パワー・ハラスメントの定義 「職権などのパワーを背景にして、本来業務の範疇を超えて、継続的に、人格と尊厳を傷つける言動 を行い、就労者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を与えること。」 1.職権などのパワーを背景にして 上司は職場において仕事の配分を決め、指示命令をし、結果を評価するというその職場で働くものに とっては多大な影響力を持っています。また、その力が部下の価値観や人間関係にも大きな影響を与え ます。このような職権という力を利用したハラスメントがパワー・ハラスメントです。職権以外のパワ ー(専門知識、集団のパワー等)を背景に、同僚同士、あるいは部下から上司に対して行われることも あります。 例) ¾ 指導と称して、人格否定発言を繰り返す ¾ 同僚間で情報を与えない、仕事を教えないなどの仕事の妨害を繰り返す ¾ 部下が上司に必要な知識を教えない、現状報告をしない、無視する 2.本来業務の適正な範囲を超えて どこまでが本来の業務でどこまでが適性範囲かは、個々の業界や組織の特質・伝統・人間関係などに よって左右されるので、一概には言えません。 過去には有効だった教育の方法や仕事の進め方が、今最適であるかどうかをチェックする必要があり ます。不必要なこと、無駄なこと、私用など業務と関係のないことなど、その行為が業務上必要か適切 かどうかは、客観的に見て判断しなければなりません。 例) ¾ 客観的に見て達成不可能な目標を設定し、達成できないことを個人の責任にする ¾ 懲罰として業務に全く必要ない行為を強要する 3.継続的に 明らかな人権侵害になるような言葉でない限り、1 回の暴言がパワハラになるとは言えません。しか し、小さなことでも繰り返し攻撃されることにより、精神的なダメージは大きくなります。小さなミス の指摘等、些細なことから始まり、やがて、本人の人格にまで踏み込んでいくなど次第にエスカレート していく特徴があります。 例) ¾ 一つのことで何度も注意、叱責を繰り返す 4.人格や尊厳を侵害する言動 人格や尊厳を侵害する言動は受け取る人にとってなにがそれに該当するか異なってくるところがあ り、一概にはいえませんが、性別や年齢、人種、国籍などの属性や過去のことなど本人の努力によって 変えることの出来ないことを非難したり、指摘することや、無視する、屈辱的な罰を与えることなどが それに該当します。 例) ¾ 性別や学歴で差別する ¾ 能力がないなどとレッテルを貼る ¾ 土下座や長時間の正座などを強要する 5. 就業環境を悪化させたり雇用不安を与える 上記の結果として、身体的・心理的に影響がでて、就業が困難になったり、仕事をやめざるを得ない 状況になる場合があります。 パワハラの場合セクハラのように被害者が不快に感じたというだけでなく、結果的にどんな影響があ ったのかをきちんと把握することが重要です。 (株)クオレ・シー・キューブ 岡田 康子(2008) p01
© Copyright 2024 ExpyDoc