「深化する日米関係」

平成27年 6月30日号
「深化する日米関係」
外務省 北米局
北米第一課長
石月 英雄 氏
(平成 27 年 6 月 10 日 於日本記者クラブ)
の下でいかに地域とか世界に対して貢献してき
たか、こういったメッセージについて今回いろ
いろな局面で発信できたのではないかと思って
おります。
同時に、今後のビジョンとして日米の共通す
る価値として自由とか民主主義とか基本的人権
とか法の支配とか、こういったものをかなり強
く打ち出した。これは、この地域でいろんな不
安定要素が出てきている中で、日米両国がどう
いうビジョンでこの地域を引っ張っていくか、
この地域を主導していくか、そういったことを
打ち出す上で非常に重要だったのではないかと
思っております。
意義の二つ目でございますが、「日米同盟の一
層の強化と日米首脳間の絆の確認」です。ここは、
日米の間でのいろいろな懸案事項について協力
を進めることができた。端的に言いますと、安
保面では新たな日米防衛ガイドライン。これに
ついて直前の2+2で合意できましたので、この
動きですとか、経済面では、TPPにおける日
米間の交渉の前進といったものを首脳間で確認
する。こういった協力案件を、過去の 70 年間の
協力関係の上に築いていくということをアピー
ルできたことは一つの成果だったと思っており
ます。
同時に今回の訪米では首脳間の個人的な絆を
確認することができたのではないかと思ってお
ります。
今回の訪米中ではオバマ大統領は、自らガイ
ド役を務めて安倍総理をリンカーン記念館に案
内いたしました。リンカーン大統領というのは
(講演要旨)
今回の安倍総理の訪米は、4月 26 日から5月
2日までの、7泊8日の日程、回った都市が、ボ
ストンから始まりまして、ワシントンDC、サ
ンフランシスコ、ロサンゼルスの4都市でし
た。
史上初の上下院合同会議で演説
今回の訪米の特色を、訪問の形式といった観
点から申し上げると、まず1点目として、9年
ぶりの公式訪問であったこと。2点目としまし
て、今回は首都のみならず地方も含めて非常に
幅広い層にアピールしたこと。日本の総理が東
海岸に加えて西海岸も回るのは、16 年ぶりにな
ります。
第3点目としては、久しぶりに議会との関係
で本格的にメッセージを投げ掛けたと言えるの
ではないかと思います。日本の総理として史上
初めて上下両院合同会議で演説を行ったわけで
すが、議会の上院又は下院のどちらかで総理が
演説をしたのは、1961 年の池田総理以来という
ことですので、そういう意味で議会との関係で
今回の訪米は久しぶりに本格的に向き合ったと
いう特徴があったと言えるのではないかと思い
ます。
「訪米の意義」-日米同盟の強化を確認
一つ目は、「戦後 70 年の日米関係の歩みと将
来に関する肯定的なメッセージの発信」です。か
つて戦火を交えた日米両国でございますけれど
も、それが和解し、同盟関係を築いてきた。そ
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