インフレに備える資産運用 ~インフレから、大切な資産を守るために~ 飯塚中川証券株式会社 平成27年9月28日 インフレとは、「経済学においてモノやサービスの全体の価格レベル、すなわち物 価が、ある期間において持続的に上昇する経済現象である。」 ウィキペディアより引用 言い換えると、お金の価値が下がり続けること。約20年に及ぶデフレの時代は、実感のないまま、資 産は増えていた。 しかしこれからの時代は実感のないまま資産は減り続けるのです。⇔(額面の保証はあっても、元本 保証は無い時代)。もしも、10%のインフレが5年続いたら・・・100万円は約66万円 勇気を出してタンスからお金を出し『お金を働かせる』しかありません! 怖いことに目をつぶって、10年後に「世の中の流れだから仕方ない」と自分自身を納得させますか? それとも、ご一緒に考えて資産を守りますか? 2 インフレ要因その① 異次元の金融緩和 マネタリーベースの増加額 年間 80兆円 国債の買付(日銀) 年間 50兆円 マネーの供給 資産効果 JPX400 スタート ETFの買付 (日銀) 年間 3兆円 GPIFの運用枠拡大 運用額 137兆円の 25% 34兆円 REIT買付 (日銀) 年間 900億 外人買い 海外の年金基金 スチュワードシップ・コード コーポレートガバナンス・コード およそ 880兆円の 個人金融資産 (預貯金) 11月 ゆうちょ銀行上場 運用資金205兆円 GPIFにならえば25% 50兆円 国家公務員共済組合連合会 地方公務員共済組合連合会 日本私立学校共済事業団 いずれGPIFにならうと思われる 30兆円の運用枠×25% 7.5兆円 昨年10月総人口1億2700万人 前年比△21万5000人 0.17%減 15歳~64歳生産年齢人口 前年比△116万人 約9%減 インフレ要因その② 生産年齢人口の減少 デフレギャップ 潜在GDP (本来の供給能力) インフレギャップ 日本はイノベーション(技術 革新)によりギャップは拡大 することなく、緩やかなイン フレが続く可能性がある。 名目GDP (総需要) 供給能力はあるが需要がない⇔デフレ 需要はあるが供給能力が不足⇔インフレ 3 インフレ要因その③ 財政 • 国家破綻・ハイパーインフレはあるか? 悲観論者のロジックとは?家計に例えてみる ※悲観派のロジック ○2014年政府総債務残高 約1200兆円 対GDP比240% ○日本の年間予算約100兆円 ○2015年度の税収約54.5兆円 こんな状況で借金返せるわけがない。家計に例えると、年収545万円の収入があるが、金遣いが荒く生活費に1000万円使っている人が いて、借金が膨れ上がって1億2000万になった。これじゃあ破産しかないでしょう、ということ。 ※無視されがちな資産の分野を計算に入れると ○2014年政府純債務残高(年金積み立てや外貨準備などの資産を引いたもの)は約620兆円 対GDP比124% ○2013年末の国富は約3049兆円 1億2000万円の借金は実は親からの借金で、親の老後の資金としての預かり金と外貨預金が5800万円あるため実質は6200万円である。 さらに将来相続できる親名義の土地や株が3億490万円あって、最近は外国人がその土地や株を売ってほしいと連日押しかけている状況 である。 この人、仕事は真面目で納期や支払いに関してもきっちりしているし、なんと言っても技術力が突出しているので収入は増加傾向にある。 借金に関しては、インフレで手持ちの外貨預金や株の価値は増える一方で、借金の価値は目減りしていくので、そのうち何とかなるだろうと 考えている。 政府総債務残高、政府純債務残高、税収は「世界経済のネタ帳」のデータをもとに飯塚中川証券が作成 当面、ハイパーインフレの可能性は極めて少ないと考えられるが、将来国債の外国人保 有比率が高くなれば、インフレは加速する・・・ 4 ※株式投資とは ○株式投資とギャンブルとの違い ギャンブルとは、参加者から集めたお金を、基本的に運しだいで勝ち負けが決まるルールに基づいて、参加者に再 分配するゲームである。 誰かの負けが自分の勝ち、いわゆるゼロサムゲームである。 株式投資とは投資家が自分の資金と引き換えに株式を取得することで、企業の一部を所有する行為である。 ○投資と投機との違い 投資とは詳細な分析に基づいて、元本の安全性と満足すべきリターンを確保する行為である。 投機家の最大の関心事は、株価の変動を予測してそれによって利益を得ること。 投資家の最大の関心事は、適切な価格で取得して保有すること。 ベンジャミン・グレアム「賢明なる投資家」より ※株式投資の基本 PER(株価収益率) PERとは会社の利益と株価の関係で割安かどうかを測るモノサシのひとつ、株価÷一株あたりの利益。 たとえばトヨタの2016年3月の業績予想は、売上高27.8兆円、純利益2兆2500億、一株あたり利益714.93円、9月24 日の株価7100円。 PERは、7100÷714.93で9.93倍となる。 5 インフレに強い株式 80,000 20000 日経平均 ダウ平均 18000 70,000 2012年7月益回り7.2% 16000 60,000 14000 50,000 12000 76ヵ月 40,000 10000 PER 62倍 18ヵ月 リーマンショック 8000 30,000 6000 PER 22倍 PER 131倍 20,000 4000 10,000 2000 PER 10.6倍 PER 9.5倍 9月11日 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 2009年 2008年 2007年 2006年 2005年 2004年 2003年 2002年 2001年 2000年 1999年 1998年 1997年 1996年 1995年 1994年 1993年 1992年 1991年 1990年 1989年 1988年 1987年 1986年 1985年 1984年 1983年 1982年 1981年 0 1980年 0 (出所)ヤフーファイナンスのデータをもとに飯塚中川証券が作成 6 為替 為替の決定要因 1. 二国間の通貨総量の比 金融引き締め → 通貨の総量減 金 融 緩 和 → 通貨の総量増 2. 二国間の実質金利の相対比 実質金利とは 名目金利-予想インフレ率(インフレ目標) 7 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 2009年 2008年 2007年 2006年 2005年 2004年 2003年 2002年 2001年 2000年 1999年 1998年 1997年 1996年 1995年 1994年 1993年 1992年 1991年 1990年 250 1989年 1988年 1987年 1986年 1985年 1984年 1983年 1982年 1981年 1980年 為替の推移 300 1985年9月 プラザ合意 200 150 USドル AUドル 100 50 0 (出所)ヤフーファイナンスのデータをもとに飯塚中川証券が作成 8 第二部 当面の株価予測と銘柄選びのポイント 19,000.00 9,000.00 2012年6月4日 2012年7月2日 2012年7月30日 2012年8月27日 2012年9月24日 2012年10月22日 2012年11月19日 2012年12月17日 2013年1月15日 2013年2月12日 2013年3月11日 2013年4月8日 2013年5月7日 2013年6月3日 2013年7月1日 2013年7月29日 2013年8月26日 2013年9月24日 2013年10月21日 2013年11月18日 2013年12月16日 2014年1月14日 2014年2月10日 2014年3月10日 2014年4月7日 2014年5月7日 2014年6月2日 2014年6月30日 2014年7月28日 2014年8月25日 2014年9月22日 2014年10月20日 2014年11月17日 2014年12月15日 2015年1月13日 2015年2月9日 2015年3月9日 2015年4月6日 2015年5月7日 2015年6月1日 2015年6月29日 2015年7月27日 2015年8月24日 23,000.00 33週 33週 42週 43週 21,000.00 日経平均株価推移 17,000.00 15,000.00 13,000.00 11,000.00 8月11日高値20,946円の週から33週目 3月最終週 42週目 5月最終週 7,000.00 5,000.00 (出所)日経平均資料室のデータをもとに飯塚中川証券が作成 10 景気拡大局面で有効な投資指標 高ROE 低PER+高リビジョン 低PER 11 株を科学する 株価は業績、ではPERはどれくらいの水準が妥当なのか。これは理論上、PERの逆数である「株式益 回り」で判断できる。 株式益回り=安全資産の利回り+株式のリスクプレミアム 現在の金利から見ると、益回りは4%~6%と考えられている(PERでいうと25倍~16.7倍)。 これに上下1%程度のオーバーシュート分を勘案(益回り3%~7%、PERだと33.3倍~14.28倍)。 日経平均でみると 適正値上限 4%では一株利益1,255×25.00倍=31,375円 適正値下限 6%では一株利益1,255×16.78倍=20,958円 上下オーバーシュートレベルでは 上限-1% 3%では一株利益1,255×33.30倍=41,791円 下限+1% 7%では一株利益1,255×14.28倍=17,921円 33倍 25倍 16.78倍 14.28倍 以上の日経平均の動きを想定したところで、個別銘柄をチェックする。 ①外国人投資家の動きをチェック ②決算を細かくチェック ③テクニカル 12 ①外国人投資家の動き 「バリュー投資家」動く 買手不在と嘆くのは早計かもしれない。アベノミクス相場が始まってから約3年。水面下では静かな 主役交代が起きつつある。 例えば、3日付の大量保有報告書でオムロンやヒロセ電機などの買い増しを明らかにした投資家が いる。バリュー(割安)株投資を得意とする米ハリス・アソシエイツだ。 「再度、日本株を(市場平均より多めに資金を配分する)『オーバーウェート』にするつもり」。 14日、同社で世界株運用を担当するデービット・ヘロー最高投資責任者はこう明かす。 アベノミクス相場で急騰した13年には「割高になったとみて、約10%まで落とした」。 最近の調整を経て、日本株の予想PER(株価収益率)はアベノミクス相場の平均(14.9倍)を下回り始 めた。ヘロー氏は再び「買い場」との見方を強めているようだ。 米ブランデス・インベストメント・パートナーズなどほかの米バリュー投資家も有望銘柄を探し始めて いる。 (平成27年9月15日日経新聞より抜粋) どう動く米国マネー イリノイ大学基金は長く、日本株への資金配分を市場平均以下の水準にとどめてきた。「強気」に転 換したのが2014年7月。企業統治改革が進み、自己資本利益率(ROE)などが改善すると見た。 日本株買いを促したもう一つの要因が米国株に偏った資産構成の見直しだ。 米公的年金で2番目に大きい運用規模を持つカリフォルニア州教職員退職年金基金(カルスター ズ)も、株式運用資産の3分の2は米国株だ。 フォード財団、コロンビア大学基金、ニューヨーク・カーネギー財団・・・。ある国内運用会社の潜在顧 客リストには米国の大学基金や著名な財団、公的年金など長期投資家の名前がずらりと並ぶ。どの 投資家も日本株投資に関心があるとされ、ファンドマネージャーらが説明に訪れている。 (平成27年9月10日日経新聞より抜粋) 13 ①大量保有報告書で外国人動向をチェック ハリス・アソシエイツ 日付 銘柄コード 銘柄名 保有比率 株数 8月5日 6645 オムロン 6.00 13,043,700 9月3日 8604 野村 5.10 195,108,500 9月3日 8624 いちよし証券 8.04→9.38 4,167,800 9月3日 6806 ヒロセ 6.66→7.78 3,114,330 9月3日 6645 オムロン 6.00→9.37 20,368,700 ブランデス・インベストメント 日付 銘柄コード 銘柄名 保有比率 株数 8月4日 6804 ホシデン 9.67→10.7 7,458,830 8月4日 6706 電気興業 5.58→6.69 4,713,000 8月26日 6256 ニューフレア 9.22→10.25 1,229,700 8月26日 7744 ノーリツ鋼機 12.52→13.55 4,902,400 8月26日 6804 ホシデン 10.77→11.75 8,189,020 保有比率 株数 ブラックロック 日付 銘柄コード 銘柄名 7月22日 7267 ホンダ 7月22日 5108 ブリジストン 5.04 40,959,388 7月22日 1605 国際帝石 5.03 73,625,489 8月6日 8136 サンリオ 5.26→6.11 5,441,756 8月20日 6291 日本エアーテック 6.29→7.50 679,200 8月20日 5423 東京製鐵 5.05→6.94 6,107,300 8月20日 4503 アステラス製薬 5.04→6.04 134,143,649 9月2日 9532 大阪ガス 5.08 105,747,538 9月2日 7453 良品計画 5.15 1,446,054 9月24日 6481 THK 6.22 8,328,845 9月24日 3632 グリー 5.04 12,135,300 9月24日 3436 SUMCO 5.64 16,539,881 5.01 90,761,848 (出所)金融庁のホームページをもとに飯塚中川証券が作成 14 ②決算を細かくチェック 28年3月期 第一四半期決算 進捗率最新版 (出所)各社決算短信をもとに飯塚中川証券が作成 決算日 8月7日 7月3日 7月31日 8月6日 8月6日 8月7日 8月6日 8月6日 7月31日 8月6日 7月30日 8月7日 7月31日 7月31日 7月30日 7月31日 7月31日 7月27日 8月13日 8月4日 8月7日 7月30日 7月31日 8月5日 7月31日 7月8日 8月10日 8月3日 8月6日 8月7日 7月31日 7月9日 7月31日 7月31日 8月6日 7月29日 7月29日 7月31日 銘柄コード 1605 8016 9532 7752 2587 8725 4755 9699 4005 9684 9449 8909 4208 9107 9001 8316 7267 6967 6890 7272 5707 4202 2801 8253 8306 7453 2400 6486 1861 3402 8308 6136 2440 6473 6367 8806 3064 9069 銘柄名 国際石油開発帝石 オンワードホールディングス 大阪瓦斯 リコー サントリー食品インターナショナル MS&ADインシュアランスグループホールディングス 楽天 西尾レントオール 住友化学 スクウェア・エニックス・ホールディングス GMOインターネット シノケングループ 宇部興産 川崎汽船 東武鉄道 三井住友フィナンシャルグループ 本田技研工業 新光電気工業 フェローテック ヤマハ発動機 東邦亜鉛 ダイセル キッコーマン クレディセゾン 三菱UFJフィナンシャル・グループ 良品計画 メッセージ イーグル工業 熊谷組 東レ りそなホールディングス オーエスジー ぐるなび ジェイテクト ダイキン工業 ダイビル MonotaRO センコー 進捗率 274.78 197.25 161.98 156.77 119.01 110.17 93.98 65.72 65.58 65.52 60.07 53.98 51.95 51.11 42.81 40.98 40.53 37.89 37.32 37.22 32.70 32.30 32.14 30.41 27.32 25.52 23.94 23.67 20.70 20.44 19.38 18.63 16.65 16.52 14.35 12.82 12.56 10.26 15 決算チェック例 6981 村田製作所 (2015.6.16-2015.9.15) 23,000 22,000 21,000 決算発表 20,000 19,000 18,000 17,000 16,000 15,000 7月31日第一四半期決算発表 一株当たり利益 187.5円(特別利益分修正後) 通期予想 864 円 (187.5×4)-864÷864=進捗率 △13.2% 通期予想を897円から864円に下方修正 14,000 (出所)ヤフーファイナンスのデータをもとに飯塚中川証券が作成 16 ③テクニカル 一目均衡表でタイミングを探る 1,300 1,300 決算発表 1,250 1,250 1,200 1,200 1,150 1,150 1,100 1,100 基準線 転換線 7752 リコー 1,050 1,050 遅行スパン 1,000 (出所)ヤフーファイナンスのデータをもとに飯塚中川証券が作成 17 世界が日本経済をうらやむ日 浜田宏一 そして日本経済が世界の希望になる ポール・クルーグマン 株しかない 阿部修平 株、株、株!もう買うしかない 朝倉慶 超技術革命で世界最強となる日本 三橋貴明 大学教授が科学的に考えたお金持ちになるための本 榊原 正幸 日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル 橘 玲 一目均衡表の研究 佐々木 英信 No.1アナリストがいつも使っている投資指標の 本当の見方 吉野 貴晶 以上の文献を参考に飯塚中川証券が作成しました
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