第5学年 国語科学習指導案 授業日 指導者 1 単元名 2 11月28日(金) 落合 義貴 3校時 作品を自分なりにとらえ,朗読しよう 「大造じいさんとガン」 (全11時間) 単元の目標 ◎自分の思いや考えが伝わるように音読や朗読をするとともに,優れた叙述について自分の 考えをまとめることができる。 ・書いた者の表現の効果などについて確かめたり工夫したりすることができる。 3 本時の計画 (1) ねらい クライマックスの検討を通して,大造じいさんの心の動きについて読み取り,まとめること ができる。 (2) 本時の構想 ○ 本時の課題 主人公の検討を通して,「大造じいさん」は,全員一致で主人公となった。主人公は物 語の前半と後半で,その心情が大きく変わっている。それがどこなのかを検討させる。子 どもたちは,(三)の場面から大造じいさんの残雪に対する行動から心情の変化について 検討することとなる。 ○ 自分の考えをもつ活動 始めに根拠となる一文に線を引かせ,引かせた子に発表させる。出された根拠を基に, 一人一人が自分の考えをもつことができるようにする。子どもたちの様子を見て,根拠が なかなか見つからないようであれば,少人数の話し合いを入れながら,情報交換させ,考 えをもつ手立てとする。 ○ 伝え合いの活動 書いたことの発表→質問→賛成・反対の順で話し合いを進めていく。「残雪の行動から 大造じいさんの心の動きは分からない」という意見が出たら,これを採り上げ,大造じい さんの行動から判断するよう促す。そして,下記の①か④かの話し合いになるよう指導す る。 ○ 振り返りを書く活動 子どものネームプレートを活用しながら,板書に意見をまとめるようにし,まとめの場 面では,それらを活用するよう働き掛ける。黒板に型を示し,書くことが苦手な子の手立 てとする。また,話し合いで自分の考えが発表できなかった子は,ノートの記述で評価す る。 (3) 本時の展開(9/11時間) 時 児童の主な活動 3 1 教材文を音読する。 7 2 課題1 ◇支援 ・留意点 ◎評価 ・(3)の場面とする。 この物語の始めと終わりでは,大造じいさんは どのように変わりましたか? ・始めは残雪を捕まえようとしているけど,後 -1- ◇「始めは○○だったけど,後で△ △になった」と型を提示する。 5 で逃がしてあげた。 ・始めは罠を仕掛けたけど,後で正々堂々と戦 おうとした。 3 課題2 ・始めと後で変わったことが捉えら れればよい。 この物語のクライマックスはどこですか。 10 4 自分の考えを書く。 15 5 話し合いをする。 ※H25年度は以下の考えが出された。 ①「が,なんと思ったか,再びじゅうをおろし てしまった」 ・考えが変わったからじゅうをおろした。 ②「いきなり,敵にぶつかっていきました。」 ・残雪が勇気を持ってぶつかっていったことに 心が動いた。 ③大造じいさんが手を伸ばしても,残雪はもう ~」 ・大造じいさんが,心を動かしたからこそ,手 を伸ばした。 ④「大造じいさんは,強く心を打たれて,ただ の鳥~」 ・大造じいさんの気持ちの変化がはっきりと分 かる。 ・まず,根拠となる1文に線を引か せる。 ・それを発表させ,その後,ネーム プレートを貼らせる。 ・自分の考えの「根拠」はノートに PとLだけ書かせる。 ・②と③は残雪の行動である。残雪 の行動から大造じいさんの考えの 変化を見取ることは難しい。ここ を整理し,①と④の話し合いにも って行く。 11/28 クラ イ マ ッ ク スは ど こ か 。 反対:赤 ①が、なんと思ったか、再びじゅうをお ろ し てし ま っ た 意見:白 賛 成: 黄 -2- ② いき な り 、 敵に ぶ つ か っ てい き ま し た 板書計画 ③ 大造 じい さん が手 を伸ば しても、 残雪は もう (4) ④ 大 造 じい さ ん は 、強 く 心 を 打 たれ て 6 まとめを書く ◎自分の考えを書く 「私は,○です。○○さんの意見に賛成(反対) A:友だちの意見を基に,自分の考 で,~だからです。もし,~。したがって~。」 えを再構築することができる。 B:自分の考えをまとめることがで きる。 C:書けない。 まとめ 私は 、 ○ で す 。 ○○ さん の意 見に 賛成 (反対) で、~だ からです。 もし 、 ~ 。 し たが っ て ~ 。 5 4 考察 (1) 成果 ○ 国語科における課題解決学習を,「課題提示→自力解決→伝え合い→まとめ」を1時間の 中で進めるスタイルを推進することができた。特に課題提示の後に音読を行うことにより, 子どもの立場からは課題解決としての音読の時間として意味をもち,教師の立場からは効率 的な授業の組み立てにより,伝え合いやまとめに時間を確保する手段となった。 ○ 今回の授業では,「クライマックスはどこか」が中心課題であった。子どもたちはクライ マックスと思われる箇所の 教科書にラインを引き,引 いた場所を発表し合い,そ れから自分の立場を決めて いった。互いの箇所を聞き 合うことにより,考えを迷 っていた子やあやふやにと らえていた子は,自分の立 場を決めることができた。 そこから考えを記述したことにより,伝え合いの場面では,全員が自分の考えを発表するこ とができた。 ○ クライマックスと思われる箇所を発表させ,それをページ・行だけ黒板に記述し,子ども が音読している間に文を記述するようにした。授業における空白時間がなく,テンポよく発 表することができ,子どもたちの集中力を持続させることができた。 ○ 伝え合いでは,「似ていて…」「反対で…」「話題を変えていいですか?」など身に付けた スキルを活用しながら互いの考えが関連されるよう,子どもたち同士が意識しながら進めて いた。お互いの考えを聞き合うことにより,授業の終盤では「そこについて反対意見がある」 「考えが変わった」など自分の考えを深めるつぶやきが多く聞かれた。 (2) 課題 ○ 中心課題である「クライマックス」を問うのは, 1学期に続いて2回目である。子どもたちは,掲 示されている言葉は分かっても,その言葉の定義 まで十分に共通理解が図られていなかった。よっ て指導案では,主人公である大造じいさんの言動 からクライマックスを検討していく意図であった が,「クライマックス」=「全体的な盛り上がり の見られる場面」ととらえた子どもがおり,伝え 合いが深まったとはいえない状況であった。教師 が言葉の定義をきちんと理解させ,その上で子ど もたちが考えをもつように配慮する必要があった。 ○ 1時間で課題解決型の授業を進めようとすると,全員が発表し合う伝え合い活動は時間が 制限される。全員による伝え合いの中で,論点が見えやすく,考えが分かれていることにつ いては,適宜,少人数による話し合い活動を行うことが必要である。これまで3人ずつの小 グループを活用していたが,それでは話し合いの役割が明確にならず,停滞することが多か った。そこで,班による話し合い活動を進めてきたが,まだ十分機能しているとは言えない。 少人数による気軽さから互いの考えを交流させ,また全体の伝え合いにつなげていくスタイ ルの確立が課題である。そのために,少人数の話し合いを日頃から様々な場面で活用し,子 どもたちのスキルを磨いていくことが必要である。 ○ 指導主事先生から指導を受けた中に,学級文庫の充実があった。物語教材は学期に一度し かない。この機会に,その作者の世界に浸らせる,他の作品を読ませるなど,読書指導も充 実させていきたい。 -3-
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