きょうだい児の罪悪感に関する臨床心理学的研究

平成
27 年
3
月 24 日
新潟青陵大学学長殿
平成 26 年度 新潟青陵大学共同研究 報告書
1. 研究課題名 きょうだい児の抱える罪悪感とその適応に関する研究
2. 研究組織
代表者: 新潟青陵大学 福祉心理 学科
分担者:
職名:
助教
所 属
職 名
新潟大学教育学部
准教授
3. 研究期間
平成
本間 優子
氏名:
㊞
氏 名
福島 愛
26 年4月1日 ~ 平成 27 年3月31日
4. 研究成果の概要(当該研究期間のまとめ)
きょうだい児は、一般的な兄弟姉妹関係における社会スキルを習得する機会を獲得することに困難が
生じる場合があり、「特有の悩み」が存在することが指摘されている。本研究では、きょうだい児がどのよう
な心理的課題を抱えているかを明らかにするために、知的障碍、発達障碍、精神障碍を抱える兄弟姉
妹をもつきょうだい児にインタビュー調査を行い、それぞれのきょうだい児の抱える心理的特徴を質的に
検討することを目的とした。対象者は、知的障碍のきょうだい4名、発達障碍のきょうだい3名、精神障碍
のきょうだい児4名、計11名であった。うち、知的障碍・発達障碍・精神障碍のきょうだい児(各々1名、計
3名)の語りついてナラティヴ・アプローチによりインタビューデータから得られた特徴をまとめた。これに
ついて成果として第26回日本発達心理学会にて、学会発表を行った。それぞれのきょうだい児に共通
の心理的特徴として、きょうだいに対しては障碍の有無に関わらず大事な「きょうだい」であるという認識
が示された。障碍の種類に関係なく共通する特徴が示される一方、障碍の種類の相違により、特有の心
理的特徴も示された。知的障碍のきょうだいの場合、比較的幼少時から自分と障碍のある兄弟姉妹との
違いに気づき、障碍について詳しくは知らなくともきょうだいが普通とは違うという認識があることが示され
た。発達障碍のきょうだいの場合、「普通」と「なんか変」を常に行き来するために違和感があるが、傍から
見るときょうだいが「普通」であり、なかなか障碍を受容できないということが明らかとなった。精神障碍の
きょうだいの場合、きょうだいの発症前と発症後を両方経験しているため、戸惑いや苛立ち、失望のマイ
ナスな感情が他の障碍に比べ大きいという特徴がみられた。本研究からきょうだい児において、共通する
心理的特徴はあるが、障碍が異なることで、固有の心理的特徴があることが明らかとなり、各々の障碍特
性から生じる悩みに応じた支援をすることが望まれることが示された。今後の課題として、データは11名
分蓄積したものの、当該年度中に分析を終えることができなかった。今後はKHコーダーを用いた量的分
析も試みていきたい。
5. 交付決定額(配分額)
255,000 円
使用額
254,671
円
6. 研究発表
区分
学会誌名・学会名等
発表済 日本発達心理学会
発表者
本間優子・佐々木
祥子・福島愛
論文名・演題名等
年
月
きょうだい児の抱える心理的特徴
‐知的障碍、発達障碍、精神障碍を抱え
るきょうだい児の比較検討‐
2015
3
7 添付書類 枚
※ 研究成果を発表した雑誌等の目次、研究発表会等のプログラムのコピーを添付のこと。
8 研究発表以外の、研究成果活用に関する報告
(講演会講師、シンポジウム開催、一般向け広報物への原稿掲載、コメンテーター等の活動など。)
事項
年月日
概要
今後の外部資金申請状況(予定を含む)
申請先(予定を含む)
明治安田こころの健康財団
申請テーマ(予定を含む)
きょうだい児の抱える心理的特徴
‐知的障碍、発達障碍、精神障碍を抱えるきょうだい児の比較検討‐