国の「平成28年度保育対策関係予算 概算要求の概要」について

解説・1…①
解説・1…②
国の
「平成28年度保育対策関係予算
概算要求の概要」
について
平成28年度の予算編成に向けた概算要求が各省庁か
については、別途、内閣府において平成 27 年度予算
ら財務省に提出され、一般会計の要求総額は過去最大
額と同額を要求し、事項要求の取扱いとして予算編成
の約102兆4,000億円になり、前年度に続き2年連続で
過程で検討する。平成 28 年度概算要求額全体は 8,035
100兆円を超える額になったこと等が報じられました。
億円。ただし、このうち厚労省予算は 928 億円。
このうち厚生労働省一般会計の要求額については、
● 「待機児童解消加速化プラン」の取り組みを強力に
高齢化などに伴う社会保障費の上積み、年金情報のセ
進め、保育所等の施設整備や小規模保育等の改修によ
キュリティー対策強化費等が盛り込まれ、事実上、過去
り、約 7.2 万人分の受け入れ児童数の拡大を図る。
最大となる30兆6,675億円(対前年度予算比2.5%増)と
● 保育所等の施設整備については、市町村に交付金を
なりました。
交付。意欲のある自治体の取り組みを強力に支援する
一方、4月より施行した子ども・子育て支援新制度に
ため、補助率を嵩上げ(1/2 → 2/3)して、保育所等
ついては、平成28年度に向けた概算要求が一府二省よ
の整備を推進する。
り示されました。実際の予算編成過程で検討する事項
● 新規事業として
要求や国、地方負担分も含めて、内閣府から約2兆1,405
育・幼児教育の従事者に関する調査に参加し、保育・
億円、厚生労働省約928億円、文部科学省約418億円の
幼児教育の質の向上を図るための政策立案に資する
要求額になり、事項としては各府省で共同で示されてい
データを収集する「ECEC Network 事業への参画」
る内容もありますが、総額およそ2兆2,754億円規模の
2,700 万円を要求。
OECD において計画されている保
全体像になっています。
以下に、各府省の概要資料と主なポイントについて
平成 28 年度予算概算要求
(内閣府関連について)
掲載いたします。
内閣府からは、
「子ども・子育て支援新制度の実施(一
部社会保障の充実)
」として、平成28年度要求額約2兆
平成 28 年度予算概算要求(厚労省関連について)
1,405億円が示されました。
「女性の活躍、少子化対策、
平成28年度に向けた厚労省保育対策関係予算概算要
暮らしと社会等」として、全体額は別途「新しい日本の
求がとりまとめられ、公表されました。
ための優先課題推進枠(以下、
「優先課題推進枠」
)
」に
保育対策関係では「待機児童解消加速化プラン」の
よる60億円が追加要望されています。
取り組みを強力に進めるため、保育所等の施設整備や
なお、
「子ども・子育て支援新制度において、平成28
小規模保育等の改修による受け入れ児童数の拡大を図
年度に実施する『量的拡充』及び『質の向上』に必要
ること、また「保育士確保プラン」に基づき、修学資金
な経費(消費税引上げ以外の財源も含む)
」
、併せて「幼
貸付及び受講費の支援等による人材育成や潜在保育士
児教育無償化に関する関係閣僚・与党実務者連絡会議」
に対する再就職支援など、保育士確保対策を推進する
等が掲げられています(56頁∼参照)
。
(平成27年7月22日開催)で取りまとめられた方針を踏
まえ、予算編成過程で検討するものとして、
「幼児教育
無償化の段階的実施のために必要な経費」については
[主なポイント]
● 子ども・子育て支援新制度の子どものための教育・
予算編成過程において検討することとされているため
事項要求として触れられています(53頁参照)
。
保育給付、地域子ども・子育て支援事業等に係る経費
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解説・1…②
平成 28 年度予算概算要求(文科省関連について)
文科省からは、
「幼児教育の振興」として418億1,800
平成 28 年度厚労省の主な税制改正要望に関連して
万円の要望額(子ども・子育て支援新制度移行見込み
ところで、
「平成28年度厚生労働省の主な税制改正要
分を除いた額)が示されました。
望」では、ベビーシッターの利用等の子育て支援に要
全体の要旨として、幼児期の教育が生涯にわたる人
する費用の一部について、税制上の所要の措置を講ず
格形成の基礎を培う重要なものであることに鑑み、幼児
る「子育て支援に要する費用に係る税制措置の創設」
(所
教育の段階的無償化に向けた取り組みを推進するとと
得税、個人住民税)
、
「ひとり親家庭への支援の充実等
もに、幼児教育の質の向上及び環境整備を促進するこ
に伴う税制上の所要の措置」
(所得税、個人住民税等)
とにより幼児教育の振興を図ることとされています。
が出されました。
具体的には、
「幼児教育の段階的無償化に向けた取組
また、保育所、児童養護施設、放課後児童クラブ、
の推進(幼稚園就園奨励費)
」として、
「幼児教育無償
障害児通所支援事業等を経営する社会福祉法人へ寄附
化に関する関係閣僚・与党実務者連絡会議」
(平成27年
金を支出した場合の所得控除限度額を、現行の総所得
7月22日開催)で取りまとめられた方針等を踏まえ、
「環
の40%から50%へ引き上げる「保育所等を経営する社
境整備」と「財源確保」を図りつつ、段階的に無償化
会福祉法人に係る寄附税制の拡充」
(所得税)について
に向けた取り組みを進めることとし、その対象範囲や内
も要望されています(54頁参照)
。
容等については予算編成過程において検討することと
されているため、あくまで事項要求として323億4,100万
円が要望されています。
また新規事業として、
「幼児教育の質向上推進プラン」
が掲げられ、地域の幼児教育の拠点となる幼児教育セ
ンターの設置、幼稚園・保育所・認定こども園等を巡回
して指導助言等を行う
「幼児教育アドバイザー」
の育成・
配置など、自治体における幼児教育の推進体制の検討・
*52∼56頁に掲載した関連資料は、各府省のホームページ
より入手できます。
・厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/16syokan/
・文部科学省ホームページ
h t t p:// w w w.m e x t.g o.jp / a _ m e nu/ y o s a n/h28/
1361286.htm
・内閣府ホームページ
http://www.cao.go.jp/yosan/yosan.html
整備を行う「幼児教育の推進体制構築事業」
、幼児教育
にかかわる教職員の研修等をはじめとした資質向上、幼
児教育にふさわしい評価のあり方の検討等に関する調
査研究を行う「幼児期の教育内容等深化・充実調査研
究」が出されています。
さらに、OECD において計画されている調査に参加
し、幼児教育の質の向上を図るための政策立案に資す
るデータを収集する「ECEC Network 事業の参画」
(3,900万円/一部再掲)
「
、幼稚園教育要領の改訂」
(1,500
万円)等も、新規事業として要求されました。
なお、認定こども園の設置・促進を図るため、新設・
園舎の耐震化等の施設整備費の支援、幼稚園教諭免許
と保育士資格の併有促進、研修等の実施費用支援等に
かかわる「認定こども園等への財政支援」については、
前年度より約10億円増の145億900万円が要求されてい
ます(53頁参照)
。
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OECD
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ECEC Network
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解説・1…④
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2013
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21万人
2017
新制度等による取組
27
21
緊急プロジェクト
2015
19.1
取組加速期間
40万人
40
緊急集中取組期間
25 26
25
2015
待機児童解消を
目指す
29
2019
2019
20
31
7.2
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)
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保育士・保育所支援センターによる就職支援や、
ハローワークにおけるマッチング強化プロジェク 0.9 万人
ト の実施など、潜在保育士の掘り起こしを強化
処遇改善をはじめ、保育事業者への研修、保
育所の雇用管理改善など、離職防止施策を推 1.5 万人
進
幼 稚園教諭 の 特例制 度の活用や 保育士資格
取得支援、修学資金貸付等により、新たな保 2.5 万人
育人材を輩出
+
自然体の増
6 . 9 万
37.8 万人
2万人
0.8 万人
○保育士に対する処遇改善の実施
○保育士養成施設で実施する学生に対す
る保育所への就職促進の支援
○保育士試験を受験する者に対する受験 1.2 万人
のための学習費用を支援
○保育士・保育所支援センターにおける離
職保育士に対する再就職支援の強化
○保育士試験の年2回実施の推進
46.3 万人
【平成 29 年度】
保育士確保プランの新たな取組
2.0 万人
6.9 万人を確保
保育所勤務保育士数
新たに確保が必要となる保育士 数
加速化プランに基づく保育士確保施策(H25~)
4.9 万人
37.8 万人
【平成 25 年度】
保育士確保プランによる保育士確保のための取組
解説・1…⑤
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616,489
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87(97)
84(185)
2,850(282)
1,415,471(1,417,664)
(725,030)
(2,142,694)
2,149,294 (2,145,777)
1,524,012 1,526,206
26
725,030
2,140,501
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ECEC Network
OECD
31
)
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28
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2,173
14,509
7
26
41,818
46,032
49,321
39
15
21
223
173
13,484
32,341
8
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2,515
解説・1…⑥
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25
6
6
2015
20
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6
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7
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