てるなど、何か のきっかけになるのがスポーツの力なのだと思います。
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