ブラッドボリューム計について

平成27年10月
1日発行
第81号 編集・発行:事務局
10
月号
ブラッドボリューム計について
臨床工学技士主任
門崎
弘樹
ドライウエイト(DW)を決定するには、毎月行われる血液検査の項目に含まれる
h-ANP(ハンプ)や胸部エックス線検査による心胸比、日々の生活や透析中の血圧、むくみ
等を参考に決定しています。それらに加え指標の一つとして活用できるブラッドボリュー
ム計(BV 計)があります。現在当院には、クリットラインモニター(CLM)と、日機装
製コンソールに内蔵された BV 計(日機装 BV 計)の二種類があります。今回はこれらの機
械(機能)についてお話しさせていただきます。
ブラッドボリューム(BV)とは(BV 計の仕組み)
ブラッドボリュームとは血管内にある全ての血液量のことで、これは循環血液量とも呼
けっしょう
ばれます。透析前の体重が増加している状態では、余剰水分は血管外の組織間に 血 漿 と
して貯留されていて、これが多いと顔や足がむくむなどの症状が出てきます。透析ではこ
の余剰水分を取り除くために除水を行うので、まず血管内の血液から水分が取り除かれて
いきます(図1-①)。次に血管内の血液(水分)が少なくなると血管外にあった余剰水分
(組織間液)が血管内に移動してきます(図1-②)。これらの変化を血液回路の動脈側に
設置したセンサー部から近赤外線を回路内の血液に向け発光させ、その減少量を測定し体
外循環量の変化率としてリアルタイムにモニターしています。
①血液透析の除水で血液から直接水分が取
り除かれる(血管内の水分が減少)
②血管内の血液量(水分)が減少すると、
図 1.
組織間液が血管内へ移動。
ブラッドボリューム計の見方
ブラッドボリューム計のグラフ(図 2)は横軸が時間、縦軸が血液量(循環血液量)の変
化率を表しています。透析で除水を行い時間が経過していくと血液が濃縮しグラフは低下
していきます。この傾きが緩やか(図 2-①)で下降があまり見られない場合は、DW が緩い
(体重を下げた方がよい)と考えらます。一方、傾きが急な場合(図 2-③)は時間当た
りの除水速度が速すぎる場合や、DW がきつい(体重を上げた方がよい)と考えられます。
また、グラフの値が-15%を下回ると血圧低下の危険性があり注意が必要とも言われてい
ますが、心機能、動脈硬化の程度や自律神経機能などにより個人差があるため、今までの
経過を参考にしながら見ていきます。
%0
-5
分
0
60
120
180
240
①
-10
②
-15
-20
-25
③
-30
図2.
①緩やかな傾き
②標準
③急な傾き
クリットラインモニター(CLM)と日機装 BV 計の違い
CLM と日機装 BV 計で同時に測定
したものが右のグラフになります。グ
ラフを見て分かるように、両者は一致
せず若干のズレがみられます。これは
0
-5
0
60
120
180
-10
測定する際に使用するセンサー部の形
状や、発光する近赤外線の波長や種類
によるものだと考えています。しかし、
どちらの装置を使用しても DW の判定
や血圧低下の予防に大きな差はありま
せんのでご安心ください。
-15
-20
-25
CLM
日機装BV
240
CLM はポータブル型の装置でしたが日機装 BV 計はコンソール内蔵型となっています。
CLM はすでに製造販売が終了した機械のため、今後は装置内蔵型の日機装 BV 計がメイ
ンとなってきます。
BV 計センサー部
日機装 BV 計
クリットラインモニター
現在 BV 計を内蔵したコンソールは数台と限られているため、モニターが必要な場合はベ
ッドの移動をお願いすることがあります。皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
学会・研修会に出席しました
9/ 9 (水) 第4回 LIFESTYLE
related DISEASE (岡山)
病診連携セミナー 『糖代謝異常と脂質異常症』
出席者:櫻本副院長
9/10 (木) 岡山中央病院:教育プログラム 2015 (岡山)
「おしっこが近い」に対処する ~これだけ知っておけば!の診療知識~
出席者:西田院長
9/12・13 (土・日) 第19回 日本アクセス研究会学術集会・総会 (広島)
~点と点つなぐ~
出席者:大森 Ns、森下 Ns、岩藤 Ns
9/13 (日) 第21回 ORCA セミナー (岡山)
~これから始める呼吸療法~
出席者:松本技士部長
9/17 (木) 岡山中央病院:教育プログラム 2015 (岡山)
『急性胆管炎・胆嚢炎の診断と治療』~ガイドラインと当院の治療方針~
出席者:櫻本副院長、中島 Ns
9/26・27 (土・日) 第21回日本 HDF 研究会学術集会・総会 (熊本)
『これで良いのか HDF?』
出席者:長宅理事長、三宅看護部長、佐藤看護師長、門崎技士主任、岡本 CE
9/27 (日) 第17回 血液浄化セミナー (岡山)
~未来へ・透析医療のこれから~
出席者:藤中 CE、武田 CE、逸見 CE、三田 CE
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編集後記
『医療のフロンティア!岡山の医の歴史は実に江戸時代から続く』
江戸時代末期、岡山藩では西洋医学を奨励する動きを受けて、岡山藩医学館が設立された。
その後さまざまな返還を経て、岡山大学医学部になり、140年以上の歴史を誇る医師養成
の名門校として、エリートの集う学舎となった。つまり、医療従事者にとって、岡山は特別
なステータスを持った医療のフロンティアなのだ。
岡山に集まるのは医師だけではない、名医あるところに患者あり、というわけで、医療水
(参考文献:岡山の新常識)
準の高さを求めて、日本全国から患者が集まっている。
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岡山市中区中井 454-1
086-207-6788
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086-278-0122