見本 PDF 第 4 部 外付け部品の選び方 第 11 章 ポータブル機器の電源回路設計用 コイルとコンデンサの 適切な選択 弥田 秀昭 インダクタやコンデンサは,電流や電圧などの使う条件の変化とともに特性 も変化します.実働条件における変化までをも含んだ設計と選択をしましょう. 〈編集部〉 ● LC フィルタの特性を一定に保つ必要がある コイルとコンデンサは,LC によるローパス・フィ ルタを構成しています. 20mV 通常,DC−DC コンバータのデータシートには推奨 するコイルが何種類か載っており,使用可能な値に幅 をもたせてあります. 同じ許容電流なら,インダクタンスが小さいほどコ イルのサイズも小さくなります.よって,小型化が最 重要項目の場合,最小インダクタンスのコイルを選択 することが多いでしょう. 出力電圧 インダクタンスと容量の決定 コンデンサの容量をそのままでインダクタンスだけ を小さくすると,ローパス・フィルタのカットオフ周 波数が高くなり,高域のループ・ゲインが上昇し,負 帰還制御のゲイン余裕が減少します. 同じくインダクタンスをそのままで容量だけを小さ くすると,制御系のゲイン余裕が減少します. 十分なゲイン余裕が欲しい場合で,コイルとコンデ ンサのどちらか一方を小さくしたときには他方を大き くするなど,LC 積の値を一定にして,カットオフ周 コイル電流[mA] 携帯機器用の DC−DC コンバータは,周辺回路部品 の多くを IC 内部に取り込んでいます. 主要な外付け部品はコイルとコンデンサぐらいで, そのほかは電圧設定などに使用するチップ抵抗やチッ プ・コンデンサだけとなってきました. 今回は,データシートに掲載されている推奨部品以 外の部品を選択する場合の注意点を述べます. 300 200 100 0 時間 300 200 100 0 時間 20mV コイル電流[mA] コイル電流[mA] 応答時間,電圧のドロップ共に 良好だがリプルは大きくなる 出力電圧 コンデンサの容量により電圧のドロップ は少なくなるが応答時間は長くなる 出力電圧 20mV (a)10μH+10μF 300 200 100 0 (b)10μH+22μF 時間 (c)4.7μH+22μF 図 1 LC フィルタの値を変えて応答特性の違いを見る 上:出力電圧の交流成分 (20 mV/div.),下:コイル電流(100 mA/div.),横軸:時間(5μs/div.) . インダクタンスと容量の決定 121
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