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吉川和良税理士事務所
ニュースレター
2015 年 4 月号
Apr. 2015
4
YOSHIKAWA TAX JOURNAL
税務調査で指摘されやすい
期ズレの注意点
注目トピックス
01|税務調査で指摘されやすい期ズレの注意点
税務調査で指摘されることが多いポイントの一つとして
「期ズレの問題」があります。期ズレの問題は税務調査で
必ずチェックされますので、注意すべき期ズレ問題につい
て解説します。
特集
02|中小企業の少額減価償却資産の特例とは?
話題のビジネス書をナナメ読み
04|ストレスフリーの整理術(二見書房)
GTD と呼ばれる「思考」や「やるこ
と」を整理するメソッドについて書
かれています。Amazon では 50 を
超えるレビューがあり、平均点は
4.5。非常にシンプルな手法ですが、
陥りやすい問題点を解消するヒント
もあり、これから生産重視の評価に
移ることを考慮してぜひ読んでおきたい一冊です。
日本の税制では中小企業に対して大企業にはない特例が
数々認められており優遇されています。その中でも重要度
の高い少額減価償却資産の特例について解説します。
03|税務調査で指摘されやすい商品券
税務調査で指摘されることが多いポイントの一つとして
商品券に係る消費税の問題が挙げられます。注意すべき商
品券やプリペイドカードに係る消費税の取扱いについて
解説します。
吉川和良税理士事務所
税務調査で指摘されやすい
期ズレの注意点
はじめに
税務調査で指摘されることが多いポイントの一つとして
「期ズレの問題」があり、税務調査で必ずチェックされま
す。注意すべき期ズレ問題について解説します。
締め日後売上
税務調査の際、必ずチェックされるのが「売上や仕入れの
締め日」です。例えば、毎月 25 日を売上の締め日として
いる 3 月決算の会社があるとします。
このような会社は、2 月 26 日から 3 月 25 日までの請求
書を 3 月 25 日に発行し、3 月分の売上としてまとめて計
上するものと思います。
一方で、3 月 26 日から 4 月 25 日までの請求書が発行さ
れ、4 月分の売上として計上されるのは 4 月 25 日となり
ます。
ここに落とし穴があります。決算日はあくまで 3 月 31 日
であるため、3 月の締め日の翌日である 3 月 26 日から 3
月 31 日までの売上については、決算の際に締め日後の売
税務調査で指摘されることが多いポイントの
一つとして「期ズレの問題」があり、税務調査
で必ずチェックされます。注意すべき期ズレ問
題について解説します。
売上を計上しなければならないタイミングは、原則として、
請求書を発行した時でもなく、代金が入金した時でもなく、
納品やサービス提供が完了した時となります。
決算月に納品が完了している場合、いくら請求書の発行が
4 月であってもそれは売上に計上しなくてはなりません。
このあたりは、税務調査でも間違いなくチェックされる項
目となりますので注意をしておく必要があります。
特に取引先ごとに売上の締め日が異なるような会社も少
なくないでしょう。
取引先ごとに締め日をリスト化し、締め日後から決算日ま
での売上の有無、締め日後の売上がある場合にはその金額
の根拠、などをチェックすることは税務調査で指摘を受け
ないためにとても重要な事項となります。
締め日後売上の管理方法などについてのご相談は、当事務
所までお問い合わせください。
上として売上に計上しなければなりません。
もし 3 月 26 日から 3 月 31 日までの売上が 4 月分、つま
り翌期分に計上されている場合には、売上の計上漏れとい
うことで修正申告の対象となってしまいますので注意が
必要です。
請求書を発行しているかどうかは無関係
上記の場合でもそうですが、例え請求書を発行していなか
ったとしても納品やサービス提供が完了していれば、その
時点で売上を計上しなければなりません。
これは「発生主義」という考え方によるものです。
吉川和良税理士事務所
中小企業の少額減価
償却資産の特例とは?
はじめに
日本の税制では中小企業に対して大企業にはない特例が
日本の税制では中小企業に対して大企業には
ない特例が数々認められており優遇されてい
ます。ここでは、その中でも重要度の高い少額
減価償却資産の特例について解説します。
が、
資本金が 1 億円以下の中小企業に対しては少額減価償
却資産の特例が認められています。
数々認められており優遇されています。
この特例は、購入金額が 30 万円未満である資産について
ここでは、その中でも重要度の高い少額減価償却資産の特
は、その購入した事業年度に全額を費用として計上するこ
例について解説します。
とを認めるものです。
資産を購入した場合の原則的な取扱い
企業がパソコンなどの資産を購入した場合、その購入金額
(例:28 万円のパソコンを購入した場合)
・ 資本金 1 億円超の大企業
が10 万円未満の時はその取得のための費用はその購入し
→購入した事業年度以降の 4 年間で 7 万円ずつ
た事業年度において全額費用として計上することができ
費用計上
ます。
・ 資本金 1 億円以下の中小企業
→購入した事業年度に 28 万円全額を費用計上
ただし、その購入金額が 10 万円以上である場合には、そ
の全てを購入した事業年度に費用として計上することは
できません。
限度額が設けられている
ただし、上記の特例には限度額が設けられています。30
10 万円以上の資産は原則的に減価償却資産として、その
万円未満の資産であればいくらでも費用計上してよいと
資産の耐用年数に応じた期間で費用計上を行います。
いうわけではなく、一事業年度中に 300 万円までが限度
額として定められています。
購入金額が 28 万円のパソコンを取得した場合、パソコン
の耐用年数は 4 年となりますので、28 万円を 4 年間にわ
つまり、29 万円の資産は 10 個までであれば合計 290 万
けて 7 万円ずつ費用として計上することとなります。
となり、300 万円の限度額内でおさまっているため 290
万円を全額購入した事業年度に費用計上できます。
(例)
また、購入した資産は期末までに利用を開始する必要があ
・ 8 万円のパソコンを取得した場合
ります。期末時点で未利用の資産についてはこの特例を適
→購入した事業年度に 8 万円全額を費用計上
用できませんのでご注意ください。
・ 28 万円のパソコンを取得した場合
→購入した事業年度以降の4 年間で7 万円ずつ費
中小企業の少額減価償却資産の特例についてのご相談は、
用計上
当事務所までお気軽にお問合せください。
少額減価償却資産の特例
資産を購入した場合の原則的な取扱いは上記の通りです
吉川和良税理士事務所
税務調査で指摘され
やすい商品券
税務調査で指摘されることが多いポイントの一つと
して商品券に係る消費税の問題が挙げられます。こ
こでは、注意すべき商品券やプリペイドカードに係
る消費税の取扱いについて解説します。
はじめに
起こりがちなミス
商品券に係る消費税の問題が挙げられます。
の商品券を購入した際の取扱いです。
ここでは、注意すべき商品券やプリペイドカードに係る消
近年では会計ソフトの利用が進んでおり、
「接待交際費」
費税の取扱いについて解説します。
を選択すると自動的に消費税も課税取引が選択される設
税務調査で指摘されることが多いポイントの一つとして
税務調査で指摘されることが多いのは、上記のうち贈答用
定となっているケースがほとんどです。
消費税の課税時期
消費税の課税時期は、原則として、資産の引渡しの時また
このような設定となっている場合、贈答用の商品券を購入
はサービスの提供の時となっています。
した場合には「接待交際費」を選択し、かつ、消費税を非
課税取引に修正しなければなりませんが、この消費税の修
そのため、商品券やプリペイドカードなどを用いる取引で
正を失念しているケースがとても多く見受けられます。
は、商品券やプリペイドカードを購入した時ではなく、後
日、その商品券などを使って商品の購入をしたりサービス
税務調査で指摘された場合には、課税仕入れの過大計上と
の提供を受けたりした時が課税の時期となります。
なり修正申告をしなければなりません。
したがって、
取引先への贈答用に 5 万円の商品券を購入し
補助コードを設定するなどしてこのような間違いが発生
た場合の取扱いは下記の通りとなります。
しない仕組みを作ることが重要です。
商品券やプリペイドカードに係る消費税についてのご相
▲ 贈答用の商品券を現金で購入した際の当社の処理
接待交際費 50,000
談は、当事務所までお問い合わせください。
現金 50,000
※ 接待交際費に消費税はかかりません
▲ 贈答用の商品券をもらった際の取引先の処理
商品券 50,000
雑収入 50,000
※ 商品券にも雑収入にも消費税はかかりません
▲ もらった商品券を利用して80,000円の消耗品を購入
した際の処理
消耗品費 80,000
商品券 50,000
現 金 30,000
※消耗品費に消費税がかかります。商品を購入した
時点で初めて消費税がかかります。
吉川和良税理士事務所
ストレスフリーの
整理術 デビッド・アレン 著
はじめに
単行本:294 ページ
出 版:二見書房
価 格:1,600 円(税抜)
洗い出したものを「処理」する
GTD と呼ばれる「思考」や「やること」を整理するメソッ
収集のステップで洗い出したものを次の基準で判断してい
ドについて書かれています。Amazon では 50 を超えるレ
きます。
ビューがあり、平均点は 4.5。

行動を起こす必要があるか
非常にシンプルな手法ですが、陥りやすい問題点を解消す

次にとるべき行動はひとつか
るヒントもあり、これから生産重視の評価に移ることを考

2分以内に実行可能かどうか
慮してぜひ読んでおきたい一冊です。

自分でやるべきか

特定の日付にやるべきか
GTD とは何か?
GTD とは、ビジネスマン個
注意しなければならないのはこの処理は「仕事をすること」
人個人が生産効率をあげる
ではなく、あくまでも判断するのみです。
ためのタスクやスケジュー
ル管理をする手法のことで
す。
振り分けたものを「整理」
行動を起こす必要がないなら「ゴミ箱」へ。ひとつの事案
でやることが複数あるならばプロジェクト化をしなければ
主に 5 つのパートに分かれ
なりません。
たステップで 1 週間や 1 ヶ
月など任意の期間に区切っ
自分でやらないことなら依頼を、そして特定の日のタスク
て仕事を管理していくこと
ならカレンダーに書くのがよいでしょう。そして、2 分以
になります。
内にできることを片付けてしまいます。
まずは「収集」
ときどき「レビュー」
、タスクを「実行」
この収集のステップでは、仕事・プライベート問わず、頭
1 ヶ月に一度など、自分に合った期間でキチンと滞りがな
の中にある「やらなければならないこと」
「気になること」 いかを見直す「レビュー」をしつつ、残りのタスクをこな
「やりたいこと」を抜き出します。いくつになっても構い
していきます。
ません。
この本で書かれている特徴的な点のひとつに「タスク化す
大事なプレゼンの準備でも、新サービスの開発でも、PTA
る際に優先順位をつける必要がない」ということです。
「優
のイベントでも何でも大丈夫です。
先度:高」など記載されがちですが、この GTD でタスク管
理をすれば、自然と何からこなしていくかが見えてきます。
これらをデータでも紙でもいいので洗い出し、仮置きする
ところに一旦置きます。
毎日の時間やタスク管理を学ぶ機会は滅多にありません。
※たとえば、小さな紙に気になることを一つずつ書き、書類受けに入れる
だからこそ基礎を押さえることで生産性が向上するとい
えるのでしょう。
吉川和良税理士事務所